2017年の活動ハイライト

2017年ハイライト① 0才からの予防歯科

ライオンが大切にしている「予防歯科」

口腔の健康は、口の中のみにとどまらず、糖尿病、心疾患、認知症などの全身疾患への影響が大きいことが明らかになってきています。また、歯の残存数が少ないと、楽しく話すことや美味しく食べることが困難になり、毎日のQOL(Quality of Life: 生活の質)の低下につながります。つまり、健康な口腔状態を保持することは、心身ともに健康で生きていける寿命、すなわち「健康寿命」の延伸につながるのです。
ライオンは、人々が生涯にわたって健康的な生活を送ることを目指し、「予防歯科」の考え方を社会へ提唱してきました。商品の開発・行政や歯科医院と連携した啓発活動などを通じて、積極的な普及活動に取り組んでいます。
さらに2017年には、「予防歯科」の習慣をできるだけ小さいころから身につけることを目指して、「0才からの予防歯科」を提唱しました。

[図1]ライオンの予防歯科の考え方

子どもの歯みがきの課題

[図2] 5才以下の歯みがき習慣定着率

子どもの歯は、一般的に生後8ヵ月頃から乳歯が生え始め、6才頃から永久歯に生え変わっていきます。この間、子どもの口の中の状況は、成長とともに大きく変化します。子どもの歯を守るためには、歯のステージに合わせた正しい歯みがき方法を、保護者が一緒に実践しながら教え、そしてなるべく早い段階で「自分でみがく」習慣を定着させることが大切です。
しかし、子どもの歯みがきの実態調査を進めていく中で、「5才以下の歯みがき習慣非定着率」*は39%と、多くの子どもにとって習慣が定着していないことがわかりました(図2)。

この定着率の低さには、さまざまな要因が考えられますが、主に2つの大きな要因があると当社は考えました。
1つ目の要因は、そもそも「親子にとって、歯みがきの時間が楽しい時間ではない」ことです。子どもにとっては慣れないハブラシを口の中に入れられる苦痛な時間であり、また保護者にとっても、嫌がる子どもを追いかけ、半ば強制的に歯みがきをさせるストレスの多い時間となっていました。保護者は、無意識に怖い顔をしながら子どもとの歯みがきに向き合っていたり、それによりまたさらに子どもが歯みがきを嫌いになるという悪循環が生じていたのです。
2つ目の要因として、「保護者が子どもの歯みがきを済ませてしまう」ことがあげられます。子どもの歯みがき習慣を定着させるためには、なるべく早いうちから「自分でみがく」ことを教えることが大切ですが、歯みがき中のケガを不安に感じている保護者が多いことなどから(図3)、保護者が子どもの歯みがきを済ませてしまうケースが多いことがわかりました。このことから、子どもの歯みがき習慣定着のためには、より「安全性」を考慮した商品の開発が必要であると当社は考えました。
これらをふまえ、保護者の不安を解消し、親子にとって歯みがきの時間を「嫌な時間」から「楽しい時間」へと変えることができないかを考え、商品の開発とコミュニケーションの双方に取り組んでいます。

* 「定着」とは、子どもが自分みがきを毎日行っている状態のこと

[図3]子どもの歯みがき中のケガに対する不安

ライオンの取り組み

[商品の開発]

0才からの予防歯科を実現する「安全ハンドル」

歯みがき中のケガは、子どもがハブラシをくわえたまま走り回るなどして転倒した際に、そのハブラシが口腔内外にあたることから起きていました。そこで当社は、子どもがハブラシを口にくわえたまま転倒しても、お口にかかる負担を低減できる「安全性」、かつしっかりと歯をみがける「清掃性」を両立した商品の開発を目指しました。
そこで当社が開発したのが、ハブラシのハンドルが横方向にぐにゃりと曲がる「まがる・おれない安全ハンドル」です。万が一子どもが転倒した際も、口の中でハブラシが曲がることでその負担を軽減することができます。そして、縦方向には曲がりにくい構造にすることで、しっかりと歯をみがける清掃機能も併せ持つことが実現できました。
当社は、この安全ハンドルを『クリニカKid'sハブラシ』(0〜2才用、3~5才用)に採用し、全面改良しました。

[コミュニケーション]

親子の歯みがきの時間に新しい価値を

歯みがきは、親子にとってストレスの多い時間となりがちですが、当社は親子の絆を深める大切な時間へ変えられると考えています。親子にとって歯みがきは、単に歯の汚れを落とすことが目的ではありません。一緒に歯をみがくことで、保護者から褒められて自信がついたり、手や指を動かすことで運動機能が育つなど、子どもの心とからだの成長にとって大切な習慣であり、親子のコミュニケーションの場であると考えます。当社は、この考えを広く浸透させるため、多様な情報発信を行っています。

共感の広がりを目的とした動画

子どもとの歯みがきに対する保護者の悩みとホンネに寄り添い、共感の広がりを目的とした動画を作成し発信しています。
この動画では、親子が一緒に歯みがきを楽しむことで、その時間を親子の大切なコミュニケーションの場に変えられることを表現し、親子の歯みがきの新しい価値を伝えています。

「親子でやろう!0才からの予防歯科ブック」

子どもの歯を守るためには、保護者自身が正しい知識と習慣を身につけることが重要です。当社は、子どもの予防歯科のステップアップを伝えるガイドブック「0 才からの予防歯科ブック」を全国の歯科医院や産婦人科で配布し、子どもの歯の成長とあわせた正しい歯みがき方法を伝えています。

Webサイト 「HA! HA! HA!パーク」

「親子の歯みがきの時間を、もっと楽しくしたい」という想いを込めて、子どもの予防歯科を応援するWebサイト「HA!HA!HA!パーク」を立ち上げました。ここでは、親子が正しい歯みがきの方法について学んだりしながら、クイズで遊んだり、動画を楽しむことができます。子どもの集中力を切らさぬよう特殊な音を取り入れた「親子で歯みがきソング」の動画を発信するなど、工夫をこらしています。

従業員一人ひとりが「0才からの予防歯科」の考え方を普及

「0才からの予防歯科」を社会に浸透させるためには、まずは従業員一人ひとりが理解を深めることが大切であると考えています。2017年に、全社一斉に「予防歯科」学習を進め、従業員自身が「予防歯科実践者」となるべく取り組みました。また、子どものいる友人・知人に従業員が直接「親子で予防歯科紹介セット」を配布し、多くの人に「0才からの予防歯科」の重要性を伝えました(約10,000セット配布)。

「0才からの予防歯科」を通じてライオンが目指すこと

毎日のオーラルケアは、生涯の健康にもつながる大切な習慣であり、小さいころから身につけることが重要です。当社は、0才から大人、さらには孫を持つ年齢になるまで、あらゆるライフステージにおいて、オーラルヘルスケアを通じて人々の全身健康と健康寿命の延伸にお役に立ちたいと考えています。 今後も全社一丸となり、予防歯科の啓発に取り組んでいきます。

開発者の声

オーラルケア事業部 青木智弘

私は、『クリニカKid'sハブラシ』シリーズの製品開発・コミュニケーション開発を担当しています。2017年のシリーズ一新に当たっては、製品開発段階から発売後の普及活動に至るまで、社内メンバーに加えて、歯科医師をはじめ社外の方からも多くのご協力をいただき開発を推進してきました。例えば、開発段階ではプロトタイプについて先生から何度もアドバイスをいただいたり、子どもを対象とした臨床試験も共同で実施しました。普及活動では「0才からの予防歯科」の大切さについてコメントをいただいたり、小児歯科学会大会での共同発表なども行いました。また、販売店様からもたくさんの共感をいただき、お客様の不安を解消する情報を店頭から発信するツールを積極的に設置していただきました。
このように、「製・販・学」一体となって「0才からの予防歯科」普及活動を行った結果、「子どもが自分から歯みがきするようになった」という声や、「お利口さんでした、えらい」と褒める声など、多くのご家庭での歯みがきが「親子の楽しいコミュニケーションの場」に変わりつつあることを実感しています。また、『クリニカKid'sハブラシ』シリーズの貢献も評価され、キッズデザイン賞や日本マザーズセレクション大賞にも選出していただきました。
これからも、「0才からの予防歯科」の普及に尽力し、親子の楽しい歯みがき習慣の定着と、お子様の健やかな成長に貢献できるよう、取り組んでいきます。

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