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プレスリリース

2009年

−発表資料−

2009年11月20日

中高年の口臭に特有な成分は、「イソ吉草酸」であることを検証

 ライオン株式会社(社長・藤重 貞慶)は、東京医科歯科大学大学院健康推進歯学分野 川口かわぐち陽子ようこ教授と共同で、口臭成分と口腔内状況との関連について研究を行っております。この度、中高年の口臭を調べた結果、特徴的で不快なニオイの原因は、“足の不快なニオイ”で知られている「イソ吉草酸」などの揮発性低級脂肪酸であることを明らかにしました。さらに、「イソ吉草酸」の量は加齢により増加し、口臭の官能評価値とも有意に関連性があることを臨床試験において確認しました。

※:

専門家が口臭の強さや質を総合評価した値

1.口臭に関する従来の当社研究内容

 口臭の約8割は口腔内に原因があり、口臭原因菌「フゾバクテリウム菌」が産生するメチルメルカプタンなどの揮発性硫黄化合物が口臭成分であると知られています。また口臭は、一般的に年齢とともに強くなること、若い人の口臭と中高年の人の口臭とではニオイの質に違いがあることが知られております。さらに当社調査では、口臭を自覚している人は50代前半が最も多く、その年代の約4割が気にしていることがわかりました。

 そこで当社は“中高年の口臭”の原因を明らかにするために研究に取り組み、これまでに、『口臭は複合臭であり、揮発性硫黄化合物以外の成分が存在すること(2004年学会発表)』、『口臭原因菌(フゾバクテリウム菌)は年齢に関係なく、ある一定量が口腔内に存在する一方で、加齢とともに増加する口腔内細菌が存在し、その原因菌は「プレボテラ属の細菌」、歯周病原因菌の「ポルフィロモナス・ジンジバリス菌」であること(2006年学会発表)』を明らかにしました。

2.本研究の概要及び結果

本研究では

・加齢とともに増加する口腔内細菌は、口臭成分を産生するか

・中高年の口臭に特有な原因物質及び原因菌は何か

を明らかにするために検討を行いました。

2-1.

中高年口臭のニオイの質の違いは、「揮発性低級脂肪酸」が増加するためと推定

 まず、中高年に特徴的な口臭成分を特定するため、口腔内の細菌が産生する臭気物質を分析しました。実験は、一般的な口腔内細菌37種類を培養し、産生する揮発性化合物をガスクロマトグラフィーで分析しました。その結果、以下のことがわかりました。

(1) 

加齢により増加が認められた「プレボテラ属の細菌」や「ポルフィロモナス・ジンジバリス菌」が、2-メチル酪酸、イソ吉草酸などの「揮発性低級脂肪酸」を産生すること

(2) 

年齢依存性のない口臭原因菌「フゾバクテリウム菌」は、メチルメルカプタンを産生するが、2-メチル酪酸、イソ吉草酸を産生しないこと

(3) 

他の口腔内細菌は、2-メチル酪酸、イソ吉草酸をほとんど産生しないこと

 

 以上の結果から、中高年になると口臭が変化するのは、2-メチル酪酸、イソ吉草酸を主とした「揮発性低級脂肪酸」の発生量が口腔内で増加するためではないかと推定しました。よって、“中高年口臭”の原因物質は、「揮発性低級脂肪酸」であると仮定し、次に検証を行いました。

2-2.

“中高年口臭”の原因物質は「イソ吉草酸」であることを、臨床試験により検証

 “中高年口臭”の原因物質が「揮発性低級脂肪酸」であり、中でも特徴付ける成分は何かを検証するため、東京医科歯科大学大学院健康推進歯学分野 川口陽子教授と共同で口臭外来受診者を対象に臨床試験を行いました。

 対象者は、東京医科歯科大学歯学部付属病院息さわやか外来(口臭専門外来)受診者のうち、本試験への参加同意が得られた20〜80代の91名(男性26名、女性65名、平均年齢52歳)とし、対象者の口臭を専門家が官能評価するとともに、口気、唾液及び舌苔を評価サンプルとして採取し、口臭成分の分析、口腔内細菌数測定を行い、その関連性を調べました。

 今回新たに、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)を用いた高感度口臭成分分析定量法を確立し、口気中の微量成分の定量を可能にしました。本研究ではこの定量法を使って評価サンプルの臭気成分を分析しました。

 臨床試験の結果、以下のことが明らかになりました。

(1) 

「対象者の年齢」と「口気中のイソ吉草酸の量」との間に、有意な相関関係が認められ、年齢が高いほどイソ吉草酸の発生量が多いこと

(2) 

「対象者の年齢」と「口腔内のプレボテラ属の細菌の数」及び、「口気中のイソ吉草酸の量」と「口腔内のプレボテラ属の細菌の数」との間に、いずれも有意な相関関係が認められました。このことから、加齢により口腔内のプレボテラ属の細菌が多くなり、イソ吉草酸を産生して口気中のイソ吉草酸量も多くなること

(3) 

対象者の口気を6段階官能評価により検査し、口臭有の群(63名)と口臭無の群(28名)に分けて解析した結果、口臭有の群でイソ吉草酸の濃度が有意に高いことが認められ、口臭の不快なニオイとイソ吉草酸量に関連があること

 

 以上の結果より、この度初めて、中高年に特徴的な口臭成分は、加齢により口腔内で増加する「プレボテラ属の細菌」や歯周病原因菌「ポルフィロモナス・ジンジバリス菌」によって産出される「イソ吉草酸」であることを明らかにしました。なお、「イソ吉草酸」は、一般的には“足の不快なニオイ”として知られている物質です。

 一般的に中高年になると、酸素を嫌う嫌気性細菌である「プレボテラ属の細菌」が口腔内に生息しやすくなって、揮発性低級脂肪酸が発生しやすくなると考えられます。その揮発性低級脂肪酸と揮発性硫黄化合物が口腔内で混ざることによって、中高年特有の不快な口臭となるものと考察されます。

 本研究内容は、日本分析化学会 第58年会、第58回日本口腔衛生学会、第52回秋季日本歯周病学会学術大会にて発表しております。

 また、口臭予防方法とケアについては、ライオンホームページ「くらしに役立つ情報〜歯とお口の健康情報〜」をご参照ください。(http://www.lion.co.jp/ja/life/oral/self/10.htm

【加齢により増加する口腔内細菌の電子顕微鏡写真】

プレボテラ メラニノジェニカ (12,000倍)

【日本分析化学会 第58年会】発表概要
 

○開催日 

2009年9月24日〜26日 <発表日:9月24日(木)>

○会 場

北海道大学 高等教育機能開発総合センター(札幌市北区北17条西8丁目)

○演 題

口気中微量成分のGC/MS分析

○発表者

市場有子1)、埴原鉱行1)、田中孝祐1)、藤原正美1)、平山知子2)、数野恵子2)

森嶋清二2)、山本高司2)

 

1) ライオン株式会社 研究開発本部 分析技術センター

2) ライオン株式会社 研究開発本部 オーラルケア研究所

【第58回日本口腔衛生学会】発表概要
 

○開催日 

2009年10月9日〜11日 <発表日:10月10日(土)>

○会 場

長良川国際会議場(岐阜市長良福光2695-2)

○演 題

口気中の低級脂肪酸と口臭、口腔内状況および各種細菌数との関連について

○発表者

平山知子1)、数野恵子1)、森嶋清二1)、山本高司1)、市場有子2)、埴原鉱行2)

田中孝祐2)、藤原正美2)、植野正之3)、品田佳世子3)、川口陽子3)

 

1) ライオン株式会社 研究開発本部 オーラルケア研究所

2) ライオン株式会社 研究開発本部 分析技術センター

3) 東京医科歯科大学大学院 健康推進歯学分野

○演 題

官能検査による口臭評価と口気中の成分および口腔保健状況との関連について

○発表者 

品田佳世子1)、竹内 晋1)、財津 崇1)、大貫茉莉1)、大城暁子1)、植野正之1)

平山知子2)、数野恵子2)、森嶋清二2)、山本高司2)、市場有子3)、埴原鉱行3)

田中孝祐3)、藤原正美3)、川口陽子1)

 

1) 東京医科歯科大学大学院 健康推進歯学分野

2) ライオン株式会社 研究開発本部 オーラルケア研究所

3) ライオン株式会社 研究開発本部 分析技術センター

【第52回秋季日本歯周病学会学術大会】発表概要
 

○開催日 

2009年10月11日 <発表日:10月11日(日)>

○会 場

宮崎観光ホテル(宮崎市松山1丁目1番1号)

○演 題

口気中の揮発性脂肪酸と歯周病関連細菌との関連性について

○発表者

数野恵子1)、平山知子1)、森嶋清二1)、山本高司1)、市場有子2)、埴原鉱行2)

田中孝祐2)、藤原正美2)、植野正之3)、品田佳世子3)、川口陽子3)

 

1) ライオン株式会社 研究開発本部 オーラルケア研究所

2) ライオン株式会社 研究開発本部 分析技術センター

3) 東京医科歯科大学大学院 健康推進歯学分野

以上

お問い合わせ窓口

ライオン株式会社 広報部 TEL:03-3621-6661

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