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プレスリリース

2008年

−発表資料−

2008年10月1日

20〜30歳代も要注意! “メタボリスク”が高いと歯周病リスクも高い!?
「歯周病とメタボリックシンドロームとの関連性」を日本口腔衛生学会で発表

 財団法人ライオン歯科衛生研究所(理事長・高橋 達直)は、日本大学歯学部衛生学教室 前野正夫まえのまさお教授と共同で「歯周病とメタボリックシンドロームとの関連性」について研究を進め、この度、24〜60歳の男女を対象に、メタボリックシンドロームの指標となる肥満(BMI)・血圧・脂質・血糖値と、歯周病の判定基準となるCPIを調査し、その関連性について統計学的解析を行いました。その結果、「歯周病」と「メタボリックシンドローム」には関連性があることを明らかにしました。特に、男女ともにメタボリックシンドローム指標の該当数が多くなると、歯周病リスクが高くなる傾向があること、さらに、20〜30歳代の若い年代でも40歳代以上と同様に歯周病リスクが高くなる傾向があることが明らかになりました。若い年代でもメタボリックシンドロームの兆候がある人は、歯周病リスクも高くなる傾向があるため、歯周病ケアに留意する必要があることが示唆されました。

 (財)ライオン歯科衛生研究所は、この研究成果を10月4日に『第57回日本口腔衛生学会(2008年10月2〜4日開催)』で発表いたします。

<研究の背景>

 近年、高齢者社会を迎え、「歯周病」や「生活習慣病」の予防など、健康への関心が高まっています。歯周病は歯周病細菌を原因とする口腔内疾患ですが、いろいろな全身疾患との関連性も指摘されており、特に「歯周病」と「糖尿病」は、互いの症状に影響を与えるリスクファクターであるとされています。

 最近では、「メタボリックシンドローム」という視点から、「歯周病」との関連性についての研究が行われており、その中で昨年、40〜79歳の女性を対象とする歯周病とメタボリックシンドローム指標の該当項目との関連性が報告されています(2007年 九州大学大学院歯学研究院報告)。

 そこでこの度、(財)ライオン歯科衛生研究所は、日本大学歯学部衛生学教室 前野正夫教授と共同で、20〜30歳代の若い年代を含む24〜60歳の有職者の男女を対象に「歯周病とメタボリックシンドロームとの関連性」を調査し、検討を行いました。

<調査概要及び結果>

 調査は、24〜60歳の有職者の男性2,028名、女性450名、計2,478名を対象とし、メタボリックシンドローム指標となる肥満※1・血圧※1・脂質※1・血糖値※1の各項目と、歯周病の判定基準となるCPI※2を測定しました。

※1. 

本研究でメタボリックシンドロームの該当となる数値は、肥満;BMI(body mass index) 25以上、血圧;収縮期血圧 130 mmHg以上/または拡張期血圧 85 mmHg以上、脂質;トリグリセリド 150 mg/dL以上/またはHDLコレステロール 40 mg/dL未満、血糖値;空腹時血糖値 110 mg/dL以上

※2. 

CPI(community periodontal index)は、歯周疾患状態を示す指標。“歯周ポケット有”とするのは、CPIの診査基準で、代表歯(10歯)において歯周ポケット4mm以上が1本以上

 今回の対象者は、メタボリックシンドローム指標4項目に関し、該当なしの人は48.0%、該当数が1つの人は27.1%、2つの人は16.7%、3〜4つの人は8.2%でした。また“歯周ポケット有”の人は全体の25.9%でした。

 この結果について関連性を調べたところ、以下のことがわかりました。

■ 

歯周ポケットの有無とメタボリックシンドローム指標によるメタボリスクとを比較すると、肥満、血圧、脂質、血糖値の全ての項目で、メタボリスクの高い人は低い人に比べ、“歯周ポケット有”の該当率が明らかに高いことがわかりました。同時に、歯周ポケットの有無は、性別・年齢・喫煙習慣の影響を受けやすいことが示されました。

 そこで、性別・年齢・喫煙習慣の要素を排除しても関連性があるのかを調べるために、この3つの要素を調整因子として統計処理※3を行い、その後、メタボリックシンドローム指標となる項目とCPIとの関連を調べる統計解析※4を行いました。

※3. 

JMP(SAS Institute Japan 社製)

※4. 

多重ロジスティック回帰分析

 その結果、

■ 

メタボリックシンドローム指標の項目に該当する人は、“歯周ポケット有”の比率も明らかに高いことがわかりました。

■ 

特に20〜30歳代の若い年代も、40歳代以上と同様に、メタボリックシンドローム指標の項目該当数が多くなると“歯周ポケット有”の比率が高く、歯周病リスクが高くなる傾向があることがわかりました。

 以上、今回の若い年代を含む幅広い世代の男女を対象とする調査により、歯周病とメタボリックシンドロームとの間には密接な関連性があることを明らかにしました。

 この研究成果は、10月4日(土)に、埼玉県さいたま市で開催される『第57回日本口腔衛生学会』で、(財)ライオン歯科衛生研究所が発表いたします。

 当社は今後も“口腔から全身の健康を科学する研究”を続けてまいります。

★『第57回日本口腔衛生学会』発表概要
開催日 2008年10月2〜4日(発表日:10月4日(土))
会 場 大宮ソニックシティ(埼玉県さいたま市大宮区桜木町1-7-5)
演 題 職域成人における歯周病とメタボリックシンドロームとの関連性
発表者 (財)ライオン歯科衛生研究所 森田十誉子、山崎洋治、小川洋子、高田康二
ライオン(株)健康管理室 瀬戸美才、西埜植規秀
東京医科歯科大学歯学部附属口腔保健教育研究センター 佐々木好幸准教授
日本大学歯学部衛生学教室 本橋正史准教授、前野正夫教授

以上

<資料>

メタボリックシンドロームを意識した生活習慣の改善には
規則正しい口腔ケアの実践を推進することが必要

日本大学歯学部 衛生学教室

前野 正夫 教授

日本大学歯学部 衛生学教室 前野 正夫 教授

 歯周病とメタボリックシンドロームとの関連性については、これまでにもいくつかの報告があります。今回の研究では、メタボリックシンドロームが歯周病の進行のリスクになるという点が明らかになりました。特に、20歳代から50歳代という働き盛りの男女からなる集団で関連性が確認された点は興味深いことです。今後は、メタボリックシンドロームの進行に対し、歯周病がどの程度リスクになるのかを明確にする必要があります。

 メタボリックシンドロームの該当者が増加傾向にある昨今の社会的状況を踏まえますと、若年層を含む有職者においては、全身の健診とともに歯周病の健診を受診し、口腔を健康に保つことが重要であると考えています。

 また、メタボリックシンドロームを意識した生活習慣の改善にはかなり強い意志と努力が求められます。したがって、その改善には、まず歯周病予防を目的とした規則正しい口腔ケア(セルフケア&プロフェッショナルケア)の実践を推進し、その実現を通して規則正しい生活習慣の確立に繋げていくことが必要ではないかと考えています。

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