植物は地球を救う The Key to Sustainable

ライオンが植物原料を選んだ理由

2007年、ライオンは洗剤の植物原料化で「第16回 地球環境大賞」を受賞しました。石油系の洗剤原料が主流の中で、あえて植物油脂を原料とする洗剤を開発した理由はどこにあったのでしょうか。それは、長年に渡る植物油脂研究のDNAと、地球環境を大切に考える企業理念に他なりません。

石油ショックで再認識した再生可能原料

イメージ:植物とリサイクルの関係

ライオンでは1973年の第一次石油ショックをきっかけとして、業界に先駆けて石炭・石油中心の化学から、サスティナブルな化学への転換を決意し、再生産が可能な洗剤原料として植物油脂に着目しました。植物を選んだ最大の理由は、植物が太陽光と水と二酸化炭素から複雑な化学構造の物質をつくり出す自然のリアクター(反応器)であり、地球環境の中で再生可能な資源だからです。

洗剤に適し、安定供給のパームを選択

イメージ:パームに含まれる脂肪酸の鎖長分布

研究を進める中で植物原料として注目したのは、マレーシアで開発・増産体制が進んでいたパームヤシでした。その実からつくられるパーム油は洗剤原料に適しており、安定供給の面でも非常に優れていました。パームヤシの実は一本の木から年に5~6回も収穫でき、世界で年間2億6千万トンも収穫され、植物油原料の王者ともいえる大豆と比較しても、1ヘクタール当たりの収量が約8倍とずば抜けて多いのが特長です(バイオマス燃料の供給安定性及び経済性/経済産業省)。さらに、果肉からは牛脂と似た油脂が、種からはココヤシと同様の油脂を採り出すことができます。ライオンが過去にヤシ油と牛脂で培った技術をそのまま使え、一つの原料で自由に組み合わせができるということも大きな魅力でした。

粉末と液体の洗剤、柔軟剤まで植物原料に

ライオンが最初にパームから開発した原料は、衣料用の粉末コンパクト洗剤の原料・MES(アルファスルホ脂肪酸エステルナトリウム)です。これが、1991年発売の粉末コンパクト洗剤・スパークや、粉末衣料用洗剤・トップの原料です。さらに、柔軟剤・ソフランの原料であるカチオン界面活性剤TEQ(エステル型四級アンモニウム塩)も植物原料を使用しています。

衣料用洗剤では粉末から液体への転換が進んでいますが、液体衣料用洗剤・NANOXの原料もすでに植物原料が使用されています。ヤシに含まれる油脂を原料に開発されたMEE(脂肪酸メチルエトキシレート)※1です。

※1 MEE:2005年日化協技術賞(総合賞)「複合金属酸化物触媒による新規エトキシル化技術の開発と工業化」 ノニオン界面活性剤製造の要の技術・エトキシル化反応を、新開発の複合金属酸化物触媒で所望成分含有量を大幅に向上させた技術で、洗浄力を飛躍的に向上させた環境安全性の高い洗剤原料の生産を可能にした。

イメージ:植物油の有効利用と作られる製品群

世界のメーカーに植物原料供給を開始

MESはライオンが1991年に開発した、植物油脂からつくられた洗剤原料です。その後、世界的に再生産可能な原料への関心が高まる中で、世界の洗剤メーカーからMESに関する問い合わせが増えてきました。

これらの需要にこたえるために2007年に、MESを製造する会社・ライオンエコケミカルズ(株)をマレーシアに設立しました※2。MESを世界の洗剤メーカーに供給する体制を整え、より多くのメーカーに供給していきます。

※2 MES:2009年日本化学工学会技術賞「通気量がきわめて多い通気撹拌技術の開発と工業化」植物原料から界面活性剤をつくるためのスルホン化工程で使用される撹拌技術。気体・液体の分散性に優れ、高品質で収量の高いスルホン化反応に貢献するライオン独自の技術

2050年の世界を見据えて

いま世界の人口は70億人弱、これが2050年には90億人を突破するといわれています。その当然の帰結として食糧問題が人類にとっての大きな課題となり、耕作面積の拡大による食品供給量の拡大に迫られることになります。すでにこれらに対応する長期的視野に立って、未来の油脂原料調達についての研究が進められています。

その一つが食料と競合せず、乾燥地帯でも生育する植物・ジャトロファで、ジャトロファ種子には約 30%の脂質が含まれています。やせた土地でも成長が早く、旱魃や病気に強い特長があります。農作物栽培が困難な高温・乾燥地域でも十分に栽培可能なため、食料生産と競合しない油脂原料となっています。

もう一つの研究対象は海洋植物です。昆布、わかめ、ホンダワラなどの海藻をはじめ、微細藻類などもその研究対象です。地上の土地が食料生産基地としてますます貴重になる将来に向けて、油脂原料の調達、そして人間にとって有効な成分の調達先を海にまで広げた研究を進めています。

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