−発表資料−

 

−部屋干しした衣類は、使用して「湿った時」にまた臭う!−
タオルが湿った時に感じるイヤなニオイのキー成分は
『中鎖脂肪酸』と『トリエチルアミン』

 ライオン株式会社(社長・藤重 貞慶)は、これまで部屋干し洗濯について先進的に研究を進め、ニオイに対する生活者の悩みを解決するための製品開発に繋げてきました。そしてこの度、当社ファブリックケア研究所ならびに分析技術センターは、部屋干しした衣類から感じるイヤなニオイについて研究を行い、以下の知見を得ました。

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部屋干しした衣類から感じるイヤなニオイは、室内に「洗濯物を干している時」だけでなく、手を拭くなどで使用して、「衣類が湿った時」に感じる頻度が高い

(2) 

この、「衣類が湿った時」に感じるイヤなニオイ(以下、“もどり生乾き臭”)のキー成分は、『中鎖脂肪酸』と『トリエチルアミン』であり、これらの臭気成分は「衣類が湿った時」に揮発量が増えて強く臭う

 部屋干しした衣類の“もどり生乾き臭”に着目し、その臭気の構成成分として『トリエチルアミン』を特定したことは新しい知見です。

1.研究の背景

 洗濯物を部屋に干すという行動はライフスタイルの変化等に伴い増加を続け、2010年の調査では9割以上もの人が行っています。一方で、部屋干しした衣類から発生するニオイについては多くの人が不満を感じており、「洗濯物からイヤなニオイがする(66%)」ことに加え、「洗濯物が乾いた後、使う時に湿るとイヤなニオイが再発生する(56%)」ことに対しても不満を感じています(2010年、当社調べ)。

 当社はこれまでに、部屋干しした衣類から発生するニオイが『中鎖脂肪酸』をキー成分とする独特の酸っぱく汗臭いニオイであることを特定するとともに、それらのニオイは、洗濯で完全に落としきれなかった汚れが化学的な分解や菌の代謝により発生することを明らかにしました(2002年5月発表)。この度は、これまで着目されていなかった“もどり生乾き臭”について研究を進め、その実態と発生要因についての解明を行いました。

2.本研究成果の概要

 

2-1) 

部屋干しした衣類から感じるイヤなニオイは、室内に「洗濯物を干している時」だけでなく、手を拭くなどで使用して「衣類が湿った時」に感じる頻度が高い

 まず、部屋干しした衣類から感じるニオイに対する生活者の意識を明らかにするため、主に部屋干しを行っている生活者38名を対象に、衣類からイヤなニオイを感じる場面について調べました。その結果、部屋干しをしている時には、特に「酸っぱく汗臭いニオイ」「カビ臭いニオイ」「生臭いニオイ」を感じる人が多く、これらのニオイは衣類が乾くことで一度感じにくくなるものの、使用により衣類が湿ることで再び感じやすくなることがわかりました(図1)。また、これらのニオイの不快度について調べたところ、「酸っぱく汗臭いニオイ」「生臭いニオイ」を特に不快に感じる人の割合が高いことが明らかになりました(図2)。

図1)部屋干しした衣類からニオイを感じる場面
 
図1)部屋干しした衣類からニオイを感じる場面
 
図2)衣類から感じるニオイの不快度
 
図2)衣類から感じるニオイの不快度

2-2) 

「使用して湿った時」に感じる“もどり生乾き臭”のキー成分は、酸っぱく汗臭いニオイの『中鎖脂肪酸』と、魚の様な生臭いニオイの『トリエチルアミン』であり、これらの臭気成分は「衣類が湿った時」に揮発量が増えて強く臭う

 そこで次に、部屋干しして乾燥した衣類が使用により湿ることで発生する“もどり生乾き臭”の解析を行いました。一般家庭から“部屋干し洗濯を繰り返したタオル”を回収し、湿らせたときに発生する揮発物質を、高感度に検出できる固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析計を用いて分析しました。結果、“もどり生乾き臭”は種々のニオイ物質が混ざった複合臭であること、そのニオイを特徴付けるキー成分は、部屋干しの時に感じる特有の酸っぱく汗臭いニオイとして知られている『中鎖脂肪酸』のほか、『トリエチルアミン』であることがわかりました。『トリエチルアミン』は魚の様な生臭いニオイを発する低級アミンの1種で、洗濯した衣類から生じる臭気成分として特定されたのは今回が初めてです。

 さらに、『中鎖脂肪酸』および『トリエチルアミン』が“もどり生乾き臭”として、湿った衣類から揮発することを検証するために、“部屋干し洗濯を繰り返したタオル”にタオルの重量に対して20%の水分を含ませ、揮発量の変化を調べました。結果、乾燥している時と比べ水分を含んだ場合に『中鎖脂肪酸』は平均で約6倍、『トリエチルアミン』は約8倍その揮発量が増大することを確認しました。

 

アシネトバクター属をはじめとする細菌が『トリエチルアミン』の発生に関与している

 “もどり生乾き臭”の発生要因を明らかにするため、一般家庭から回収した“部屋干し洗濯を繰り返したタオル”に付着している細菌と、発生する臭気成分との関連性について調べました。結果、イヤなニオイを発するタオルには多種多様な細菌が付着しており、これら細菌と皮脂やタンパク質などの汚れが共存することで、湿度の高い条件では『中鎖脂肪酸』および、『トリエチルアミン』が生じることをガスクロマトグラフ質量分析計により確認しました。また、『トリエチルアミン』の発生については、アシネトバクター属(Acinetobacter sp.)をはじめとする数種の細菌が関与していることも確認しました。

当社は、“部屋干し臭”および“もどり生乾き臭”の除臭・抑制技術について研究を進める中で、亜鉛化合物の一種である“活性ジンクイオン”に高い効果があることを見出しました。これらの知見を活用し“活性ジンクイオン”を新配合した衣料用洗剤『部屋干しトップ』を、2011年3月に改良新発売し、お客様よりご高評いただいております。

 

以上の内容は、下記学会で発表しております。

 

日本家政学会第63回大会

 

2011年

5月

28日

(兵藤亮ほか)

 

繊維学会年次大会

 

2011年

6月

8日

(藤原久美子ほか)

 

日本防菌防黴学会第38回年次大会

 

2011年

8月

30日

(森田靖之ほか)

 

日本分析化学会第60年会

 

2011年

9月

16日

(杉山淳一ほか)

以 上

お問い合わせ窓口

報道関係の方 ライオン株式会社 広報センター TEL:03-3621-6661

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