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プレスリリース

2007年

−発表資料−

2007年3月26日

世界初、NT-4※1が男性ホルモンに起因する「脱毛シグナル」であることを解明
『オキナワモズク抽出物』に「脱毛シグナルNT-4」抑制効果を発見!

 ライオン株式会社(社長・藤重 貞慶)生物科学研究所は、毛髪科学分野において育毛に関する研究を進め、これまでに男性型脱毛症の知見をご報告してきました。この度は、「脱毛シグナルNT-4」に注目して研究を進めた結果、(1)男性ホルモンが「脱毛シグナルNT-4」の作用を強めることを世界で初めて解明し、NT-4の増加が男性型脱毛症の一因である可能性を見出しました。さらに、(2)『オキナワモズク抽出物』を塗布すると、男性ホルモンに起因する「脱毛シグナルNT-4」の生成が抑制され、発毛回復の効果があることを確認いたしました。

 なお、この研究成果は『日本薬学会第127年会(2007年3月28日 於:富山市総合体育館)』において発表する予定です。

1.研究の背景

 当社は1980年代より「男性型脱毛症」についての研究を進め、その発症原因の解明と改善成分の探索を行ってまいりました。そして1980年代には、発毛に必要なエネルギーの生産が男性ホルモンによって阻害されていることを見出し、その「エネルギー代謝改善」に優れた効果のある『ペンタデカン酸グリセリド(PDG)』を発見しました。

 その後、毛髪の毛周期※2を制御しているといわれている毛乳頭細胞の網羅的な遺伝子発現解析(DNAアレイ解析)にいち早く着手し、2003年、世界で初めて、男性型脱毛症の遺伝子発現の解析に成功し、「脱毛部位」においては「発毛促進シグナル(BMP※3、エフリン※4)」が低下していることを発見するとともに、「発毛促進シグナル」の増幅に「6-ベンジルアミノプリン(サイトプリン)」が有効であることを確認しました。さらに2004年には「発毛促進シグナル(BMP、エフリン)」の毛髪形成における役割を明らかにしました。

 当社生物科学研究所では、「発毛促進シグナル」の研究とともに、男性型脱毛症のもうひとつの発症因子として考えられてきた「脱毛シグナル」にも着目して研究を進めてまいりました。特に毛成長の阻害が誘導されることが報告されている「脱毛シグナルNT-4」に対する男性ホルモンの関与についての解明および「脱毛シグナルNT-4」を抑制する成分探索の研究に取り組み、この度、新たな知見を発見いたしました。

※1.

NT-4

Neurotrophin-4(神経栄養因子4)。一般には神経成長に関与するタンパク質として知られている。

※2.

毛周期

毛髪は毛根にある毛母細胞が分裂を繰り返して次々に細胞を押し上げることで太く長く成長します。毛髪は、毛周期(ヘアサイクル;成長期→退行期→休止期)を繰り返しており、毛髪の根元に存在する毛乳頭細胞がこのサイクルを制御すると言われております。しかし、「男性型脱毛症」においては、男性ホルモンの影響により、この毛周期における成長期が短くなり、充分に成長しないまま退行期・休止期を経て抜け落ちてしまいます(図-1)

※3.

BMP

Bone Morphogenetic Protein(骨形成促進因子)。一般には骨形成に関与するタンパク質として知られている。

※4.

エフリン

ephrin。一般には血管形成などの働きを担っているタンパク質として知られている。

2.本研究の概要

(1) 

男性ホルモンが「脱毛シグナルNT-4」の作用を強めることを世界で初めて確認。
NT-4の増加が男性型脱毛症の一因である可能性を発見

本研究では、次の仮説(図-2)に基づき検証を行いました。

 

<仮説>

男性ホルモンが、毛乳頭での「脱毛シグナルNT-4」の分泌量を増加させ、その影響で毛母細胞において不必要なアポトーシス※5が起こることで、男性型脱毛症の発症が起こる。

 

 まず、NT-4の存在とアポトーシスの発現の関係を調べました。実験は、ヒト角化細胞を用い、NT-4を添加してアポトーシスを起こした細胞の割合を調べたところ、NT-4を添加した系はNT-4無添加の系に比較してアポトーシスを起こした細胞が有意に増加しました。

 次に、男性ホルモンの存在とNT-4の生成の関係を調べました。実験は、ヒト毛乳頭細胞に男性ホルモンを添加することによる、毛乳頭細胞内のNT-4生成量を遺伝子学的手法ならびにタンパク質染色手法により測定しました。その結果、男性ホルモンの添加により毛乳頭細胞内のNT-4遺伝子、ならびにタンパク質の生成量が明らかに増大することが確認されました。さらに、男性ホルモンとNT-4遺伝子の関係を研究したところ、NT-4遺伝子の転写調節領域(結合領域)に男性ホルモン受容体が結合する可能性のある部位があることを発見しました。

 以上のことから、男性ホルモンが毛乳頭細胞内に存在する男性ホルモンの受容体と結合すると、NT-4生成のスイッチが作動して、「脱毛シグナル」となるタンパク質NT-4が生成され、これによりアポトーシスが誘導されて男性型脱毛症が引き起こされると推定されました。

※5.アポトーシス:

生体の機能維持のために細胞自らが積極的に引き起こす細胞の死

(2) 

『オキナワモズク抽出物』を塗布すると「脱毛シグナルNT-4」が抑制され、発毛回復の効果があることを確認

 次に「脱毛シグナルNT-4」の働きを弱める物質を探索するために、漢方などの植物や海草類など天然物257種および化学物質45種について、男性ホルモン存在下で毛乳頭細胞を用いてNT-4遺伝子の生成抑制効果を調べました。その結果、特に海藻類にNT-4抑制効果の高いものが多いことがわかりました。そこでさらに、そのNT-4抑制効果の高かったものについて、男性ホルモンを投与することで発毛開始を遅らせたマウスを用いて、試料塗布の有無と毛の発毛遅延を回復させる効果を調べた結果、『オキナワモズク抽出物』にその効果があることを確認しました。

 すなわち、『オキナワモズク抽出物』を塗布すると「脱毛シグナルNT-4」の生成が阻害され、男性ホルモンによって発毛の遅れた毛周期を正常な状態に回復させる効果があることを確認しました。

 

 当社は今後、『オキナワモズク抽出物』を用いた育毛剤の発売を目指して研究開発を進めて参ります。

以上

【日本薬学会第127年会】発表概要
◎開催日 2007年3月28日〜30日(本発表は28日)
◎会 場 富山市総合体育館他
◎演 題 神経栄養因子4を介した男性ホルモンによる発毛遅延作用とその抑制物質の探索
◎発表者 栗田 啓、内山 千代子、石田 和裕、内藤 厚志、吉野 輝彦、大寺 基靖
ライオン株式会社 研究開発本部 生物科学研究所

資料はこちら>(PDF:337KB)

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