社長インタビュー(アニュアルレポート2011)

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研究開発部門での経験をふまえ、経営においてもモノづくりにこだわりながら、「戦略性と徹底力」を追求していきます。

代表取締役社長兼CEO 濱 逸夫の写真

社長略歴

濱 逸夫(昭和29年3月14日生)

昭和52年4月 ライオン油脂株式会社(現ライオン株式会社)入社
平成14年3月 当社研究技術本部プロセス開発センター所長
平成18年3月 当社家庭品事業部門ハウスホールド事業本部ファブリックケア事業部長
平成20年3月 当社取締役、ハウスホールド事業本部長
平成22年3月 当社常務取締役、ヘルスケア事業本部・ハウスホールド事業本部・特販事業本部分担、宣伝部・生活者行動研究所・流通政策部・営業開発部担当
平成24年1月 当社代表取締役、取締役社長、執行役員、最高執行責任者、リスク統括管理担当(現在に至る)
(重要な兼職の状況)
泰国獅王企業有限公司 代表者

これまでの担当業務と新社長としての抱負を聞かせてください。

私は入社後28年間、主に植物を由来とする洗剤の洗浄成分の開発や、工場での製造プロセス開発などの研究開発に従事し、2006年にマーケティングや営業を管轄する事業部門へ移りました。以来、2011年まで藤重社長(当時、現会長)のもと、「3つの革新」(マーケティング、営業、コーポレートコミュニケーション)などを推進し、企業価値の向上に努めてきました。加えて、新コーポレートメッセージや「V-1計画」を含む「Vision2020」の策定にも参画しました。
今後は代表取締役社長兼COOとして、CEOと両輪をなし、戦略の執行を統括します。そしてライオンが、単に商品を提供する物質的な充実だけでなく、商品を使用してこころの満足を得られるような、精神的な豊かさを提供できる企業へと進化させる牽引役を務めます。

中期経営計画の業績目標などについて説明をお願いします。

2012年度より3回の3カ年計画によって「Vision2020」の達成を目指します。最初の3カ年計画となる「V-1計画」では、2014年度に売上高3,650億円、営業利益200億円(利益率5.5%)が目標です。

2012年度の経営環境については、まず原材料価格の高止まりと円高の定着を予測しています。(2012年2月10日時点)国内市場では復興需要の本格化による景気の持ち直しが見込まれる半面、世界的には景気後退の懸念が拭えません。総じて、国内の日用品需要は年間1%程度の増加、OTC医薬品需要は横ばいから微減と見ています。一方、当社が進出している主なアジア地域の経済成長率は3~5%と予測されていますが、人口増と衛生意識の高まりによってオーラルケア製品や洗剤などの日用品の需要は、さらに高い率で増大するものと見通しています。

こうしたなか、「V-1計画」の初年度となる2012年度には、売上高3,350億円、営業利益120億円を目指します

「V-1計画」の業績目標

「V-1計画」達成に向けた施策の説明をお願いします。

基本は「Vision2020」に掲げた「4つの戦略」を具体的に展開することです。主なポイントは次のとおりです。

1)国内事業の質的成長

オーラルケア製品と超コンパクト液体洗剤に重点を置き、高付加価値製品の開発とブランド育成を強力に進めます。ブランド育成では積極的な宣伝投資を行うとともに、マーケティング機能と営業機能の総合力を発揮するため、ヘルスケア事業とハウスケア事業を「ヘルス&ホームケア事業」に再編します。さらに、ブランド戦略を営業戦略や販促施策にまで的確に落とし込めるよう、いわば流通戦略策定の要となる「トレードマーケター」の機能強化も図ります。

2)海外事業の量的成長

オーラルケア製品と洗濯用洗剤でアジア市場シェアNo.1を目標とし、その実現のためにオーラルケア製品はタイと中国で、洗濯用洗剤はマレーシアで生産・供給体制を拡充します。2012年にはフィリピンで合弁による新会社ピアレスライオン社を設立し、事業を開始する予定です。また、国・地域の拡大だけではなく、既進出国・地域においても新たな製品カテゴリーへの参入を積極的に進めます。

3)新しいビジネス価値の開発

通信販売事業では、2014年度までに売上100億円への成長を目指し、機能性食品のラインアップを拡充します。また、「健康」や当社の研究成果などに関する情報提供やone to oneマーケティングの強みを武器に、さらなる顧客拡大とリピート率向上を図ります。

4)組織学習能力の向上

新コーポレートメッセージのもと、グループのシンボリックアクションとして「life.love.プロジェクト」を国内外で実施します。組織の活性化や人材育成、お客様とのコミュニケーションなどについて、社員それぞれにふさわしいテーマを設けてイノベーションを実行し、究極的には顧客の中でライオン・ファンを増やすことを目的とします。

さらなる発展への基盤となる今後の研究開発活動について聞かせてください。

濱 逸夫の写真

私は当社で初の研究開発畑出身の社長であり、モノづくりにおいて次々にイノベーションを起こし、ライオンのプレゼンスを高めたいという思いを抱いています。
そこで大切にしたいのが、モノの創造と、その価値の伝達という2つのアプローチです。モノの創造では、エビデンスとターゲットが明確で、使用実感のある製品を追求していきます。当社には創立以来120年間に蓄積した多様な知見とシーズがあり、それぞれを活かす方向性さえ定めれば、創造の源が尽きることはありません。

製品価値の伝達については、第一にメディアの戦略的な活用を再検証していきます。四大メディア(TV、ラジオ、新聞、雑誌)のほか、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などが強い伝達力をもつことに着目すべきでしょう。製品カテゴリー別に最適なコミュニケーション・メディアを選び、より高い効果を獲得します。

第二に、生活者研究にもこれまで以上の力を入れたいと思います。一口に高付加価値商品といっても、つくる側と使ってくださる側では着眼点が異なることもあります。皆様が生活のなかで製品をどう使い、どんな点に共感してくださるか、それを正しく把握することで、「これがあってこそ生活が快適になる」と高く支持される製品を提供していきます。

2013年には第II期研究開発・技術センター構想に基づく新施設が竣工します。生活者研究の新たな拠点も設けるほか、付設のオープンイノベーションセンターでは異なる領域の研究者の交流を活発化させます。一例として、粉末洗剤を水に溶かす速溶技術が医薬品の錠剤開発に貢献した実績もあり、こうしたシナジーの拡大を期待しています。

特に国内市場では少子高齢化や単身者世帯の増加といった大きな変化が進行しています。くらしのなかで身近にある製品ほど、提供できる価値にも変化が求められます。逆にいえば成熟市場であろうと、製品の価値次第で市場を活性化できると考えます。そうした価値のある製品を、つねに生み出していきたいと思います。

投資家の皆様へメッセージをお願いします。

2012年は新たなコーポレートメッセージと経営ビジョンのもと、新生ライオンがスタートを切る年です。私自身も新たに社長の任務に就き、ぜひ「戦略性と徹底力」を追求したいと考えています。これらは「Vision2020」に掲げた「4つの戦略」を揺るぎなく具現化していくことと、そのためのPDCAサイクルの強化を意図しています。「4つの戦略」を各部門の各現場で取り組むべき個々の課題にブレークダウンし、それぞれの現場がPDCAサイクルを確立することで、社員一人ひとりの行動指針を明確化します。また、COOとして、全社レベルのPDCAサイクルを徹底し、より強靭な組織をつくりあげたいと思います。

日本では、2012年の干支は壬辰です。逆境を乗り越え理想の姿に向かって前進・成長する年、混沌から脱し新たな方向性を見出せる年という意味です。必ずやこの1年を新生ライオンにとって、大いなる飛躍の年としていきます。

2014年4月

Itsuo Hama

代表取締役社長
濱 逸夫