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アスピリン最前線

解熱鎮痛薬として広く使われているアスピリン。ライオンは、副作用の研究や、新たな作用メカニズムの解明に取り組み、製品の開発につなげています。

胃に優しい鎮痛剤を目指して

 私たちは怪我をしたときなどに、怪我をした場所から神経を通して脳に信号が伝わり、「痛い」と感じます。アスピリンは、この信号を強めるプロスタグランジン(PG)という物質の合成を抑えることで鎮痛効果を発揮します。同じ仕組みで鎮痛効果を示すロキソプロフェン、イブプロフェン、セレコキシブなどと合わせて、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と呼ばれます。
(アセトアミノフェンも解熱鎮痛薬として広く使われていますが、鎮痛効果を示す仕組みは異なります)

 しかし、NSAIDsには胃を荒らす副作用があります。PGの合成を抑えるのと同時に、胃を保護する粘液の産生も抑えるからです。鎮痛作用と胃が荒れる副作用は表裏一体なので、副作用を抑えるには工夫が必要です。

 ライオンは、アスピリンの鎮痛作用を活かしながら副作用を低減するため、数々の検討を行っています。当初導入した一般用解熱鎮痛薬では、胃酸を中和する制酸剤としてダイアルミネート(アルミニウムグリシネートと炭酸マグネシウムの混合物)を使っていましたが、1990年代から改良を重ね、現在は合成ヒドロタルサイトや乾燥水酸化アルミニウムゲルを配合しています。合成ヒドロタルサイトや乾燥水酸化アルミニウムゲルはダイアルミネートよりも少量で十分な制酸効果を示すため、錠剤を小さくすることができ、飲みやすくなりました。

 また、アスピリンには鎮痛以外の効果も知られており、その1つに抗血栓効果があります。アスピリンには、胃を荒らす副作用と同じ仕組みで、血栓をできにくくする作用があるのです。ただし、この作用をうまく発揮させるには、アスピリンを低用量で使う必要があります。アスピリンを長く扱い続けてきたライオンは、2000年に、医療用抗血小板薬としての承認を日本で初めて取得しました。

未知だった鎮痛効果を発見

 長時間のデスクワークなど悪い姿勢を続けることなどで筋に負荷がかかって起こる腰痛を、「筋・筋膜性疼痛」と呼びます。ライオンが、このタイプの痛みを再現するモデルを使って、4種のNSAIDs(アスピリン、ロキソプロフェン、イブプロフェン、セレコキシブ)とアセトアミノフェンの痛み抑制効果を調べたところ、セレコキシブはまったく効果を示さなかった一方で、セレコキシブ以外の成分が鎮痛効果を示すことを初めて発見しました。セレコキシブは選択的にシクロオキシナーゼ-2という酵素の働きを抑えることで鎮痛効果を発揮しますが、他のNSAIDsはシクロオキシナーゼ-2とは別の酵素の働きも抑えます。セレコキシブが効果を示さなかったという結果は、筋・筋膜性疼痛に対する鎮痛効果が、シクロオキシナーゼ-2阻害以外のメカニズムで発揮されたことを意味しています。

膝痛にもアスピリン

 変形性膝関節症は、膝の軟骨が変形したりすり減ったりして、徐々に関節の構造が壊れていき、痛みが長く続いたり、歩行傷害が起こる病気です。痛みが長く続くと、脊髄で痛みの伝達異常が起こり、膝でないところも痛いと感じたり、ちょっとした刺激でも痛いと感じてしまいます。これを「二次痛覚過敏」と呼びます。

 二次痛覚過敏のモデルに対するNSAIDsとアセトアミノフェンの効果を調べたところ、腰痛にはよく効いていたイブプロフェンがまったく効かないという意外な結果が得られました。腰痛でも、膝痛でも、整形外科でよく使用されるロキソプロフェンだけでなく、頭痛・生理痛に用いられてきたアスピリンが効果を示したのは興味深い結果です。

 ライオンは、一連の研究をもとに、飲むことで腰痛や膝痛を改善するOTC医薬品を開発しました。今後もアスピリンの作用メカニズムに関する基礎的な研究を続け、新たな製品の開発につなげていきたいと考えています。

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