−発表資料−
2009年10月7日
財団法人ライオン歯科衛生研究所(理事長・高橋 達直)は、日本大学歯学部衛生学教室
その結果、4年後にメタボリックシンドローム指標が陽性化した項目数が2つ以上ある人の割合は、初回健診において歯周ポケット有の人の方が有意に高く、また、4年後に「血圧」・「脂質」の検査結果が陽性になる人の割合も、初回健診で歯周ポケット有の人の方が有意に高くなることが認められました。このことより、「歯周病」と「メタボリックシンドローム指標の陽性化」には関連性があることが明らかになりました。
歯周ポケットを保有している人は、現在は健康でも、将来メタボリックシンドロームの発症リスクが高くなる傾向があることから、健康な状態を保つためには歯周病ケアに留意する必要があることが示唆されました。
(財)ライオン歯科衛生研究所は、この研究成果を10月11日に『第58回日本口腔衛生学会(2009年10月9日〜11日開催)』で発表いたします。
歯周病は歯周病細菌を原因とする口腔内疾患で、いろいろな全身疾患との関連性も指摘されており、特に「歯周病」と「糖尿病」は、互いの症状に影響を与えるリスクファクターであるとされています。
(財)ライオン歯科衛生研究所は、24〜60歳の有職者の男女を対象に「歯周病とメタボリックシンドロームとの関連性」を調査し、両者の間には密接な関連性があることを明らかにしました〔第57回日本口腔衛生学会報告(2008年)、J Public Health Dent, 2009(in press)〕。
この度は、メタボリックシンドロームの発症に、歯周病の有無がどのように影響しているのかを明らかにするため、第1報に続き、日本大学歯学部衛生学教室 前野正夫教授と共同で検討を行いました。
今回の調査は、20〜56歳の有職者の男性727名、女性296名、計1,023名を対象とし、メタボリックシンドローム指標となる4項目(肥満※1・血圧※1・脂質※1・血糖値※1)と、歯周病の判定基準となるCPI※2を測定しました。
※1 |
本研究でメタボリックシンドロームに該当する数値は、肥満;BMI(body mass index)25以上、血圧;収縮期血圧 130mmHg以上または拡張期血圧 85mmHg以上、脂質;トリグリセリド 150mg/dL以上またはHDLコレステロール 40mg/dL未満、血糖値;空腹時血糖値 110mg/dL以上 |
※2 |
CPI(community periodontal index)は、歯周疾患状態を示す指標。“歯周ポケット有”とするのは、CPIの診査基準で、代表歯(10歯)において歯周ポケット4mm以上が1本以上 |
今回は、初回健診でメタボリックシンドローム指標4項目のいずれも基準値内の人を対象者とし、歯周ポケットの有無(CPI測定)によりグループを分け、それぞれのグループのメタボリックシンドローム指標4項目の4年後の変化を解析しました。対象者の初回歯科健診で、“歯周ポケット有”の人は全体の20.0%でした。
また、4年後の健診結果について、年齢・性別・喫煙習慣・生活習慣(運動習慣・間食習慣・適正体重の維持)の6つの要素を調整因子として統計処理※3を行い、その後、メタボリックシンドローム指標4項目と歯周ポケットの有無との関連を調べる統計解析※4を行いました。
※3 |
JMP(SAS Institute Japan 社製) |
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多重ロジスティック回帰分析 |
その結果、以下のことがわかりました。
(1) |
4年後の健診でメタボリックシンドローム指標が1項目以上該当する人※5の割合は、初回健診で歯周ポケット有のグループと無のグループで比較すると、歯周ポケット有のグループの方が高いことがわかりました。特に、2項目以上該当する人の割合は、歯周ポケット有のグループの方が有意に高いことが認められました。
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また、メタボリックシンドロームの指標別に、4年後に陽性と診断された状況をまとめた結果、
(2) |
陽性化した順は、血圧(高血圧)13.7%、肥満7.1%、脂質(異常)6.7%、血糖値(高血糖)1.0%。 |
(3) |
歯周ポケットの有無でメタボリックシンドローム指標別の該当者の割合を比較すると、いずれの項目も歯周ポケット有のグループの方が高い傾向を示すことがわかりました。特に、高血圧と脂質異常の2項目においては、歯周ポケット有のグループの方が有意に高いことが確認されました。 |
以上、健診結果の追跡調査の解析より、歯周ポケット保有者は、メタボリックシンドローム指標が陽性になるリスクが高いことが明らかになり、特に高血圧、脂質異常になるリスクが高いことがわかりました。この結果により、「歯周病」と「メタボリックシンドロームの発症」には、密接な関連性があることが明らかになり、歯周病を予防することは、メタボリックシンドローム予防に貢献する可能性があることが示唆されました。
この研究成果は、10月11日に、岐阜県岐阜市で開催される『第58回日本口腔衛生学会・総会』で、(財)ライオン歯科衛生研究所が発表いたします。
当研究所は今後も“口腔から全身の健康を科学する研究”を続けてまいります。
開催日 |
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2009年10月9日〜11日(発表日:10月11日(日)) |
会 場 |
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長良川国際会議場(岐阜県岐阜市長良福光2695-2) |
演 題 |
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職域成人における歯周病とメタボリックシンドロームとの関連性 第2報 コホート研究による解析 |
発表者 |
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(財)ライオン歯科衛生研究所 森田十誉子、山崎洋治、三田理絵、高田康二 ライオン(株)健康管理室 瀬戸美才、西埜植規秀 東京医科歯科大学歯学部附属口腔保健教育研究センター 佐々木好幸准教授 日本大学歯学部衛生学教室 本橋正史准教授、前野正夫教授 日本大学歯学部総合歯学研究所機能形態部門 |
以上
(資料)
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口腔ケアを実践して、メタボリックシンドロームを予防しましょう |
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日本大学歯学部 衛生学教室 前野 正夫 教授 |
我々のこれまでの研究で、メタボリックシンドロームと歯周病に関連があることが明らかになりました。両者の関連性については、我々の研究を含めて、いくつかの報告がありますが、その因果関係までは明らかになっていませんでした。
今回、メタボリックシンドローム指標が全て基準値内の者を対象に検討を行い、歯周ポケットを保有していると、その後の4年間に、メタボリックシンドローム指標が陽性になるリスクが高いことが、初めて明らかになりました。
すなわち、口腔を健康に保つことは、メタボリックシンドロームの発症を抑制する可能性があることを意味しています。
歯周病になると、歯周病菌由来の
したがって、歯周病を予防することは、メタボリックシンドロームの予防にも寄与する可能性があり、若いうちから口腔を健康に保つことが全身の健康を維持するためにも重要と考えられます。
全身疾患を予防し健康寿命をより長くするためには、自分の口腔状態に関心を持ち、歯周病予防を目的とした規則正しい口腔ケア(セルフケア&プロフェッショナルケア)を実践していただきたいと思っています。
報道関係の方 ライオン株式会社 広報部 TEL:03-3621-6661