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口腔衛生車「たんぽぽ号」

ライオン歯磨(株)は、1974(昭和49)年に第二世代ともいうべき歯科巡回自動車を導入しますが、その背景は以下のようなものでした。
ライオン歯磨(株)は、口腔衛生活動の面で従来からの学校歯科活動の他に、昭和30年代の半ばから勤労者を対象とした産業歯科活動を開始し、昭和40年代の半ばには母子歯科活動とその活動分野を広げていました。
1970(昭和45)年には、川崎市のショッピングセンター内に「ライオン・ファミリー・コーナー」を開設するなど母子歯科活動の拠点を展開しました。
しかし、団地巡回のためには歯科検診の場所と移動手段とが必要でした。母子歯科活動を「たんぽぽ運動」と名付けて一層の充実化を図っていたのですが、この活動を効率的に実施し、またアピール効果も考えて開発したのが口腔衛生車「たんぽぽ号」です。

この「たんぽぽ号」は、第一世代のヘルス・カーのような診療設備は持たず、こどもたちの歯質を強化するためのフッ素塗布に特化した活動を行いました。フッ素塗布装置を積んだスカイ号とフラワー号の2台に、電力を供給する電源車フルーツ号の3台が1セットとなった口腔衛生車です。
スカイ号とフラワー号は同型式の姉妹車で長さ10.7m。 2車両で16名分のフッ素塗布装置と24名分の歯みがき指導装置(移動式洗口台など)をもっていました。フッ素塗布はライオン歯磨(株)と松下電器産業(株)とで共同開発した断続イオン導入装置を使い、1名あたり4分間で全顎の処置ができました。 フルーツ号は6.7mの小型バス型です。

「たんぽぽ号」左から「フラワー号」
「スカイ号」「フルーツ号」

当時の社内報は「口腔衛生車としては、わが国はもとより、アメリカ、スウェーデン、西ドイツ、フランスなどにも見られないスケール。・・・小学校や幼稚園を個別に巡回するのではなくて、大団地の一角に予防歯科センターが出現したようなものとなる」などと紹介しています。
2台の口腔衛生車に歯科衛生士が5名ずつ乗り込み、1日に母親750名の歯科指導を行い、こども750名のフッ素塗布を処置する能力がありました。
1974(昭和49)年4月2日に完成すると、試走や乗員研修などの準備をすませ、4月9~12日、東京都江東区の大島4丁目団地で総合教育訓練を行いました。さらにその後、東京都町田市の山崎団地と木曽団地での巡回活動をしました。
そして5月30日、ライオン歯磨(株)本社前に当時の厚生省、日本歯科医師会、マスコミ関係者を招いて「たんぽぽ号」の盛大な披露式を挙行しました。園児140名とその母親を対象に「たんぽぽ運動」の実演も併せて行い、ライオン歯磨(株)の口腔衛生活動の熱意を示したのでした。
この年、東京、名古屋、大阪の団地巡回を行い、翌年から全国巡回を開始しました。

新口腔衛生車「たんぽぽ号ドリーム」

「たんぽぽ号ドリーム」の側面・内面

「たんぽぽ号」は1986(昭和61)年まで活躍し続けましたが、同年6月、新口腔衛生車「たんぽぽ号ドリーム」にたすきをつなぎました。
装備はフッ化物塗布装置6台、テレビ、ビデオ、モニター付顕微鏡を備えていました。この「たんぽぽ号ドリーム」は、母子歯科活動「たんぽぽ運動」で活躍していましたが、やがて産業歯科活動で活動するようになりました。なぜなら、当初は何よりも歯科検診の場所を確保するために「たんぽぽ号」や「たんぽぽ号ドリーム」の役割があったのですが、各地の保健センターなどが充実してきて、その存在価値が薄れてきたからです。また交通事情の面からも、大型バスを遠方まで運ぶ効率の悪さが目だってきました。
時代は「たんぽぽ運動」に歯科巡回自動車を必要としなくなったのでした。こうして「たんぽぽ号ドリーム」は1996(平成8)年5月に廃車となりました。

最後に、母子活動がなぜ「たんぽぽ運動」と名付けられたのか、その理由をご紹介しましょう。
「たんぽぽ」は英語でDANDELIONです。この綴りの中にLIONが入っていますね。しかも、日本語の別名は「獅子の葉草」だそうです。社名にぴったりです。そして、綿毛の付いたたんぽぽの種子は風に乗って運ばれます。四方八方に、ある時は思わぬ遠距離まで飛びます。そして、深く根を下ろして美しい花を咲かせます。
ライオンの母子歯科衛生活動もこのようになりたいと、願いを込めて付けられたネーミングなのです。

「たんぽぽ号」は1986(昭和61)年まで活躍し続けましたが、同年6月、新口腔衛生車「たんぽぽ号ドリーム」にたすきをつなぎました。
装備はフッ化物塗布装置6台、テレビ、ビデオ、モニター付顕微鏡を備えていました。この「たんぽぽ号ドリーム」は、母子歯科活動「たんぽぽ運動」で活躍していましたが、やがて産業歯科活動で活動するようになりました。なぜなら、当初は何よりも歯科検診の場所を確保するために「たんぽぽ号」や「たんぽぽ号ドリーム」の役割があったのですが、各地の保健センターなどが充実してきて、その存在価値が薄れてきたからです。また交通事情の面からも、大型バスを遠方まで運ぶ効率の悪さが目だってきました。
時代は「たんぽぽ運動」に歯科巡回自動車を必要としなくなったのでした。こうして「たんぽぽ号ドリーム」は1996(平成8)年5月に廃車となりました。

「たんぽぽ号ドリーム」の側面・内面

最後に、母子活動がなぜ「たんぽぽ運動」と名付けられたのか、その理由をご紹介しましょう。
「たんぽぽ」は英語でDANDELIONです。この綴りの中にLIONが入っていますね。しかも、日本語の別名は「獅子の葉草」だそうです。社名にぴったりです。そして、綿毛の付いたたんぽぽの種子は風に乗って運ばれます。四方八方に、ある時は思わぬ遠距離まで飛びます。そして、深く根を下ろして美しい花を咲かせます。
ライオンの母子歯科衛生活動もこのようになりたいと、願いを込めて付けられたネーミングなのです。

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