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「強い組織力と新しい価値創造でイノベーションを巻き起こす次世代ヘルスケアカンパニーへ」代表取締役 社長執行役員 濱 逸夫

1. 2016年12月期は売上・利益とも過去最高を更新し、「ライオンは変わった」との評価も高まっています。「変化」の要因について教えてください。

収益力という「体力」に社員の意識改革という「筋力」が備わり、事業を成功に導くビジネスモデルが定着してきました。

「変化」を業績面から見ますと、国内外ともに“利益ある成長”を持続することができています。国内では、オーラルケアや薬品分野の高付加価値品のブランド力が強化され、ファブリックケア分野の収益構造も向上しました。海外でも、オーラルケアとビューティケアを合わせたパーソナルケア分野を中心に、グローバルブランドを育成し、アジア主要国での事業が成長しています。

これには、社内の意識改革が大きく関わっています。ライオンの創業者は、『事業で得た利益は社会に還元する』という理念をもっていました。理念を実現するためには、継続的に利益を上げる体力・筋力が必要です。我々はもう一度、この企業理念をライオンのDNAとして共有し、強い意志で実行できる組織に生まれ変わることを目指しています。そうした社内の意識改革が「筋力」となり、体力(収益力)の増強に結びついてきているのです。

たとえば、若手社員や管理職を対象にした社長懇談会でも、独自の提案やKPI(業績評価指標)を達成するための業務プロセス改善など、意欲的な発言が目立つようになってきました。トライ&エラーを繰り返しながら結果を出すと、それが自信となり、次の行動・アイデア・創造につながっていく組織風土が醸成されてきています。そのプロセスで、事業部門、営業部門、研究部門など社内組織の連携が強化されるという好循環も生まれてきました。強い組織力と新しい価値創造でイノベーションの旋風を起こし、「次世代ヘルスケアカンパニー」を目指していきます。

* 社長懇談会 社長が全国の拠点をまわり、若手従業員や管理職と自由闊達に意見交換を行う。2012年の社長就任時から継続し、年間15回前後開催している。

2016年度の業績
(単位:億円) 2016年度 2015年度 増減
売上高 3,956 3,786 +4.5%
営業利益 245 163 +49.6%
親会社株主に帰属する当期純利益 159 106 +49.4%
2. ライオンの成長シナリオ「次世代ヘルスケアカンパニーへの挑戦」とは、どのような内容でしょうか。

赤ちゃんから高齢者まで全世代にケア(予防)とキュア(治療)を提供し、「健康」「清潔」「快適」に関わる新しい価値創造を目指します。その中で、一人ひとりの健康状態に合わせたワン・ツー・ワンのソリューションも提案していきます。

ライオンの各事業カテゴリーに「ヘルスケア」という切り口でアプローチしていきます。例えば、オーラルケアでいえば、近年の研究データで口の中の衛生状態が体の健康と密接につながっていることがわかってきました。そこで、オーラルヘルスケアという観点に立てば、歯みがきだけでなく、生活習慣の改善をはじめ、さまざまな提案、商品化の可能性が広がっています。また、健康状態は一人ひとり違うため、そこにも市場が生まれます。さらに、快適な生活を提案することで、心のヘルスケアにもつなげていきたいと考えています。

3. 次世代ヘルスケアカンパニーを目指す2017年の方針として、国内市場での地位を強化する施策を掲げています。具体的な取り組みを教えてください。

新しい生活習慣を提案する「共感型マーケティングの拡大」と、共感を呼び起こすツールや情報源となる「デジタルアプローチの強化」に取り組みます。さらに、“新結合”をキーワードに様々な連携を加速していきます。

共感型マーケティングは、新たな高付加価値品市場を育成するためのアプローチです。新しい商品機能の開発による“モノ軸”の提案だけでなく、「使ってみたら、こんな良いことがあった」という“コト軸”で興味をもっていただきます。

共感型マーケティングの一例として、メディアと連携し、地域特性に合わせたマーケティングに取り組んでいます。生活環境・文化・習慣・嗜好は国内外を問わずその地域固有のものがあり、例えば衣服の汚れ方一つをとっても、その食材や気候等によって異なってくるのです。その地域ならではの共感を生むマーケティングを行うことで、ライオンの商品の浸透につなげていきます。

また、他社との協業による新たな取り組みとして、共同店頭活動がスタートしています。売り場提案などにとどまらず、各社の商品カテゴリーを連携させた“コト軸”で新しい価値を提案し、幅広い共感につなげます。将来的にはマーケティングの連携も視野に入れています。

4. 次に海外戦略について伺います。アジア市場でグローバルジャイアントと競合する上で、ライオンの強みは何でしょうか。

同じことをやっていては戦えない。「日本品質」への評価を背景に、国内市場での強み、ノウハウを活かしながら、グローバルコンペティターとは異なるアプローチで持続的成長を目指します。

やはり、日本製品に対する信頼と評価が有利に働いています。例えば、北東アジアや東南アジアでも5〜10年後には高齢化が急速に進んでいきます。そうすると、日本のシニアマーケットでの実績やノウハウを横展開することができます。また、日本に比べて年少人口比率の高いアジア地区で、子ども向け商品ブランドとして「KODOMO」を創り、各国に拡大してきました。このようなユニークで強いブランド力に高付加価値化を組み合わせることで、中長期的により大きな市場を開拓できると自信を深めています。

また、日本同様、モノを売るだけではなく、ヘルスケアに関わる啓発活動や社会貢献活動を積極的に展開しながら市場ポジションを拡大していきます。

5. 中国市場を中心に「Eコマースチャネルの強化」を重要施策の一つに挙げていますが、進捗状況と成果について教えてください。

中国では店頭に変わる新しい販売チャネルとして、Eコマースに取り組んできました。今では、ライオンの中国ビジネスの2分の1がEコマースでの売上であり、Eコマースの主要サイトでの歯ブラシの売上はNo.1となっています。

中国事業では、店頭では苦戦続きでしたが、Eコマースにいち早く取り組んだことが、今日の成長につながっています。

Eコマースチャネルで、ライオン製品の付加価値や日本ブランドとしての魅力度をアピールすることで、ブランド力が強化され、それにより、店舗販売の方も伸ばしていく構造を目指しています。このビジネスモデルを、中国だけではなく、台湾、韓国、東南アジアでも拡大していきます。

6. 企業の成長には研究開発力と人材育成が欠かせません。社長は研究開発部門のご出身ですが、研究開発部門への期待を教えてください。

新しいビジネスを創出したりイノベーションを起こすためには、組織内外との連携を強化することが不可欠と考えます。特に研究開発においては、オープンイノベーションで社内外と連携する“新結合”により、スピード感をもって価値創造につなげて欲しいと思います。

研究の世界では、「1つの発見をした人は、幾つもの発見、成功を繰り返す」と言われています。なぜなら、優れた研究成果を上げると、新しい刺激を受ける人的ネットワークや情報が集まるパイプが多数でき、それが次の発見につながるという好循環が生まれるからです。ライオン全体が“新結合”で変わっていく、その先頭に研究開発部門が立ってほしいと期待しています。

7. 2016年6月に制定した「コーポレート・ガバナンス基本方針」の改革のポイントは、どのような点ですか。

社外取締役や有識者を中心に、多様な視点で当社の事業活動を議論し、検証していただきます。経営のあるべき方向に舵をとることで、最終的に株主の皆様に利益還元できる体制を整備することを目的としています。

経営の透明性を高め、監督機能の強化と意思決定の迅速化を図り、コンプライアンスを確保することをコーポレート・ガバナンス上の最重要課題と位置づけておりますが、それに加えて、多様な意見を取り入れ、経営自体が外部の方々と“新結合”を生み出せるような柔軟な組織体を創り上げることも重要だと思います。そのためのルールとして、この基本方針を策定しました。

組織面では、取締役会の諮問機関として、新たに社外取締役を中心とする指名諮問委員会を設けましたが、これも役員の多様性を担保する効果も狙っています。また、従来の経営評価委員会をアドバイザリー・コミッティという組織に衣替えしました。社外役員以外の外部の有識者から、ライオンの経営方針や政策等について幅広い見地からご意見を伺っています。

このように、多様な視点で事業活動を議論していただくことで、より的確な意志決定を行い、株主のご期待にお応えしていきたいと考えています。

8. 最後に株主、投資家へのメッセージをお願いします。

2012年に社長に就任して以来、業績は大きく伸長しました。しかし、これは新しい歴史のスタートラインに過ぎません。次世代ヘルスケアカンパニーを目指すライオンの飛躍的な成長と、可能性に満ちた未来にご期待ください。

ライオンの収益力向上は、コストカットによるものではなく、全社的な構造改革・意識改革の成果です。来年(2018年)には、2020年以降を見据えた成長戦略を発表し、それを実現する「挑戦と創造」を加速させていきます。今よりも、これからのライオンに大きな期待を寄せていただきたいのです。

また、株主の皆さまへの利益還元を経営の最重要課題とする基本方針に変更はありません。今後も収益力をさらに強化することで、成長投資とともに継続的かつ安定的な株主還元を行っていきたいと思います。

2017年4月

代表取締役
社長執行役員
濱 逸夫