研究概要:研究開発(アニュアルレポート2011)

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当社のコア技術と研究開発の基本テーマ

当社が新たに「Vision2020」を目指すにあたり、技術革新や新製品開発が不可欠なのはいうまでもありません。当社の技術的DNA、すなわちコア技術は、洗浄技術と口腔ケア技術です。「Vision 2020」に掲げる"Life", "Green", " Knowledge"を対象とする3つの" Innovation"を実現するためにも、これら技術は重要なベースとなります。

洗浄技術の基本は、界面活性剤に関する技術です。当社は1990年代に、植物由来の界面活性剤である「MES」の開発・実用化に成功しています。MESは少量で高い洗浄力を発揮するとともに、カーボンニュートラルであり大気中のトータルのCO2を増やさないことや、生分解されやすいことなど、環境適合性の高さが特長です。

口腔ケア技術は、歯磨や歯刷子などで口腔内疾患を予防・治療する技術です。近年、歯周病が心筋梗塞や糖尿病といった全身疾患に影響することが明らかになっています。当社は口腔ケア技術を通じ、健康寿命の延伸に貢献していきます。

また、当社は2012~14年の中期経営計画「V-1計画」の一環として、ダイレクトマーケティングの強化を図ります。その主要な商品である機能性食品の研究開発にも今後いっそう資源を投入し、確かな作用をもつ製品で健康増進とQOL向上をサポートしていきます。

研究開発の組織構成

当社の研究開発本部は、3つの部門から構成されています。

まず製品開発研究部門には、オーラルケア、ファブリックケア、薬品など6製品分野7つの研究所があり、相互の技術交流によるシナジー効果の発揮と研究開発のスピードアップを図っています。また、商品企画部門とも緊密に連携しています。

応用研究部門は、界面科学や生命科学などを駆使して新しい技術や素材の芽を探索すると共に、生体内の作用機序を解析し、エビデンスに基づいて製品に応用するための研究を行っています。

これら2部門を支える支援研究部門は、人体や環境に対する製品の安全性評価や最先端の分析・解析技術を用いた課題解決、製品の付加価値を増す香りや味、包装の技術開発を担っています。

なお、当社は現在、研究・生産技術の知見や生活者研究の強化を目的に、研究拠点再開発第II期計画を推進中で、2013年には新センターが竣工予定です。

研究開発体制

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ラクトフェリン研究で培ったライフサイエンス技術で、国内主要学会賞をトリプル受賞

多くの哺乳動物の乳に含まれる多機能性たんぱく質、ラクトフェリンは、抗菌作用や免疫増強作用をもっています。ヒトの場合も、乳児をさまざまな感染症から守る成分として知られてきました。

当社は長年ラクトフェリンの多機能性に注目し応用研究をしてきましたが、2006年には歯周病菌の産生する歯周病の進行に係る毒素「LPS」(リポポリサッカライド)の不活性化効果があることを動物実験で確認しました。さらにオーラルケア分野での研究を続けるうち、ある研究員が偶然にも、ラクトフェリンを与えたマウスの内臓脂肪が少なくなっていることを発見しました。これを受け、培養細胞を用いた検討を行った結果、ラクトフェリンが有意な脂肪滴蓄積抑制作用を有する事を明らかにしました。ちょうど日本で中高年の健康対策のニーズが高まったころの出来事です。

当社のラクトフェリン研究は、中高年の健康と関連が深い内臓脂肪の低減研究へと発展しましたが、経口摂取では課題があることが判明しました。ラクトフェリンは胃の酸や酵素で分解されてしまうとその効果が発揮されず、腸までそのままの形でラクトフェリンを届ける技術が必要となりました。その解決に向け、薬品ベンチャー企業と戦略的連携を図り、胃では溶けないコーティングをしたラクトフェリン腸溶錠の共同開発に成功しました。そして社内のヒト試験で有用性を確認し、更に、翌年に社外臨床試験*1により科学的に内臓脂肪面積や腹囲が減少することを立証しました。

当社は引き続きエビデンスを強化すべく社外の研究機関と共同研究を推進し、ニュートリゲノミクス解析(食品成分の機能発現などに関する遺伝子解析)など最先端技術により、有用性のメカニズム解析研究を実施しています。

ラクトフェリンに関する一連の研究成果は国内外の学会で高く評価され、本年度は国内の大きな学会賞など*2をトリプル受賞しました。

CT画像による内臓脂肪面積の変化(著効例)

内臓脂肪面積の変化

*1 30-62才 BMI25以上の成人男女30名による二重盲検比較試験
*2 油脂工業会館主催・平成23年度(第55回)油脂技術優秀論文賞
   2011年度食創会・第16回安藤百福賞・優秀賞
   日本農芸化学会・2012年度農芸化学技術賞