新型コロナウイルスやインフルエンザといった感染症や風邪を発症する要因としては、ウイルスや細菌などの感染源の存在とともに、感染を受ける側の身体の状態も影響します。
参考:感染をしる | くらしの衛生情報 | ライオン株式会社 (lion.co.jp)
つまり、身体の抵抗力をつけることも感染対策として重要だということ。睡眠や食事といった生活習慣や運動などによる健康づくりが、ウイルスや細菌などによる感染症から体を守る第一歩といえるのです。
そこで当たり前のように実施している、手洗い・うがいなどの「衛生習慣」や歯みがき回数・タイミングなどの「口腔衛生習慣」について、風邪の引きやすさ※1の関係について調査しました。その結果、歯みがき行動が風邪の引きやすさと関係していることがわかりました。
※1 過去半年間に発熱、咳などの風邪症状を訴えたかどうか(有訴)
一般的なお口のケアとして、みなさん歯みがきは実施していると思いますが、毎日の歯みがきのタイミングはいつでしょうか?
朝食後と夕食後にする人、寝る前にもする人など、人によって歯みがきのタイミングや回数は違うかもしれません。
そんな「歯みがき行動」と、「過去半年間における発熱、咳、鼻水、胃腸不調、のどの痛みなどの風邪症状の有無」の関係について調査したところ、両者の間に関連性があることが示唆されました。
まず、1日の歯みがき回数についてみると、1日3回の人は咳症状や発熱症状を訴える人の割合が低いことがわかりました。
つまり、歯みがき回数が多い方が、風邪を引きにくくなる可能性があるというのです。
次に「歯みがきを実施するタイミング」と「風邪症状の有無」の関係については、帰宅直後に歯みがきをしている人は、していない人に比べて、風邪の諸症状を訴える人の割合が低いことがわかりました。また、外出先で歯みがきをする人も、しない人と比べると、のどの痛みや、鼻水といった風邪の諸症状を訴える人の割合が低いという結果となっています。
これらの結果から、帰宅時または外出時に歯みがきをすることが、風邪症状の発症の抑制に有効であることが示唆されています。
今回の調査で、睡眠、食事、運動、歯みがき、調理、入浴といった様々な生活行動と、風邪症状の有無の関係について調べたところ、特に睡眠、食事、運動、歯みがきが風邪の引きやすさと関係が強いことがわかりました。
お口を清潔に保つ歯みがき行動が、風邪症状とも相関関係にあるというのは意外に感じる人も多いのではないでしょうか。
健康づくりにとって、歯みがきも大事な要素なのです。
歯みがきは、むし歯や歯周病などを予防したり、口臭を防いだりといったお口の健康を維持するために大切なケアです。
それだけでなく、歯みがきは風邪などの感染症リスクを下げることにもつながる可能性があることが今回の調査でわかりました。
また、要介護高齢者に対して歯科衛生士による専門的な口腔ケアを実施したところ、インフルエンザの発症率が低下したという研究結果もあります※2。
つまり、歯みがきは、お口を清潔に保つためだけでなく、風邪を引きにくくする有効な手段の一つということがわかります。
※2 Abe et. al., Arch. Gerontol. Geriatr.(2006)
感染対策に対する意識が高まり、以前と比べて帰宅後に手洗いや消毒を欠かさなくなったという人も増えていると思います。感染リスクをより下げるためにも、帰宅後の「手洗い」からもう1歩だけ進んで、帰宅後の歯みがきを習慣化してみてはいかがでしょうか。
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