03 国際事業プロジェクト

ローカルの価値観を尊重しつつ、
「日本の技術」で世界を変える。

国際事業プロジェクト

マレーシアでは都市化に伴う生活環境の変化で、泥汚れや機械油などの「見える汚れ」から、皮脂汚れやニオイ汚れなどの「見えない汚れ」に対する需要増加が予想された。そこで、衣料用洗剤「トップ」の品質や機能性の向上を目指した全面改良プロジェクトが始動する。生活習慣や考え方が違う中で、どのように全面改良を実現したのか、海外事業のやりがいを紐解く。

PROJECT MEMBER

市川

国際事業本部
商品企画部

海外のマーケティングと研究所間の連携した企画推進を行う。

2009年入社 国際総合科学研究科 理学専攻 修士課程修了

大河内

研究開発本部
グローバル開発センター

洗剤開発担当として組成開発と訴求技術の開発を担う。

2013年入社 理工学研究科 基礎理工学専攻 修士課程修了

吉田

生産技術研究本部
容器・包装技術研究所

容器開発担当として、技術開発から容器設計まで担う。

2007年入社 環境起学専攻 修士課程修了

※所属部所はプロジェクト推進当時のものです。

「見えない汚れを落とす」という
新しい価値観をマレーシアに定着させる。

市川マレーシアは都市化に伴い、泥や機械油の汚れから、皮脂汚れやニオイ汚れに対する需要が高まっていました。それまでも部屋干しのニオイ予防や衛生意識の高まりから、ダニの死骸・糞除去などを訴求してきましたが、もう一段上の「新しい価値」を提供することでマレーシアにおけるトップブランドのプレゼンス向上を目指すプロジェクトが始まりました。

大河内洗剤の組成も容器も同時に開発するプロジェクトでしたね。プロジェクトが始動したのは2014年からで、私は2015年のはじめにプロジェクトに参画し、洗剤開発担当として液体洗剤の改良に取り組みました。最初は、収益性を上げると同時に、トップの特徴である皮脂汚れやニオイ汚れなどの「見えない汚れ」に対する品質を維持しながら、「見えない汚れ」に対する品質も向上してほしいという、とても難易度の高い課題がやってきたなと感じました。

市川本当に難題をお願いしてしまいましたね(笑)。それに加え、マレーシアの方々の生活実態を踏まえた製品設計も依頼しました。やはり日本とは生活習慣が違うので、現地の方がどんな生活をしていてどんな価値観を持っているのかを知った上で商品を開発していく必要があると思っていました。吉田さんがプロジェクトに参加したのは2015年の終わりごろでしたよね。

吉田そうです。容器開発に関しては大変苦労しました。まず、マレーシアの関係会社サザンライオンから発売されていた以前の容器は、大げさにいうとエンジンオイルを入れるような容器でサイズもすごく大きくデザイン性もありませんでした。そこでデザイン性が高く、使いやすさも高めながら、洗剤開発同様、収益性の改善も目指すというチャレンジをしました。

市川ちょうど競合他社もこの時期に、他国で容器を含めたリニューアルがあったので、デザイン性の高い容器にこだわる必要がありました。今回は「見える汚れも、見えない汚れも落とす」というメインコンセプトをいかに分かりやすく伝えるかということに注力しましたね。「見えない汚れを落とす」というのはマレーシアの方々にとっては新しい価値なので、そこを技術サイドに協力してもらいながらコミュニケーション方法を考えていきました。

技術的なアドバイスをしながら
マーケッターの要望を実現していく。

市川当社の関連会社サザンライオンや現地の包材メーカーなど海外の人とのコミュニケーションも多かったですね。容器開発においても、現地の研究員と非常に多くのコミュニケーションをとっていますし、デザインにおいても、サザンライオンのマーケッターの要望を実現していくのに大変苦労しましたね。「デザインの方向性を変えたい」とプロジェクト半ばで急に要望されたときには驚きました(笑)。

吉田スケジュールを無視した「こう変えてほしい」という無茶な要望は何回もありました(笑)。もちろん、マーケッターの要望に応えたいという気持ちがありましたが、どうしても技術的な問題や現地の包材メーカーの設備によってできないこともあったので、その部分は都度交渉して理解してもらいました。マーケッターの要望で実現できたのは、商品の顔である「ラベル」を強調するために、可能な限りラベル部分を大きくし、周りの溝の部分がきれいに入るようにしました。簡単なように思えますが、ラベルが大きくなると容器の曲線に合わせるなどの技術的なハードルが高かったです。

市川最初はマレーシアの包材メーカーの技術力も分からなかったので、まずは技術力を把握することから始めました。

吉田現地の包材メーカーに訪問し、実績や保有設備などを見てマーケッターが思い描く容器が実現できそうな包材メーカー選定を行いました。

大河内マレーシアと日本では品質に対する考え方にギャップがあると思うのですが、現地の包材メーカーを含めどうやって推進していったんですか?

吉田例えば衛生面や使用面などの観点から、その必要性を理解してもらうことから始めました。一方的に要望を伝えるのではなく、技術的なアドバイスを交えることで、協力的な姿勢をとってくれるようになりましたね。消費者には気づきにくい小さな改善かもしれませんが、最終的には信頼を得て、商品の価値を上げることに繋がります。

市川今回のプロジェクトはいかに現地の人を巻き込めるかが重要だったと振り返っています。私は以前国内研究所で洗剤の開発を行っていたので、洗剤については理解しているつもりでいたのですが、自分の知識が足りなくて、自分だけではどうにもならないことが何度もありました。今回のプロジェクトを通じて、自分の知識が足りなければ、現地や周りの人を巻き込んで解決していけばいいと学びました。

現地のニーズに合った商品を
「日本人のこだわり」を持って開発する。

市川日本人のこだわりは海外の人からすると「なぜそんなにこだわるのか」と思われることもありますよね。当社は120年以上培ってきた歴史があり、中途半端な商品は出せないですし、お客様に満足してもらう商品を作りたいという想いがあるので妥協は一切しません。そういう姿勢で仕事を行うとパートナーの意識も変わりますし、技術も根付いていき、現地のお客様にも新たな価値や当たり前を提供できると思っています。

大河内そうですね。私も研究にはこだわりを持っています。今回のマレーシアの液体洗剤では、マレーシアの人は洗剤の粘度が高いものをより好むことから、粘度の高い液体洗剤を開発する必要がありました。しかし組成原価を下げていくと粘度が下がっていくという課題もあり、界面活性剤の種類を変更するなど粘度の出し方を工夫することで、最終的に目標とする品質、組成原価を両立させた組成を開発することができました。

市川また、こだわりという点でいうとマレーシアの方々は分け洗い、手洗い、漬け置き洗いをよく行うので、ニーズに合わせた洗剤を開発しました。パッケージの色は性能の目印となっており、黄色は除菌用、紫色は色物ケアができるもの、赤色と青色は洗浄力が高く、桃色は香りが長続きするもの、緑色はドラム式洗濯機用の泡が立たない洗剤となっています。ドラム式洗濯機で泡立ちすぎると洗濯機の故障の原因となってしまうためです。

吉田現地のニーズにあった商品開発をしているからこそですね。同じ製品をいろんな国に展開するのではなく、その国ごとに商品を開発し、現地のマーケッターと一緒にものづくりをしていけるのはとてもおもしろいです。

大河内ローカライゼーションを進めていくと現地とのコミュニケーションは密になるので、毎日のように考え方や価値観の違いなど新しい発見があります。それを楽しみながら仕事ができるといいですね。

市川日本人の技術って国内事業に携わっているときは気づかなかったですが、海外の仕事をしていると日本の技術力の高さを改めて実感しています。アジアや世界に視点を置いて、世界で通用するものづくりをさらに推進していきたいと思います。

大河内私も日本の技術力は高いと思っています。国ごとのニーズを深く理解して課題解決できるような商品をつくることで、現地の人の生活をより快適で良いものにしていきたいですね。

吉田無駄なごみを出さない環境に配慮した商品づくりも当社は行っています。そういう取り組みをますます世界規模で広げていきたいと思います。

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