Chapter01ラクトフェリンとの意外な出会い
オーラルケアの研究中に偶然発見したラクトフェリンの新たな機能
村越 倫明
生命科学研究所所長、京都府立医科大学客員教授、医学博士。生化学研究一筋の道を歩み、天然物の生物活性研究や歯周病研究を続ける中で、ラクトフェリンに巡り合う。
ラクトフェリンは母乳に含まれる
多機能性タンパク質
1939年、デンマークの科学者によって発見された「ラクトフェリン」。人間を含む哺乳類の乳や唾液、涙や血液(白血球)などに含まれている成分で、特にヒトの出産直後の初乳には多くのラクトフェリンが含まれている。その濃度は、牛の初乳の約10倍。発見当初から赤ちゃんの健康を助ける成分としてのはたらきが注目されていた。
そんなラクトフェリンの研究にライオンが着手したのは、2003年のことだった。生命科学研究所所長の村越倫明は当時を振り返る。
「2003年からしばらくは、ラクトフェリンの基礎研究が中心でした。やがて、製品への応用を前提とした研究がスタートしたのが2005年です。ですがその時は、ラクトフェリンをオーラルケア分野に使えないかという発想でした」。
2006年、我々はオーラルケア分野における研究のなかで、ラクトフェリンの新たな知見を見出しました。当時、歯周病菌産生する毒素・LPSに関する研究を続けていたのですが、ある偶然の気付きから、ラクトフェリンの摂取により、生活習慣が関わる健康に関する新たな働きを発見したのです。