知られざる唾液のチカラ

ライオンの唾液に対する取り組み

食生活だけでなく、口腔内pHの調整や再石灰化など、オーラルケアと唾液は深いかかわりを持っています。ライオンでは100年以上にわたるオーラルケア研究の蓄積を基に、唾液の機能を強化する取り組みを進めています。

“口の渇き”を癒す新成分を発見

グラフ:1%PGA溶液と生理食塩水との間の唾液分泌促進効果比較

生理食塩水またはPGA溶液を30秒間口に含みすすいだ後、分泌される唾液量を5分ごとに30分後まで測定し、累積唾液量を算出しました。結果は、PGA溶液は生理食塩水にくらべて有意に唾液量が増加することを確認しました。

最近、「ドライマウス」という言葉が一般的に使われるほど、口の渇きに問題を抱える人が増えています。

2007年にライオンが調査した時点では20~60代の約半数、推定で4,000万人が、口の渇き、ネバツキなどの不具合を感じていました。

ドライマウスの原因は、糖尿病や自己免疫疾患のひとつであるシェーングレン症候群などの全身疾患、薬の副作用、口呼吸や喫煙、精神的ストレスなどがあります。このような口腔内の乾燥に対応する成分として、ヒアルロン酸など、保湿性の高い物質が従来から使用されてきましたが、根本原因である唾液分泌の低下を改善するには至っていませんでした。ライオンでは唾液分泌促進に効果のある物質の探索を開始し、「ポリグルタミン酸(PGA)」に持続的に唾液の分泌を促進する効果があることを見出しました。

ラクトフェリンとの出会い:歯周病の原因LPSを不活性化することを発見

グラフ:ラクトフェリンのLPS不活性化作用

ヒト歯肉繊維芽細胞に「LPS」あるいは「LPSとラクトフェリン」を作用させ、I型コラーゲン(歯肉を構成するコラーゲン)の合成量の変化を測定しました。 その結果、ラクトフェリンが、LPSによって抑制されるI型コラーゲン合成量を正常レベルに維持することが明らかとなりました。

参考文献:
ラクトフェリンによる歯周病予防効果 -ヒト由来歯肉繊維芽細胞に対する影響-
「ラクトフェリン2007」(日本医学館) 

歯周病菌を殺菌しても、菌が産生した“毒素”LPS(リポポリサッカライド)が残存していると、歯周病の症状が進行する原因となることがわかっています。LPSと歯周病の進行との関係を確認するために遺伝子の網羅的解析(DNAマイクロアレイ解析)を行った結果、LPSはヒト歯肉線維芽細胞でのコラーゲンの合成を抑制し分解を亢進することで、歯周組織のコラーゲン量を減少させ組織の破壊に導くことがわかりました。

LPSを不活性化する成分の研究を進める中でライオンが見い出したのが、唾液に含まれる抗菌成分の一つラクトフェリン。ラクトフェリンはLPSに結合し不活性化することで、LPSによる歯肉のコラーゲン分解などの歯周組織破壊を抑制することを解明しました。

今では、内臓脂肪低減効果で注目されるラクトフェリンですが、ライオンとラクトフェリンの出会いは、オーラルケア研究から始まっていたのです。

唾液検査システムの開発

ライオンでは、患者自身が自分の口腔内の状態を客観的なデータを通じて知ることができる、唾液による検査システムを開発中です。

これは、むし歯と歯周病のリスク、さらに口腔内の清潔度に関連する数値データを歯科医院のチェアサイド(歯科診療台の横)で、わずか5分間で測定することができます。データはレーダーチャートとして、その場で提示され、歯科医師や歯科衛生士による説明によって、わかりやすく自分の口腔状態を把握することができます。むし歯に関しては「う蝕原性菌数」、「pH」、「酸緩衝能」の値を、歯周病については「潜血」、「白血球」、「タンパク質」を測定しています。また、口腔内全体の清潔度と関係するアンモニアの測定も行います。これら7項目の唾液因子が、実際の口腔状態と相関性があるかについて、これまで臨床試験を実施してきました。
例えば、歯周病については、歯周ポケット深さと、「潜血」、「白血球」、「タンパク質」の検査結果との相関性が明らかになっています。

チェアサイド検査へのこだわり

口腔状態を検査することのメリットを広く知ってもらうために、診療現場で検査後すぐに結果がわかり、むし歯や歯周病などに関連する多くの情報が得られる簡便な検査方法が必要です。そのためのチェアサイドにおける検査(Point of care test (POC検査))として、採用したのが唾液による検査です。

※チェアサイド検査:歯科診療台(チェア)の横での検査。ライオンは、検査・結果・歯科医による診断のすべてをチェアサイドで実施できることを重要視し、短時間で多項目の結果が出る検査方法を開発中です。

イメージ:開発中の唾液検査システムの概要

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