第6話 ホワイトライオン

ハミガキに“白”の時代を呼んだ宣伝広告にも注目! 品質を追求し、大量生産、大量消費の時代へ“世界に通用するハミガキ”『ホワイトライオン』

(画像①)ホワイトライオン

(画像①)ホワイトライオン

 1961年(昭和36年)に発売された『ホワイトライオン』(画像①)、その値段は1本100円(90g)。当時のハミガキの価格からすると、格段に高い訳ではありませんでした。注目すべきは“当時の一般的なハミガキと同じ価格で発売できた”ところです。それまで清掃剤の原料に使用していた炭酸カルシウムに比較して、非常に高価なリン酸カルシウムを使用したにもかかわらず100円。そこに『ホワイトライオン』の革新性の一端がありました。当時の研究者はこのように回顧しています。

「研究者だけでやっていたら原価が高いということで発売が遅れていたかもしれません」

 

ここには高額すぎるがゆえにリン酸カルシウムの導入に本格的に踏み込めなかった当時の研究者の実情が垣間見えます。しかし国際化・貿易自由化の時代を迎え、外国ハミガキが国内市場に参入してくるのはそれほど先ではないと見越し、その際に優れた品質こそが競争できる最低限の備えであると信じ、コストアップを覚悟の上で、世界で通用する品質を追求しました。コストが高くなることに対しては市場を拡大し、大量生産、大量販売をおこなうことによって解決を図りました。生産設備も最新のオートメーション設備を導入し、1964年(昭和39年)には小田原工場、1969年(昭和44年)には明石工場を竣工。時はおりしも日本が大量生産・大量消費による高度成長を遂げる1960年代にさしかかろうとしている頃でした。

『ホワイトライオン』のもうひとつの革新性は、その名の通り“白”にあります。当時のハミガキの内容物は戦後のアメリカナイズされた風習も手伝って、グリーン、ブルー、ピンクといったカラフルなものが主流。そこにあえて思い切って白を使い、清潔・健康のイメージを表現したのです。パッケージデザインもこれまでの市場にあるデザインの色使いとは逆に、白を基調とした「余白の美」を追求し、高い評価を得ることになりました。

新しいイメージの訴求にあたっては新聞と、一般家庭に普及しつつあったテレビなどを利用した新発想の宣伝活動を展開。新聞では1ページ広告や上下で比較して見ることができるカップルスタイル広告を採用、これらの斬新な広告表現が有名な広告賞を獲得しました。またテレビでは大量のCMを集中的に放映、日夜全国のお茶の間に白い歯が映し出され大きな宣伝効果を上げていました。さらにさまざまな販促物(画像②)を活用するなど、店頭での販売促進活動も積極的に推進していました。

以降10年間で『デンターライオン』(昭和39年)、『エチケットライオン』(昭和43年)を発売。美白、歯槽膿漏、口臭という現在も変わらないハミガキの大きな要素を確立しました。

 

(画像②)販促用に作られたペーパーウエイト

(画像②)販促用に作られたペーパーウエイト

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