社長インタビュー(アニュアルレポート2012)

証券コード:4912

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2012年度の厳しい業績を受け、国内事業の利益体質強化を第一とし、海外事業や通販事業の成長を加速させます。

代表取締役社長兼CEO 濱 逸夫の写真

2012年度(2012年12月期)の業績を振り返って、いかがでしたか?

2012年度も日本経済は閉塞感が継続するなかで個人消費は上向かず、私たちライオンを取り巻く日用品・OTC医薬品の市場規模も、前年から概ね横ばいとなりました。
そうしたなか、私たちは2020年度までの新経営ビジョン「Vision2020」を掲げ、実現に向けた4つの戦略のもと、最初の3カ年計画「V-1計画」(2012~14年度)初年度の達成に力を尽くしました。
その結果、売上は達成したものの、まことに遺憾ながら営業利益は期中に下方修正を余儀なくされ、前期比で減益という結果となりました。

「Vision2020」の4つの戦略の1つ目に掲げる「国内事業の質的成長」では、一般用消費財事業の中長期的な収益力強化に向けて営業体制を刷新し、高付加価値型製品の育成に努めました。
新製品を中心としたこれらの高付加価値型製品群については概ね狙いどおりの成果を得たと考えていますが、その反面、歯磨や洗濯用洗剤、柔軟剤などの主力分野を中心に、既存品や汎用製品における競争激化の影響を受け、全体としてプロダクトミックスが悪化したことで原価率や販売促進費率の上昇を招きました。天候不順の影響もあり制汗剤や殺虫剤などの季節品が伸び悩んだことや、一般用医薬品市場の停滞、競争激化も高粗利分野の構成が低下した一因となりました。
また、広告宣伝費については、ブランド育成や通販事業の強化、コーポレートブランドのコミュニケーション投資増強のために前年を上回って投下しました。
こうした先行投資もあり、一般用消費財事業の営業利益は前年を大きく下回りましたが、期中から商品構成のきめ細やかな管理強化を進め、第4四半期には収益性回復の手ごたえを得ています。

2つめの戦略である「海外事業の量的成長」については、当社の進出先であるアジア諸国の経済成長や中間所得層の拡大に伴い、海外事業は売上高、営業利益ともに前期を二桁上回る好業績となりました。
3つ目の「新しいビジネス価値の開発」では、通販事業に注力しました。2012年度には、累計購買者が100万人、定期購買者も約14万人に達しました。売上高は前期比約60%増で、2014年の目標としていた売上高100億円に、前倒しで肉薄する実績となりました。
4つ目の「組織学習能力の向上」は、社内の活性化や組織力の強化を目指し、諸制度の整備や人材育成に注力しています。
国内消費財事業の期間損益に課題は残るものの、総じて「V-1計画」の各戦略は確実に進められており、着実な前進の手ごたえを感じています。

2012年度の業績を受け、「V-1計画」を見直すのでしょうか?

3カ年計画の最終年度(2014年度)の営業利益目標200億円に対しては、確かに遅れていることを認識しています。しかし「Vision2020」実現のための、4つの戦略が進展していることはお話したとおりです。
そこで、いま私たちが最優先で行うべきは、急務である国内事業の収益回復と2013年度の業績目標(売上高3,420億円、営業利益100億円)を、まず確実に達成することであると考えています。とりわけ国内事業の収益性回復を見極め、施策についても適宜見直しを行った上で、中計の具体的目標や達成年度については、改めてお知らせしたいと考えています。

では2013年度の課題や具体的なアクションについて聞かせてください。

2013年度における成功へのカギは、「一般用消費財事業の収益力回復」と、「産業用品事業の強化」であると考えます。
一般用消費財事業では、きめ細かな商品別の売り方管理や、販売店の特性に応じた店頭提案を強化して、プロダクトミックスの改善や競争費用の効率化を進めます。また、経年取り組んで来た高付加価値型製品の育成を更に進め、「クリニカ」などの主要ブランドに新製品を投入し、ブランドの強化に取り組みます。
市場構造を変えるような画期的な製品をつくり、ブランドを大きく育てて行くことこそ、ナショナルブランド・メーカーの本分だと考えています。
一方、産業用品事業では、化学品事業は景気低迷に伴う国内需要の停滞が継続していますが、オンリーワンの技術をもってグローバル市場に勝負を挑んでいきます。導電性カーボンは、その有力な武器となるはずです。また、当社の業務用洗浄剤は従来、外食産業向けが主力でしたが医療・介護施設などでの衛生管理のニーズ増大を受け、新規顧客開拓にもいっそう力を傾けます。

海外事業と通販事業は、2013年度も好調が期待されます。

海外事業では、2013年度も二桁成長の継続と、オーラルケア製品および洗濯用洗剤のアジア市場シェアNo.1を目指した積極的な事業活動を進めます。
「Vision2020」では海外売上高比率を30%に引き上げる計画です(2012年度は17%)。それには、グローバルブランド(高付加価値製品)にも関心が高い中間所得層の支持獲得が決め手の1つとなります。同時に、アジア諸国へ進出して55年の歴史を背景に、トラディショナルトレード(個人経営の雑貨店等)もカバーして、ローカルブランド(現地向け汎用製品)の普及も拡大します。あわせて、アジア地域の経済成長や生活意識の高まりによる需要増に対応すべく、現地生産能力の増強も進めています。
また、新規進出先のフィリピンでは、合弁会社ピアレスライオンが本年営業を開始します。現状ではフィリピンを含めると9カ国・地域で事業展開していますが、さらなるエリア拡大へと専任チームも発足させ、事業機会の探索を強化しています。
一方、通販については、高い評価を得ている「ナイスリムエッセンス ラクトフェリン」に次ぐ第二の柱を早期に確立すべく、具体的な準備に入っています。

国内市場は縮小基調です。中長期的視点からは、どのように対応していきますか?

多様な着眼点をもてば、人口減少とは別の側面で国内市場に変化が見られます。例えば、以前は粉末が一般的だった洗濯用洗剤は液体が主流になったことや、単身者世帯が増えていること(2010年国勢調査で3割超)です。全体としては飽和市場と言われている国内のマーケットでも、これらの変化の兆しを捉えた製品開発を行い、新しい生活提案をすることで成長や事業基盤強化のチャンスはあると考えており、それこそが「質的な成長」であると思っています。
そのために、まずエビデンスとターゲットが明確で、使用実感の豊かな製品づくりを追求していきます。2013年7月にはR&Dの新施設(東京)が竣工し、異なる専門領域や国内外の研究者たちがコラボレートする場になります。また生活者研究の拠点として、従来以上に潜在ニーズの調査研究活動も充実させる計画です。
また、少子高齢化といった国内の社会環境の変化に応じた生活情報をコミュニケートして行くことの重要性も増していると考えます。マスメディアだけでなく、あらゆる接点を通じて生活情報を発信し、また生活者のニーズを探るためのコミュニケーション施策の充実に取り組んで行きます。

経営上、重視している指標とその目標、また株主還元について聞かせてください。

経営指標のなかでも、営業利益率とROE(株主資本利益率)を重視しています。「V-1計画」では、2014年に営業利益率5.5%(2012年度2.2%)、ROE10%(同4.0%)の達成が目標です。
株主還元は、安定的で継続的な配当を行うことが基本かつ重要だと考えています。2012年度は年間10円の配当とさせていただきました。
株主還元につきましては業績向上による企業価値向上や配当のみならず、情報開示の充実なども継続して注力してまいります。
また、当社は「健康」「快適」という、人々の根源的なニーズに根ざした領域を事業としています。株主の方々はもちろん、すべてのステークホルダーの皆様に、今後とも健康で快適なくらしという大きな価値をお届けしていきたいと思います。

最後に濱社長の経営哲学を聞かせてください。

ライオンが理想とする企業像は、「モノづくり企業として国内外のすべての人々にくらしと心の新たな価値を提供する存在」です。私は初心を忘れず、何事であれライオンの理想像に適合するか否か、シンプルに判断することをつねに心がけています。そして、ライオンは単なるトップダウンではなく、現場の自発的な創意工夫を原動力に動く組織であると確信しており、全社員が好奇心をもち、新しいことに挑戦する風土を大切にしたいと考えています。
イオンをアジアの日用品・OTC医薬品市場でリーディングカンパニーへと成長させ、全社員に夢と誇りをもってもらうことが私の役目です。さらに、すべての生活者の皆様にさらに、より多くの生活者、多くのステークホルダーの皆様にライオン・ファンとなっていただけるよう、いっそうの努力を続けます。

2014年4月

Itsuo Hama

代表取締役社長
濱 逸夫