社長インタビュー(アニュアルレポート2013)

証券コード:4912

株価
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2013年度は国内事業の付加価値化と海外事業の伸長により業績の回復を果たしましたが、これは今後の成長の端緒にすぎません。2014年以降も、国内事業の利益体質強化と海外事業の成長を加速させます。

代表取締役社長兼CEO 濱 逸夫の写真

2013年12月期について、期初にお考えであった課題と業績について、また、2012年の減益から大きく業績の回復に貢献した要因をお聞かせください。

日本は、消費者物価に下げ止まりの兆しがみられる中、個人消費が持ち直すとともに企業収益が改善するなど回復基調にありました。当社参入市場の単価は下落に歯止めがかかりましたが、競争自体は依然として厳しさが続いていました。

こうした中、国内事業は、「一般用消費財事業の収益力回復」を最優先課題に高付加価値品へのシフト、市場創造型商品の導入・育成や汎用価格帯商品の安定した価格での販売を進め、商品構成の改善に努めました。
さらに営業面では、きめ細かな商品別の売り方管理などを通じた販売促進費の統御を徹底しました。これにより、競争費の効率化が促され、営業利益は期初の目標を上回る大幅な改善を果たすことができました。

海外事業では、大きな構成を占めるタイで競争が激化していることに加え政情不安により売上が減速しましたが、ライオンエコケミカルズ(以下LECO、マレーシア)の売上拡大や中国でのオーラルケア製品の好調な推移により、年間を通しては前年比130%を達成しました。また、フィリピンに新規参入し、現在、アジア9カ国・地域での展開となり、さらなる量的成長に向けての事業機会を探索しています。
また、将来の需要拡大に対応するために生産能力の増強も行いました。
連結の海外売上高は768億円ですが、持ち分法適用会社を含む海外の単純合計で1000億円を突破しました。また、連結売上高に占める構成比も21%に達し(2012年度は17%)、「Vision2020」での目標30%の達成を視野に入れるなど、海外事業の存在感が増しています。

2014年12月期の業績の見通しとその背景について教えてください。特に4月に導入される消費税の影響をどのようにお考えでしょうか。
また、「V-1計画」最終年度となりますが、当初の目標と乖離が生じています。中計、ひいては「Vision2020」は変更するのでしょうか?

2014年度の数値目標である売上高3,600億円、営業利益は過去最高の120億円の達成を目指します。
中計の目標に対して売上高はほぼ達成する見込みですが、営業利益は目標の200億円には未達となります。2013年は早期に収益回復を果たしたものの、「V-1計画」初年度2012年の乖離を埋めることができませんでした。

中計の具体的目標や達成年度については、今年の状況を見ながら来年以降に改めて設定したい、と考えていますが、「Vision2020」で掲げた4つの戦略(後述)は今後とも確実に実行してまいります。
いま私たちが最優先で行うべきは、2014年度の業績目標を確実に成し遂げ、成長のための事業基盤を磐石なものとすることであると考えています。

2020年度までの経営ビジョン「Vision2020」の実現に向けた4つの戦略の1つ目に掲げる「国内事業の質的成長」では、一般用消費財事業の中長期的な収益力強化に向けて、昨年に引き続いて高付加価値品、市場創造型商品の導入・育成や汎用価格帯商品のコストコントロールを進めます。昨年、一昨年に新発売した高付加価値品の育成に加え、2014年はオーラルケア、OTC医薬品の分野で高付加価値の新製品を発売します。
オーラルケア分野では基幹ブランドである「クリニカ」を『予防歯科※』習慣の浸透を意識した製品群に全面改良し、ブランド価値を高めるとともに収益性を向上させます。ファブリックケア分野では、「トップNANOX」「トップHYGIA」の使用率を引き上げるために様々な施策を講じて、超コンパクト液体洗剤へのシフトを促進してまいります。
※『予防歯科』:歯科医によるお口のプロケアと歯科医の指導に基づいた自身によるお口のセルフケアを両輪で回すことにより歯のトラブルを未然に防ぐこと。

OTC医薬品分野では、解熱鎮痛剤バファリンブランドの高付加価値タイプ「バファリンプレミアム」、外用消炎鎮痛剤「ハリックスほぐリラ」などを新発売いたします。
2014年度は、広告宣伝費を積極的に投下し、重点ブランドの育成と市場でのプレゼンス向上に努めていきます。

消費増税の影響は4月の導入前後に生じるとみています。一般用消費財の通年での需要は変わらず、年間の業績へのインパクトは低いものと見込んでいますが、導入前の3月には駆け込み需要が発生すると想定しています。当社ではこの需要を確実に取り込むためにまとめ買いを促す商品など、期間限定品などを発売します。また、導入後は駆け込み需要の反動が生じるものとみています。価格競争に陥ることなく需要を喚起するために、新製品や高付加価値製品の導入を加速し、市場創造型の販売戦略を徹底します。

2つめの戦略である「海外事業の量的成長」については、新興国経済や政情に不安定さは認められるものの、当社の進出先であるアジア諸国の経済成長や中間所得層の拡大に伴い、海外事業は売上高、営業利益ともに前期を上回る業績を予想しています。
昨年新規に参入したフィリピンでの市場地位確保と、LECOで製造するMESの新規取り扱い企業増加に向けた販売活動を積極化してまいります。

3つ目の「新しいビジネス価値の開発」では、通販事業は、2013年度に2014年の目標としていた売上高100億円を前倒しで達成しました。今後は、昨年6月に市場投入した女性用ヘアケア製品「フルリア」等により、通販事業の第2、第3の柱を育成してまいります。

4つ目の「組織学習能力の向上」は、新たな人事評価制度の導入やグローバル人材開発プログラムなど人材育成施策を推進するとともに、組織力強化を目指した複数の業務改革プロジェクトが進行しています。

現在、環境対応先進企業を目指す全社方針「Eco Vision 2020」を推進しておられますが、その目指すところをお教えください。

ライオンは、「企業活動における環境問題への取り組み」を重要な経営課題とし、製品開発や事業展開を行ってまいりました。
ライオンは経営ビジョン「Vision2020」の中で「環境対応先進企業を目指す」ことを掲げています。昨年6月に策定した「Eco Vision 2020」はその実現に向け、「低炭素社会の実現」「循環型社会の実現」「自然との共生」について先進的な目標を設定し、持続可能な社会を目指すものです。
温室効果ガスや水使用量の削減目標を定め、環境配慮製品の開発などにより達成を目指します。
「自然との共生」については、RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)認証油の活用による生物多様性に配慮した植物油脂調達、生物多様性保全活動の実施などを推進してまいります。

市場のアナリストの間では、御社の海外戦略が高く評価されています。海外戦略のどのような点が奏功しているとお考えでしょうか。また、現在のプレゼンスを踏まえ、目標の2020年海外売上1500億円とするための施策として不可欠なものはどのような点とお考えでしょうか。

アジアで高い成長を確保できているのは、現地優良企業との強力なパートナーシップによるものです。当社が生産ノウハウやマーケティングノウハウ、技術、ブランドなどを提供し、現地の提携会社が流通を担う、といった分業体制がうまく機能しています。日本発のブランドを付加価値型の「グローバルブランド」、各国・地域に根ざしたブランドを汎用価格帯の「ローカルブランド」として消費の二極化に対応させたマーケティング戦略も当たっていると思います。
今後、目標を達成するには、第一に日本と海外各国の情報共有化を進め、各国・地域の現地ニーズにあった製品を競合に先駆けて導入し、それらの製品を大きなブランドに育成していくことが必要です。第二は、未参入カテゴリーや未参入国へ進出することです。昨年のフィリピンに続き、東南アジアの国々への参入も検討してまいります。

今後一層業績を向上させるためには、日本における高付加価値品の投入が必須と思われます。今後の研究開発の基本戦略についてお聞かせください。

日本では既に人口減少が始まっていますが、多様な着眼点をもてば、人々のライフスタイルや嗜好性などに大きな変化が見られます。これらの変化の兆しを捉えて、新しい生活提案をし、人の生活を豊かにする高付加価値型、市場創造型の商品を提供することで成長のチャンスは充分にあります。
そのために、まずエビデンスとターゲットが明確で、高い使用実感のある製品づくりを追求していきます。2013年7月にはR&Dの新施設(東京)が竣工し、異なる専門領域や国内外の研究者たちがコラボレートできる環境が整いました。

株主還元について聞かせてください。

株主還元は、安定的で継続的な配当を行うことが基本かつ重要だと考えています。2013年度は年間10円の配当とさせていただきました。 株主の皆様に対しましては業績向上による企業価値向上や配当は勿論、情報開示の充実にも継続して注力してまいります。
ライオンは「健康」「快適」「環境」という、人々の根源的なニーズに根ざした領域を事業としています。株主の方々はもちろん、すべてのステークホルダーの皆様に、今後とも環境に優しく、そして健康で快適なくらしという大きな価値をお届けしていきたいと思います。

2014年4月

Itsuo Hama

代表取締役社長
濱 逸夫