ライオンは環境対応先進企業を目指し、再生産可能な植物原料の活用を積極的に進めている。油脂活用技術は、この目標を実現するための基盤となる技術であり、パーム油からの高純度脂肪酸メチルエステル製造技術や微量成分であるカロテンの抽出技術において、世界トップレベルの技術を有している。現在、年間7万トンの生産能力を有する高純度メチルエステルに関して、洗浄力や生分解性に優れた植物由来のアニオン界面活性剤MES(メチルエステルスルホネート)やBDF(バイオディーゼル燃料)用途など、事業領域の拡大に向けた製造プロセスのさらなる高度化研究を進めている。また、グリーンケミストリーの考えに基づく新規オレオビジネスへの展開を図るべく、油脂由来の原料から付加価値の高い機能素材を創出するための技術開発を外部研究機関や大学とも連携して進めている。
パーム油やヤシ油等から製造される脂肪酸メチルエステルは、アニオン性界面活性剤MESやカチオン性界面活性剤TEQ(エステル型四級アンモニウム塩)等、植物系界面活性剤の出発物質として用いられ、また近年、BDFとしても注目されている。ライオンケミカル坂出工場では1991年から高純度の脂肪酸メチルエステルを商業生産しており、当研では工場と連携しながら、製造工程のさらなる効率化、低コスト化に取り組んでいる。
脂肪酸メチルエステルは、油脂→脱ガム→脱酸→エステル交換反応→水洗→脱水→蒸留、という長い製造工程から成るが、新規プロセス開発においては、各工程について、反応速度解析、物質移動解析、熱収支解析といった化学工学的な手法を駆使し、ラボスケールからパイロットスケールで得た実験データを工学的 に解析しながら、副生物を徹底的に抑制する技術や生産性を向上させる技術開発を進めている。
今後、こうした研究成果を工場に導入し、当社植物系製品の基幹原料やオレオケミカル製品へと展開していく予定である。
・第46回日本油化学会年会(2007年)「グリセロールからの3-アルコキシ-1,2-プロパンジオールの合成」
・月刊ファインケミカル(2008年)「二酸化炭素を用いるアミンオキシドの製造プロセスの開発」