昨今の社会情勢の変化で、生活者の清潔衛生意識が高まっています。ライオンの調査では、96%の方が外出先でのウイルス・菌に不安を感じていることがわかりました。
そのような背景からか、主に外出先などの携帯用として使用される1~39枚入りのウェットティッシュ市場は、2020年には前年比約3.6倍に拡大しており、中でもウェットティッシュのアルコールタイプは前年比約3.9倍に拡大しています。
そこで、主に外出先などの携帯用として使用されるウェットティッシュの中でも身の回り品に対して除菌効果のある「除菌ウェットティッシュ」について解説していきます。
除菌ウェットティッシュとは、日本衛生材料工業連合会の安全衛生自主基準で定めた成分液を、レーヨン、ポリエステルなどを素材とした不織布に含浸したもので、特に器物表面に対する除菌と汚れの拭き取り用途として手指の汚れ落としを併記して標榜するウェットティッシュと定義されています。(一般社団法人日本衛生材料工業連合会HP及び除菌を標榜するウエットワイパー類の自主基準より)
除菌ウェットティッシュには詰替えタイプや携帯タイプがあり、成分液によってアルコール配合のもの、次亜塩素酸水配合のもの、次亜塩素酸ナトリウム配合のもの、界面活性剤配合のもの、純水使用のものなどに分かれます。また、アルコールタイプのものも、商品によって成分やアルコール濃度は様々です。用途によって適切なものを選びましょう。
アルコールタイプのウェットティッシュにはエタノール等が含まれており、身の回り品表面の除菌性を確保しています。
汚れをしっかり拭き取りたい場合は、アルコールタイプのウェットティッシュがおすすめです。
ただし、アルコールには強い脱脂作用(油脂を除去する力)があるため、身の回り品の表面を拭く際に手の水分を奪ってしまい、手荒れにつながる可能性があります。
また、犬や猫はアルコールを体内で分解できないため、中毒になる可能性もあります。そのため、肌が弱い方やお子様、ペット関連の汚れ落としでの用途には、アルコールタイプのウェットティッシュの使用は控えてください。
ノンアルコールタイプにも、アルコール以外の除菌成分を配合し、身の回り品の表面に対する除菌性を確保しているものがあります。お子様の手指の汚れ落としにも安心して使えるのはこちらです。
除菌、殺菌や消毒という言葉は、いずれも菌やウイルスを完全に死滅させるか、除去することを意味します。
その中でも、殺菌とは文字通り「菌を殺す」ことで、程度は問わない言葉です。そのため、「一部を殺した」だけでも殺菌といえます。
消毒とは菌やウイルスを無毒化することです。必ずしもすべて殺すものではなく、病原体を害のない程度まで減らしたり、感染力を失わせたりして無毒化することをいいます。
殺菌・消毒ともに「医薬品・医薬部外品」の製品にのみ使われる言葉です。
一方、除菌とは菌やウイルスの数を減らすことで、すべての菌・ウイルスを除去するものではありません。「医薬品・医薬部外品」以外の製品に使われることが多いようです。
以下試験方法をもとに、高除菌効果をうたう市販の除菌ウェットティッシュの効果を測定したところ、身の回り品表面に対して99.99%の除菌性能があることがわかりました。
・適当な汚れと共に細菌を試験担体(ステンレス板)に接種し、乾燥後拭取り装置に設置する。
・試験試料(ウエットワイプまたは対照液を塗布した綿布)を巻きつけたおもりで試験担体上を所定回数拭取り、5分間静置する。
・5分後、試験担体を不活性化剤に移し、試験試料の細菌の増殖を抑制したり死滅させる性質を不活性化させた後、試験担体上の生菌数を測定する。
・試験試料の除菌活性値は、対照試料及び試験試料で拭取り後、それぞれの試験担体上に残存する生菌数の常用対数値の差で示す。
この試験によると、同除菌ウェットティッシュの除菌活性値(決められた試験材料表面を試験試料及び対照試料で拭き取り後、それぞれの試験材料表面に残存する生菌数の差を常用対数で表した値)が4.0以上(99.99%)の除菌効果を示したということです。
※すべての菌を除去するものではありません。
除菌ウェットティッシュを手指の汚れ落としとして利用する際、手のひらや手の甲を拭いて済ませている方が多いようです。
実は手や指には「汚れが残りやすい」ところがあります。それは以下の4つです。
①指先や爪の間
②手の甲や手首
③指と指の間
④親指の付け根
手の中で最も汚れがつきやすいのは、物によく触れる指先です。効果的に汚れをふき取るには、手のひらや手の甲だけでなく、「指の腹から爪の生え際」を意識して、指先をぬぐうといいでしょう。ほかにも、上の図の赤線で囲んだ部分は汚れが残りやすいので、意識して清潔にしましょう。
1. まず、手のひらをしっかりふきます。
2. シートを裏返して、手の甲をふきます
3. 親指のつけ根から指先にかけて汚れをふきとります。
4. 人差し指から小指も、指先にかけてていねいにふきます。
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