ビューティケア研究所では、界面科学、無機化学、皮膚・毛髪科学、天然物化学等を基盤とした技術を駆使し、人々の身体を清潔で健康に保つとともに、美しくかつ若々しく見せ、人々の心に潤いを与えてQOL向上に繋がる商品の開発を進めています。具体的には、優れた洗浄力と皮膚のバリア性を両立する技術、皮膚や毛髪の感触を制御する技術、カラーリングや紫外線で損傷を受けた毛髪を修復する技術、体臭発生機構に対処した効果的な消臭技術、遺伝子レベルの発毛メカニズム解析に基づく育毛技術等により、ヘアケア分野においては、シャンプー、コンディショナー、ヘアケア剤、育毛剤などを、またスキンケア分野では、制汗剤、ボディソープ、ハンドソープ、入浴剤、消毒剤などを開発しています。
入浴中は肌に水が浸透するため、肌がうるおったと感じます。しかし、入浴後には肌の乾燥を感じます。この原因解明のため、入浴行動に着目して研究を進めた結果、「体を洗う」行動と「お湯に浸かる」行動の中に、入浴後の肌の乾燥を引き起こすリスクが潜んでいることを確認しました。
「体を洗う」時は、洗浄用具による摩擦刺激により肌が乾燥しやすい状態となります。摩擦刺激を抑えるため、クリーミーな泡が「肌あたりのよいクッション効果と汚れを吸い取る効果(図1)」を保有することに着目し、はじめからクリーミーな泡が容器から出て、手で洗うことに適した剤型の開発を試みました。
クリーミーな泡、肌に対するマイルド性の観点から、アミノ酸系洗浄成分など3種類を厳選、組合せ配合し、洗うリスクを低減する「泡のボディケアウォッシュ」の商品化に成功しました。
「お湯に浸かる」時は、角質が水分を含んで膨潤し、角質の間に隙間ができるため、入浴後の約20〜30分には入浴前よりも肌の水分量が低くなり、肌が乾燥します(図2)。そこで、入浴後の肌の乾燥を守る成分として、皮膚表面に吸着しやすい天然クレイを選定(当社技術)、保護バリアの形成を図りました。さらに、うるおいを与える成分として、水を抱える効果の高い高保潤成分ソルビトールを配合、浸かるリスクを低減する「ボディケア入浴液」の商品化に至りました。
インフルエンザ、ノロウィルスなどの感染への予防の観点から、生活者の手指の清潔に対する意識が高まっていることに着目し、製品開発に着手しました。
最も工夫したのは「使いやすくて使用感のよい剤型」です。一般的な消毒剤であるアルコール水溶液は粘度が低く、容器から液を出す時にまわりに飛び散りやすい欠点があります。その抑制のため、高粘度の液体にすると、配合する増粘ポリマーによるべたつきが感じられます。そこで、低粘度の液が泡になって出てくる「フォーマー容器」に着目、使いやすさと使用感を両立させることができました。
組成開発のポイントは、「泡の強度コントロール」です。排出直後には手の上で垂れ落ちない強度があり、手に擦り込むときには泡が消えるよう、植物原料である「硬化ヒマシ油系」の界面活性剤を活用しました。また、従来のアルコール濃度の高い消毒剤は、アルコール特有のツンとした臭いがあるため、アルコール量を使用後の手指の乾燥のために必要な最低量に抑え、有効成分として「ベンザルコニウム塩化物」を配合しました。さらに、アルコールは、植物原料から製造される環境を配慮した「発酵エタノール」を使用しました。
手指の清潔と並び、「うがいの習慣化」は日常の感染予防に重要です。一般的なうがい薬は、配合された有効成分の殺菌効果や抗炎症効果により、機能を発現します。
一方、のど表面の粘膜を覆う「線毛」は、ウィルスや菌などの異物を「線毛運動」によって体外に運び出す重要な働きをしています。毎秒70枚の連続画像を撮影して線毛運動を観察する新手法を確立し、うがい薬の線毛運動への影響を評価しました。その結果、うがい液の種類によっては、殺菌成分がのどの「線毛運動」の働きを一時的に低下させることを新たに発見しました。
そこで、殺菌成分を配合しつつ、線毛運動の働きを低下させることのない組成開発に着手しました。生物の体内では塩濃度がほぼ一定であるのに対し、うがいは塩濃度がほぼゼロの真水で行っていることに着眼。 うがい液の塩濃度を上げた(浸透圧を高くした)結果、殺菌成分を配合しても線毛運動が低下しない事実を見出し、線毛運動の働きを低下させない技術の実現化への大きな糸口を掴むことができました。
しかし、うがい薬は水で50倍に希釈して使用するため、高濃度の塩の配合は困難でした。そこで、同様の効果がある成分を鋭意探索し、化粧品の保湿剤として使用されている「プロピレングリコール」の配合により、線毛運動の働きを妨げない処方の開発に成功しました。
・SLEEP AND BIOLOGICAL RHYTHMS 「The Sleep Improving Effect of the Aromatic Component Heliotropin-Verification Using the OSA Sleep Inventory under Ordinary Living Conditions-」
・Chronobiology International 25(4),2008 「A study of the Association between Sleep Habits and Problematic Behaviors in Preschool Children」
・J Dermatol Sci. 52,2008 「Ephrin-A3 not only increases the density of hair follicles but also accelerates anagen development in neonatal mice」
・第59回日本皮膚科学会中部支部学術大会 「頭皮の実態とトラブルの自覚について」
・2008日本化学会西日本大会 「若年男性における体臭発生機構と体臭制御」
・第49回日本呼吸器学会学術講演会 「気道粘膜の半気相器官培養系における線毛運動評価法の確立と制御因子の検討」