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オープンイノベーション

ライオンは、お客様に新しい「価値」を提供していくことを目指し、オープンイノベーションを推進しています。その一例として、口臭ケアサポートアプリ『RePERO』の開発をご紹介します。

SNSからお客様の本音を探る

『RePERO』は、スマートフォン(以下スマホ)で自分の舌を撮影すると、AIが画像を解析し、口臭リスクを5段階で判定してくれる口臭ケアサポートアプリとして開発しました。口臭は、デリケートな話題であることから、お客様の「本音」を拾うアプローチとして、SNSに着目しました。「口臭ケア製品を使っても改善したのか不安が残る」という投稿から、口臭が改善したことを示して不安を取り除くことが新たな価値になると気づかされたのです。

舌の画像で口臭リスクを判定する

息を吹きかける方式の口臭チェッカーはすでにありますが、持ち歩くと荷物になる上に、口臭リスクがわかるだけで具体的なケア情報は得られません。そこで、舌の画像を利用して口臭リスクをチェックするという斬新な方法を考え、そのためのスマホアプリを開発しようと決めました。スマホは多くの人がすでに持ち歩いており、チェック結果に合わせたケア情報を提供することもできるからです。

何より、「舌苔が口臭の原因の一つである」というライオンの知見が、アプリ開発を強力に後押ししました。舌苔とは、剥がれ落ちた粘膜上皮細胞や食べ物のカスに由来する舌の上の汚れで、口腔内の細菌がこれを餌として代謝することで口臭が発生します。そこで、舌苔の状態(付着量や厚み、色味など)と口臭レベルの間には相関があるに違いないという見通しのもと、「スマホで撮った舌の写真から口臭リスクを判定する」画期的なアプリの開発が始まりました。

開発担当者は、まず自分の舌を、食事後、歯磨き後など様々なタイミングで撮影し、そのときの口臭レベルの値と組み合わせたデータセットをつくりました。そして、舌の色味を画像編集ソフトウエアで解析したところ、解析結果と口臭レベルは予想通り相関していました。さらにデータセットを集めて解析を続けると、舌の写真から口臭レベルを高い確率で予測できるようになりました。開発担当者は口臭リスクを判定するためのアルゴリズムを見出し、簡易版の口臭リスクチェックアプリまで完成させました。

AI導入のために他社との連携に乗り出す

簡易版アプリのテスト段階で、「スマホの機種によって写真の色味が変わり、口臭リスクを判定できない」という壁にぶつかりましたが、偶然参加したAI講習会で解決のヒントが得られました。画像認識を得意とするAIなら、舌の写真に隠れた言語化できない特徴を捉え、スマホの機種による色味の差に惑わされることなく口臭リスクを判定できそうだとひらめいたのです。さっそく、講習会を主催していた富士通クラウドテクノロジーズに声をかけ、連携が始まりました。

AIの画像学習には、数千のデータセットが必要なため、同じ舌を、スマホの機種や部屋の明るさ等の環境を変えて撮影し、データを集めました。これがAIに「同じ舌でも撮影状況によって見え方が違う」と教えるには好都合でした。わずか1週間ほどでAIを使って機種差の問題は解決され、その約3ヵ月後には『RePERO』の提供開始に漕ぎつけました。導入した企業からは「手軽でいい」、「斬新でおもしろい」、従業員からも「口臭の不安が低減した」「口腔ケアに興味関心を持つようになった」などの声を聴く、といった評価をいただいています。

図 ライオンと富士通クラウドテクノロジーズによるオープンイノベーション

図 ライオンと富士通クラウドテクノロジーズによるオープンイノベーション

ライオンが蓄積したデータと知見に、富士通クラウドテクノロジーズのAI技術が加わることで、スマホの機種や撮影環境の影響を抑えて舌の画像から口臭リスクを判定できるスマホアプリが完成した。

オープンイノベーションによる開発が成功した理由

この開発には、いくつかの成功要因があります。1つは、AIの習得には年単位の時間がかかると感じたときに、AIの専門企業にためらわずに協力を依頼したことです。また、開発担当者が自ら簡易版アプリをつくるほど技術や知見を掘り下げていたため、単なる外注ではなく、AI開発担当者と対等に議論し、的確に要望を伝えることができたことも大きな要因でした。さらに、アプリ開発という新たな取り組みの中、他社との連携にあたっては、知的財産権を守ることに万全の注意を払い、知財や契約に関わる社内部所と早い段階から密接な協力体制を構築しました。

他社と連携し、広くお客様に向き合うオープンな部分と、自社で開発し、社内の協力を得るクローズドの部分がうまくかみ合ったからこその成功でした。ライオンはここで得たものを、今後の新規事業開発に活かしていきます。

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