−発表資料−

2005年4月11日

浴室汚れで気になる“ピンクヌメリ”はカビではなく主に、
すぐに発生しやすい酵母だった!
「銀ナノ粒子」に、浴室の“ピンクヌメリ”の発生を
抑制する高い効果を発見
〜“ピンクヌメリ”を抑制する新技術を確立〜

 ライオン株式会社(社長・藤重 貞慶)ハウスホールド第2研究所は、浴室汚れの中で気になる “ピンク色のヌメリ(ピンクヌメリ)”はカビではなく、主に酵母「ロドトルラ」であることを特定するとともに、増殖が速く、水分があるだけで発生しやすいことを確認しました。
 さらに、“ピンクヌメリ”の発生を抑制するには、ナノテク成分「銀ナノ粒子」が有効であることを確認しました。しかし、浴室の床などは水が流れるため、「銀ナノ粒子」を効果的に作用させるためには、水で流れないようにすることが重要であることから、「銀ナノ粒子」を床などに付着させ、とどめておく成分の検討を進め、特定のカチオン性高分子にその効果が高いことを見出しました。
 本研究に関連した内容は、今春学会で発表する予定です。

※銀ナノ粒子: ナノテクノロジーを応用し、アルミナシリカの表面に酸化銀を付着させたもので、直径が約15ナノメートル。


1.研究の背景
 近年、住宅の気密化が進み、家の中の温度や湿度が上昇する傾向にあります。さらに、有職主婦の増加などにより、家に不在な時間が増加して、室内が閉め切られた状態になっているため、カビや菌がより増殖しやすい環境になっています。
 浴室は、「普段の掃除では行き届かない」と考えられている場所のひとつで、窓がなくて換気が不十分であることや、ユニットバスの増加でプラスチック製の壁や床が増えたことなどから、細菌やカビが増殖しやすくなっています。
 特に、浴室の排水口周辺や床の隅などには“ピンクヌメリ”(右図点線部分)が発生しやすく、"ピンクヌメリ"は浴室の中で最も気になる汚れのひとつとしてあげられ、
「掃除をしてもすぐ発生する」「見た目が気持ち悪い」と思われていることがわかりました(2004年当社調べ)。
 しかしこれまで、浴室汚れとしてこの“ピンクヌメリ”に着目した研究はなく、この度当社が初めて“ピンクヌメリ”の実態を解明いたしました。


2.“ピンクヌメリ”の特定

(1) “ピンクヌメリ”は主に、酵母であることを特定
 浴室の“ピンクヌメリ”の性質を特定するため、一般家庭8世帯の浴室を対象に、ピンクヌメリおよび、ピンクヌメリが発生しやすい場所(計38箇所)から64種の菌を採取し、菌数の確認と主要菌種の同定を行いました。その結果、ピンク色を示すヌメリ性のある菌(ピンクヌメリ)は主に、「ロドトルラ」という酵母であることを特定しました。

(2) “ピンクヌメリ”は増殖が速く、また、水分があるだけで発生しやすい
 “ピンクヌメリ”の正体である酵母は、親となる酵母にできる突起から新個体が生長して増殖するもので、カビのように菌糸はありません。従って、カビのように目地の中など材質に入り込むことはありませんが、増殖が速く、除去してもすぐに発生してしまいます。これまで酵母の増殖についての研究はないことから、浴室環境による発生の状態を調べるため、浴室の条件下(温度25℃、相対湿度95%RH)で、酵母「ロドトルラ」と代表的な黒カビである「クラドスポリウム」の増殖速度を調べました。
 その結果、目視で確認できるまでに増殖するには、「クラドスポリウム」は10日程度であるのに対し、「ロドトルラ」は1日であることがわかりました。また、「ロドトルラ」は貧栄養状態でも、10日程度で目視で確認できるほど増殖することが確認されました。これより、酵母「ロドトルラ」はカビと異なり、十分な栄養がなくても水分があれば発生しやすいことがわかりました。
 このことから、“ピンクヌメリ”は、浴室の排水口周辺や床の隅など、水が留まりやすい場所で発生しやすいことが確認できました。


以上の研究より、
浴室で気になる“ピンクヌメリ”のピンク色を示す菌は主に、酵母であること
“ピンクヌメリ”は増殖が速く、また、水分があるだけで発生しやすいこと
が明らかとなりました。


3.“ピンクヌメリ”を抑制する新技術の確立

ナノテク成分「銀ナノ粒子」を浴室の床に付着してとどまらせ、“ピンクヌメリ”を効果的に抑制する

 そこで、次に“ピンクヌメリ”の発生を抑制するための技術開発を進めました。
 まず、“ピンクヌメリ”の抑制に効果のある成分(無機抗菌剤、カチオン界面活性剤、天然抽出物数10種)のスクリーニングを行いました。実験は、それぞれの成分を染み込ませたろ紙を設置した培地に酵母「ロドトルラ」を摂取し、2日後の増殖の程度を目視で判定しました。
 その結果、無機抗菌剤のひとつであるナノテク成分「銀ナノ粒子」に、“ピンクヌメリ”を抑制する高い効果があることを確認しました。
 「銀ナノ粒子」は、ナノテクノロジーを応用し、アルミナシリカ(無機粒子)の表面に酸化銀を付着させたもので、直径が約15ナノメートルの粒子です。この「銀ナノ粒子」の表面の銀が、酵母表面の細胞壁に作用することで酵母を変性させ、抗菌効果を発現すると考えられます(下図)。



 さらに、浴室で使用する際に十分な効果を発揮させるためには、「銀ナノ粒子」が広範囲かつ均一に浴室の床の表面を覆い、水で濡れても「銀ナノ粒子」が流れないことが重要です。
 そこで、「銀ナノ粒子」の付着効果を高める物質を選定し、特定のカチオン性高分子に、その効果が高いことを確認しました。


4.ナノテク成分「銀ナノ粒子」を活用した“ピンクヌメリ”抑制スプレーの開発

 以上の技術を応用して、この度、浴室用抗菌スプレー『ルックきれいのミスト 浴室用』を開発しました。『ルックきれいのミスト 浴室用』は「銀ナノ粒子」を配合するとともに、「銀ナノ粒子」を広範囲かつ均一にスプレーするために、微小なミスト状にスプレーができる容器を採用しました。
 『ルックきれいのミスト 浴室用』を浴室の床などにスプレーしておけば、“ピンクヌメリ”の発生を効果的に抑制します。
 なお、この技術に関する特許は4件出願済みです。


〜「日本防菌防黴学会第32回年次大会」発表概要〜

◎ 開催日 5月24日(火)〜25日(水)
<発表日 2005年5月25日(水)>
◎ 会場 千里ライフサイエンスセンター(大阪府豊中市)
◎ 演題、および、発表者 
浴室に発生するピンクヌメリの実態解析
有田佳子、山岸弘、鈴木 右子、岡野知道、米山雄二
(以上、ライオン株式会社 ハウスホールド事業本部 ハウスホールド第2研究所)
来栖恵二、小川徹
(以上、ライオン株式会社 研究技術本部 分析センター)
李憲俊 (衛生微生物研究センター)
浴室のピンクヌメリ構成微生物の資化度に関する検討
鈴木 右子、山岸弘、有田佳子、岡野知道、米山雄二
(以上、ライオン株式会社 ハウスホールド事業本部 ハウスホールド第2研究所)
李憲俊 (衛生微生物研究センター)



以上

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