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慈善券による社会貢献の仕組み

ライオン(株)の歴史の中で、「慈善券」事業は社会貢献活動として長く語り伝えられるもののひとつです。
どのような目的で始められ、どのように実施され、どのような成果を納めたのでしょうか。

慈善券による社会貢献の仕組み

慈善券事業とはどのようなことだったのでしょうか。
ライオン(株)の前身である小林富次郎商店は、1896(明治29)年7月に「ライオン歯磨 小袋入」(販売価格3銭)を発売し、翌年から本格的に全国展開したのですが、品質が良く価格が安い点が評価されて大ヒットしました。
この「小袋入」の他に「桐箱入」「罐入」「瓶入」「筒入」「大袋入」と商品数を増やし、数年にして歯みがきのトップブランドになったのです。
そして、1900(明治33)年には1番の売れ筋商品である「小袋入」の売上が月間100万個を突破しました。これを記念して小林富次郎商店は、「ライオン歯磨小袋入」に慈善券を印刷した「ライオン歯磨慈善券付袋入」を発売しました。そして、慈善券の印刷された空袋を1厘で買い戻す、しかも引換期限なしという約束を新聞で発表したのです。
この「ライオン慈善券付袋入」の購入者は、その空袋を自分の支援したい慈善団体に寄付し、寄付を受けた慈善団体はこれを小林富次郎商店で、あるいは販売店を通じてお金に引換える仕組みになっていました。
そう、ちょうど今日の「ベルマーク教育助成運動」と似ていますね。食品や日用品や菓子などのパッケージに印刷されているベルマークをPTAや生徒会に持ち寄ったことはありませんか。
ベルマークは1枚1点(1円)とか2.5点(2.5円)と小さな金額ですが、皆が力を合わせると大きな金額になって、様々な学校設備品に換えることができます。
ベルマーク運動はベルマーク財団と90余社の協賛メーカー(ライオン(株)も協賛しています)によって実施されていますが、「慈善券」事業は小林富次郎商店が単独で実施しました。「慈善事業に寄付する目的」でしたから「慈善券」と名付けたのです。
「慈善券」1枚は僅か1厘ですが、その成果はどのくらいのものだったのでしょうか。「ライオン歯磨小袋入」の販売数は1ヵ月に100万袋ですから慈善券は1,000円となり、1年間では12,000円の寄付金が期待できたのです。

ライオン歯磨
慈善券付袋入(表)
ライオン歯磨
慈善券付袋入(裏)

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