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独自配合の酵素でこびりつき汚れを分解する台所用洗剤「CHARMY Magica 酵素+」の開発

開発背景

当社は、生活者への家事負担軽減に繋がる新たな習慣を提案するため、食器洗いに対する意識調査を実施しました※1。その結果、食器洗いで最も気持ちが落ち込むのは「食器を洗う前」であり、特に汚れがついている食器や鍋がたまっている状況を負担だと感じていることが明らかとなりました。さらに、約7割の生活者は、食器洗いをする前に「食器を水につける行動」(図1)をしていますが、つけおきをする際に台所用洗剤を使用する割合は1割程度で、大半の生活者は台所用洗剤を使用せず、食器を水につけおきするのみであることがわかりました。つけおきの実施理由としては、‟汚れを落ちやすくしたい“と回答する割合が高く、「効率的に汚れが落ちるつけおき」に対してニーズがあることが明らかとなりました(図2)※2。そこで、食器洗いの負担軽減に繋がる新たな行動の提案に向け、「水に加えてつけおきをしておくだけで、軽い力で汚れを落とすことができる」台所用洗剤の開発に着手しました。この具現化に向けては、食器や鍋にこびりついた汚れに含まれるデンプンやタンパク質に着目し、これらの汚れに対して作用する‟酵素”の台所用洗剤への配合を検討しました。
※1 食器洗いに関する意識調査 (2018年9月、当社調べ、n=852)
※2 つけおきに関する実態調査 (2018年6月、食器洗い時につけおき行動実施者 当社調べ、n=29,905)

図1.一般的な食器プロセス
図2.つけおき行動の実施理由

酵素によるこびりつき汚れへの新たなアプローチ

食器にこびりついた汚れは、油、デンプン、タンパク質の複合汚れであり、一般的に油汚れは、台所用洗剤に洗浄の主成分として配合されている界面活性剤で洗浄できます。一方で、デンプンやタンパク質の汚れは界面活性剤だけでは落としにくく、強い力でこするといった物理的な除去が必要でした。そこで、デンプンやタンパク質の汚れに対する新たな洗浄のアプローチとして、‟酵素”に着目しました。酵素は、デンプンやタンパク質に対して特異的に作用し、汚れを分解することができるため、台所用洗剤に配合することで、軽い力で汚れを食器や鍋から除去できると考えました。すでに当社の衣料用洗剤では、酵素の配合により、衣類に付着した皮脂などの複合汚れに対する洗浄力を高める技術が確立されており、この知見を活用して検討を進めました。候補となる酵素を種々検討した結果、デンプン、タンパク質に対して優れた洗浄性を発揮する酵素を選定しました。

酵素配合によるこびりつき汚れへの洗浄効果

新たに酵素を配合した台所用洗剤(以下、酵素配合洗剤)のつけおき洗浄の効果を確認するため、生活者の困りごととして上位に挙げられるカレーのこびりつき汚れを用いて評価しました。カレー汚れを付着させた鍋に、酵素を配合した台所用洗剤と酵素未配合の当社従来台所用洗剤(従来洗剤)を塗布し、ぬるま湯につけて一定時間放置した後の汚れ落ちを比較しました。その結果、酵素配合洗剤で処理した鍋の汚れは、従来洗剤と比較して軽くゆらすだけで落ち、酵素配合洗剤によるつけおき洗浄の有効性を確認しました(図3)。

図3.酵素配合洗剤を用いた洗浄力評価

酵素には、デンプンやタンパク質の汚れをハサミで切るように分解する特性があることから、食器や鍋に鎖状に付着したこびりつき汚れに対しても、酵素配合洗剤でつけおき洗浄をすることで、軽い物理力で汚れを簡単に落とすことができると推察しています(図4)。

図4.酵素によるこびりつき汚れに対する洗浄メカニズムのイメージ図

まとめ

今回検討した酵素配合洗剤は、「ほったらかし洗い(つけおき)」を新たな習慣として提案する台所用洗剤Magica酵素+(プラス)として2019年2月に発売いたしました。今後も、本開発を通じて確立した酵素配合技術を活用し、お客様の家事における負担軽減や効率化に貢献する技術や製品を提供していきます。

研究事例紹介

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