石鹸製造日記

製造日記(表)

まず、もっとも古い部類の資料からご紹介します。
左の写真はライオンが「小林富次郎商店」であった時代、小石川久堅町にあった小林石鹸所の「製造日記」(明治27年)です。
小林富次郎商店が石鹸原料やマッチの原材料の取次業で創業したのが明治24年。26年3月にようやく石鹸製造を始めていますから、この「製造日記」はまさに初期のものです。歯磨を発売したのは明治29年7月ですから、まだ歯磨事業はない時代のものです。

製造日記(裏)

この「製造日記」は、釜焚き担当者(技士)であった吉崎参司という人が石鹸原料の仕入れや石鹸仕込の内容と生産高などを記入した個人用の備忘録といえるものです。和紙に墨書きしたものでこよりで綴じてあります。
サイズは11.5cm×16cm。ページはふってありませんが86ページあります。保存がよくなかったためにシミと汚れがあり、虫食いも少しありますがとてもしっかりしています。

領収書き(部分)

左写真は「製造日誌」の領収書に相当する部分です。朱印やサインが時代を感じさせます。
「製造日誌」は数多くの石鹸について記しています。小林富次郎商店の自社銘柄としては、化粧石鹸の『高評石鹸』と『麝香入(じゃこういり)高評石鹸』、それに洗濯石鹸の『軟石鹸』が登場しています。
このほか『姫の友』『練牡丹』『亀甲美人』『白王石鹸』『ゴールデン』の銘柄を見ることができますが、これらは下請け生産品と思われます。

「麝香入高評石鹸」の仕組み
について記した部分

さて、『麝香入高評石鹸』の製造については次のようなことが書かれています。

  • 牛脂は前橋産のものを使ったこと
  • 苛性ソーダ、片脳油などを鹸化釜に入れて加熱し、撹拌していく行程

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高評石鹸の淡紅色は、ローダミン(rhodamine)の赤色が使われていたこともわかります。