ファブリックケア研究では、衣料用洗剤や柔軟剤を中心に衣類ケアのための製品開発を行っている。毎日お客様に使用していただく製品だからこそ、性能はもちろん環境にやさしく安心して使用していただける製品開発を心がけている。環境対応の一環として植物原料パームやしを原料とするオリジナル界面活性剤MES、界面活性剤だけでは落ちない汚れを簡単に分解する様々な酵素の開発(図1)、ナノテク技術を活用した超微粒化柔軟成分をはじめとする多くのオリジナル技術はもちろん、世界の様々な原料メーカーと共同で技術開発を行い、様々な製品に応用し、お客様の清潔で快適な衣生活をサポートする製品を開発している。
温暖化ガスの問題は、人類の大きな課題だ。有限である石油資源の消費を抑制し、再生産可能な植物原料の活用はこれからの地球環境を守る重要なキーワードといえる。ライオンは環境問題に早くから注力し、植物原料であるパームやし油に着目、これを原料とする界面活性剤の開発に取り組んできた。1990年にパームオイルからライオンのオリジナル界面活性剤MESの原料となる高純度メチルエステルを製造する専用工場を設立し、洗剤への応用を進めてきている。MESはそのユニークな分子構造から、高い油脂可溶化力、高い耐硬水性、高い生分解性を持っており、少量で高い洗浄力を発揮する環境負荷の少ない界面活性剤である。
一方、洗剤中の界面活性剤は洗濯後に環境へ排出されると、微生物によって分解されて水とCO2になる。植物を原料とするMESの場合は、CO2がその植物によって再び吸収されると考えればCO2の増加に寄与しないといえる。このような性質を「カーボンニュートラル」という。洗剤中の成分にカーボンニュートラルな植物原料の比率を高めることは、CO2増加抑制に役立つわけだ。我々は高洗浄力と環境への配慮を両立した洗濯用洗剤の研究を行い、2006年に洗浄成分中の植物原料比率を約3/4にまで高めた「トップ」を発売した。その後、更なる商品改良を行った結果、2009年発売の「トップ」では1990年に発売した石油を主原料とする「ハイトップ」と比較して、CO2排出量を51%も削減していることがわかる(図2)。
これはMES技術を保有するライオンの洗剤だけの特長といえる。こういった温暖化ガス排出量削減や商品を通じた環境配慮の取り組みは高く評価され、ライオンは、環境に対する顕彰制度として日本で最も権威・格式のある「地球環境大賞」第16回大賞(2007年)を受賞している。
これはMES技術を保有するライオンの洗剤だけの特長といえる。こういった温暖化ガス排出量削減や商品を通じた環境配慮の取り組みは高く評価され、ライオンは、環境に対する顕彰制度として日本で最も権威・格式のある制度「地球環境大賞」第16回大賞(2007年)を受賞している。
もうひとつのライオンの重要な洗剤の技術が酵素技術である。洗剤用に適した高性能デンプン分解酵素を酵素メーカーと共同で開発し、従来から保有するタンパク分解酵素、脂質分解酵素、とあわせ、3種類の酵素を洗剤に配合した。その結果、これまで洗剤だけでは落とすことが難しいとされた食べこぼし汚れも簡単に落とせるようになっただけでなく、酵素の組み合わせによる相乗効果で、ワンランク上の洗浄力を発揮させる技術を開発(図3)、製品に応用している。酵素を活用することで、少ない界面活性剤でも高い洗浄力を発揮する。環境負荷低減の観点からも有効な技術である。
・99th AOCS Annual Meeting & Expo(2008年)「Enzyme Stability in MES Solution」
・第40回洗浄に関するシンポジウム(2008年)「洗濯過程における衣類への香料の吸着挙動について」
・第10回日本感性工学会大会(2008年)「衣類のニオイに関する統計調査と消臭効果の官能・生理的解析」