自然との共生

生物多様性保全の考え方

洗剤の使用と関係のある河川の発泡や富栄養化などの水環境問題に、古くから率先して対応してきた当社では、原材料調達から廃棄までのすべての段階で生物多様性に配慮してきました。しかし、将来にわたり生物多様性の恵みを享受するためには、地域社会などと連携して生物多様性の保全に取り組み、その恵みを使い果たすことのないよう、持続可能な利用を進める必要があります。また、生物多様性に配慮した製品を通して生活者のライフスタイルの変化を促し、自然共生社会の実現に向けて貢献することが重要です。
そこで当社は、バリューチェーンに沿って、事業活動で利用している天然資源や事業の生物多様性への影響を把握し、リスクの低減と機会の拡大につながる生物多様性保全活動を行うことで、事業を通じて持続可能な社会の発展に貢献します。また、環境教育の一環として、従業員一人ひとりが生物多様性保全活動に参画することで、生物多様性保全に対する意識を全事業所に浸透させます。

1960年代 河川の発泡問題
当時の合成洗剤は分解されにくかったため、河川などが泡で被われる状況となりました。ライオンは洗剤原料を分解されやすいものに転換しました。

1970年代 富栄養化問題
富栄養化による赤潮などが発生し、問題となりました。原因の1つであるリンは、当時の洗剤に配合されており、ライオンは洗剤の無リン化を他社に先駆けて推進しました。

1980年代以降 地球環境問題
地球規模での環境問題がクローズアップされ、資源や環境負荷に対する配慮が求められるようになりました。ライオンは洗剤の洗浄力を高性能化して使用量を低減したり、植物原料の活用を積極的に進めています。

当社の生物多様性保全活動の全体像

当社の生物多様性保全に配慮した事業活動の全体像

当社の生物多様性保全に配慮した事業活動の全体像

* 流域:水でつながる森林、河川、里山、干潟、海浜などの生態系

持続可能なパーム油の調達を目指して

当社は、枯渇することがなく、カーボンニュートラルな原料である植物原料の活用を積極的に進めており、その植物原料のひとつとして、世界で最も生産量の多い植物油脂であるパーム油の誘導体を使用しています。パーム油は主にマレーシアやインドネシアで生産されています。 パーム油は生産性が高く年間を通じて収穫できることから生産量は年々増加していますが、生産地においては急激な生産拡大にともない、新規農園開発のための熱帯雨林の伐採やそれにともなう野生生物の生息地の縮小などの問題が生じています。また不適切な農園経営による、健康や安全への配慮が乏しい劣悪な労働環境や、低賃金、移民労働者の不当な扱い、児童労働など、社会的公正を欠くさまざまな労使問題も指摘されています。 このような問題の解決に向けた「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)」に、当社は2006年から参画しています。2012年には、パーム油が納入されるライオンケミカル(株)オレオケミカル事業所が、RSPO認証パーム油の取り扱いができる工場としてサプライチェーン認証システム審査に合格し、認定を受けました。これに基づいて当社は2012年からRSPOの認証が得られたパーム油の調達を開始しました。当社は2015年末までに、使用するパーム油をすべて認証油に切り換えることを目標に掲げ、2014年7月より購入パーム油を全量認証油化し、目標を達成しました。2016年は2020年目標の達成に向けてRSPO認証パーム油誘導体を継続購入しました。 今後も持続可能なパーム油の調達に向けて取り組みます。

目標

2020年:パーム油誘導体全量をRSPO認証化

Roundtable on Sustainable Palm Oil (持続可能なパーム油のための円卓会議)
RSPOでは、「環境に対する責任と資源及び生物多様性保全」「新規プランテーションにおける責任ある開発」「農園、工場の従業員及び、影響を受ける地域住民への責任ある配慮」などの持続的なパーム油生産に求められる8原則と基準を定めており、これを満たして生産されるパーム油のみを持続可能なパーム油として認証している。

ライオンケミカル(株)
のRSPOサプライチェーン認証

ライオンエコケミカルズにおける取り組み

ライオンエコケミカルズ(LION ECO CHEMICALS SDN.BHD.:LECO)(マレーシア)は、2014年6月にRSPOのサプライチェーン認証を取得しました。LECOが世界のお客様へ向けて製造・販売している環境対応型界面活性剤「MES」は、パーム油が原料ですが、環境への影響や労働環境に配慮した持続可能な認証パーム油を求める声が世界で高まっています。LECOが販売先として想定しているヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアのお客様からは認証パーム油を使ったMESの要望が強く、サプライチェーン認証を取得しています。
LECOは、今後も市場やお客様の要望をいち早く最大限反映して事業を運営します。

ライオンエコケミカルズ(株)
のRSPOサプライチェーン認証

ライオンエコケミカルズ

担当者の声

ライオンエコケミカルズ(LECO)は植物生まれの洗浄成分MESを世界の様々な国へ向けて製造・販売している会社です。
現在、MESの拡売に向けて、私は大きく2つの業務に携わっています。

Lion Eco Chemicals
Yap Chee Yong

LECOのRSPOサプライチェーン認証取得業務

2014年からRSPOサプライチェーン認証を取得し、認証付きのMESを求めるお客様のニーズに対応できる体勢を確立しています。
現在は欧米からのお取引先からの要望が多いですが、今後はアジアのお取引先に対しても環境への意識啓発を行い、販売拡充に努めます。

お取引先に適したMESの配合洗剤を提案

それぞれの国のお洗濯に関するニーズや、水の硬度の違いなど地域の特性を分析し、お取引先にとって最適なMES配合洗剤を提案しています。また、最適な生産プロセスのアドバイスや提案も行っています。
一般的に多くの国で主流である石油系の界面活性剤は、植物系界面活性剤と比べて、環境中で分解される際に排出される二酸化炭素量が多くなります。私はお取引先に、MESの環境配慮の特長や、優れた機能を技術面からわかりやすく伝え、MESの使用を促すことが課題であると感じています。

今後も引き続き、認証付きMESの拡売と、お取引先のニーズに合う最適なMES配合洗剤を研究し、環境に優しい製品の開発に貢献したいと考えています。

各事業所での生物多様性保全活動

当社は、それぞれの事業所において生物多様性保全活動を行っています。特に工場においては、敷地が広く、取り扱う原材料が多く、周辺の自然環境や地域社会に影響を及ぼす可能性があると考えられるため、工場の操業にともなう影響を低減するとともに、工場が立地する周辺流域の生物多様性を保全し、その恵みを地域社会全体で享受できるよう、生物多様性保全活動を積極的に行っています。

当社の生物多様性保全への取り組み

界面活性剤「MES」、「MEE」などの環境への影響調査

当社の商品のほとんどは、使用後に河川などに排出されるため、開発段階で環境中での安全性を評価・確認しています。さらに、日本石鹸洗剤工業会が1998年から実施している東京および大阪近郊の河川水域中の4種類の界面活性剤の濃度調査〜生態系リスク評価(年4回実施)に参加し、環境に影響がないかどうかを調べています。これまでの調査では、水生生物に影響がないと考えられる濃度よりも低いので、洗剤による環境影響が少ないことがわかっています。
また、植物由来の界面活性剤「MES」と「MEE」は当社が開発した物質であることから、独自に同じ公共水域中で濃度を調査して評価し、生態系への影響が極めて小さいことを確認しています。
安全性の評価・確認は当社だけの課題ではありません。国内外における最新の技術情報を収集・活用するとともに、当社からも情報を発信し、安全性の進歩に貢献しています。

2016年は、以下のような報告を行いました。
第50回 日本水環境学会年会
 フラスコサイズマイクロコズム試験を用いた界面活性剤の生態系影響評価
 日本全国の河川における直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)の暴露濃度解析
第19回 日本水環境学会 シンポジウム
 家庭用製品に用いられる界面活性剤の生態系リスク評価

河川水の試料採取地点

MESの良好な生分解性と優れた洗浄力

良好な生分解性

界面活性剤は、使用後環境中で微生物により分解されます(生分解)。「MES」は、生分解されやすいことから、環境中にいつまでも残ることはありません。

界面活性剤の生分解性

* LAS:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩

優れた洗浄力

洗剤の洗浄力を高め、洗濯1回あたりの使用量を削減すれば有機物発生量も減少し、水環境への負荷も低減できます。現在の『トップ プラチナクリア』は優れた洗浄力の「MES」を配合、環境への負荷を低減しています。

洗浄力の比較

* AS:アルキル硫酸エステル塩

洗濯1回あたりに排出される有機物質

「MES」はこのほかにも、硬水中でも高い洗浄力を保つ、あるいは汚れを分解する酵素との相性がよいなどの優れた特長を有しています。