閉じる

SPECIAL
FEATURE
007

元卓球日本代表・石川佳純さんをつくる、
良い習慣と気持ちの良い毎日

SCROLL

ライオンでは、「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する(ReDesign)」をパーパス(存在意義)に掲げています。

今回お話をうかがったのは、日本の卓球界を牽引してきた石川佳純さん。7歳から本格的に卓球を始め、多くの国際大会でのメダル獲得など、トップアスリートとして現役時代を駆け抜け、数々の功績を残されました。

2023年5月に「自分自身やり切ったと思えたので」というメッセージを残して、競技生活からの引退を表明。引退後は卓球の魅力や楽しさを全国各地のファンに直接伝えるための『石川佳純47都道府県サンクスツアー』を展開したり、YouTubeチャンネルを立ち上げたりと、精力的に活動されていらっしゃいます。

そんな石川さんに、現役時代のモチベーションを支えるために続けていたことから、引退したからこそ気づいた「習慣」の大切さまで、自然体で語っていただきました。

「私のことを知っているとは思わなかった」一流選手の意外な素顔

石川佳純さん|LION Scope | ライオン株式会社

現役時代のどこかピンと張り詰めたような緊張感とは異なり、やわらかい笑顔で楽しそうにインタビューに答えてくれる石川さん。引退後にテレビやラジオなどさまざまなメディアに出演するようになって驚いたことがあるそうです。

石川:引退後、テレビ番組などに出演したのですが、色々な方にお会いしご挨拶すると、「昔から応援していました」という声をいただくことが多く、自分のことを前から知ってくれていることがとても不思議でした。
というのも選手時代は本当に時間がなくて、コーチやトレーナーといった限られた5人ぐらいで毎日を過ごしており、自宅と練習場の往復の日々でした。
なので、いろいろな人とコミュニケーションをとる機会があまりなかった気がします。
そのため、若いころは世間のみなさんが自分のことをそんなに見てくれている、知ってくれているとは思っていませんでした。

現役時代の後半になって、応援していただいていることを実感できるようになってからは、「応援に応えたい」という気持ちがすごく大きなパワーになり、私が勝つことが一番喜んでもらえることだと思ってやってきました。もともとはおしゃべり好きなのですが、選手時代は応援してくださる方とコミュニケーションをとるのが難しい立場だったので、今はいろいろな方々と交流できるのがとても楽しいです。

その言葉の通り、引退後の石川さんは実際に全国各地のファンを訪ねる『石川佳純47都道府県サンクスツアー』の展開や、YouTubeチャンネルの開設、ラジオパーソナリティーに挑戦するなど、さまざまな形で人との交流を楽しんでいらっしゃいます。

それにしても、「自分のことを知ってくれているとは思わなかった」という発言は意外でした。しかし、石川さんが現役時代に大切にされていた習慣をうかがうと、ご自身の状況に気づく間もなくストイックに卓球に打ち込む姿が見えてきました。

「生活の95%が卓球でした」過酷な現役時代を支えた習慣は?

石川佳純さん|LION Scope | ライオン株式会社

石川:やはり一番大切にしていた習慣は食事と睡眠ですね。それが一番基本になると思います。決まった時間にしっかり栄養を考えながら食べることと、夜はしっかり寝て体力を回復させて、「いい練習」をするということを心がけていました。

食事はエネルギーを摂ることに重点を置いていました。エネルギー切れを起こさないように、たくさん食べるのを意識することが多かったです。

消費したエネルギーを補うために、しっかりとした食事を心がけていたという石川さん。同様に睡眠もトップ選手としてのパフォーマンスを維持するための重要な要素だったと語ります。

石川:練習のときは基本的に疲れているので、疲労回復のために本当に寝られるだけ寝るという感じでした。夜更かししたくても体力がもたないんです。寝ころんでマンガを読んでいたらそのまま寝ちゃって、ポンと顔に落ちてくるみたいな(笑)。

特に中学生、高校生のときは学校と練習の行き来ばかりでしたし、遠征で海外に行くこともあったので時差ボケもありました。帰って来て時差ボケのまま授業に行った日はもう地獄ですね(笑)。とにかく現役時代は卓球に打ち込んでいて、生活の95%が卓球だったので、ひたすら練習していたという思い出しかないです。

食事や睡眠など毎日の習慣を怠ることなく、自分のコンディションに合わせ律し、整える。私たちにとって当たり前の習慣も石川さんは非常に重視しておりその意識の高さに驚かされました。

石川佳純さんが現役時代から使っているという名前入りのイヤフォン|LION Scope | ライオン株式会社
現役時代から使っているという名前入りのイヤフォン。
倖田來未、TWICE、マカロニえんぴつなど、さまざまなジャンルから選んだお気に入りの曲を
試合前に聴いていたそうです。

石川:卓球にはオフシーズンがないんですよね。試合、練習、移動で1年間のほとんどを使うので、オフシーズンでゆっくりできる時間というのがあまりないです。

もちろん週に1、2回休みはあるのですが、心からリラックスできる時間はあまりないかもしれないです。精神的にも体力的にもキツいと思うことはたくさんあったのですが、次から次へと試合が迫ってくるので、つねに次の準備ですね。

「世界一になる」という覚悟が、厳しい練習や習慣づくりの原動力に

卓球のための生活を積み重ねるなかで、石川さんは世界を相手に「一番になりたい」と戦う覚悟を持つようになったそうです。

石川:中学生から卓球留学で大阪に行くことになって、その後、高校卒業してからはプロとして活動させていただきました。自分で選んだ道だから、成功したい、結果を出したいという強い気持ちはありましたし、ここまできたら逆戻りはできないという想いもありました。こんなに厳しい環境に身を置くのなら、絶対に一番になりたいという気持ちがあったのかなと思います。

世界を相手に戦って一番になることを具体的に意識するようになったのも、高校を卒業してからですね。プロとして活動させてもらうなかで、つねにベストの自分で結果を出さなければいけないという、いい意味でのプレッシャーがありました。だから、厳しい練習も、より良い準備につながる習慣づくりも、いい成績を出すためだと思えば、あまり苦ではなかったですね。練習や試合のすべてが自分のためになると思っていました。

石川佳純さんが現役時代に愛用していたラケット|LION Scope | ライオン株式会社
手にしているのは現役時代に愛用していたラケット

そして、その気持ちをさらに強くするきっかけになったのが、先を走る先輩たちの背中でした。

石川:プロになって、世界選手権等で活躍されている先輩の普段の生活習慣や練習の場面を見るようになって、「いままで私がやってきた程度ではまだまだ努力とは呼べない」と思ったんです。私も頑張っているつもりでしたが、先輩方の姿勢を見て、「これを努力というんだ」と大きな衝撃を受けて、自分自身の意識が変わりました。才能ある先輩たちの日頃の姿や習慣を間近で見られたことは、大きな財産になったと思っています。

一方で、その先輩方は、ライバルでもあるので、追いかけているだけでは駄目、追い越さないと自分の順番は来ません。「この人たちに勝たないと、私は世界には行けないんだ」と強烈に意識したのは覚えています。

「英語を勉強したい」現役引退後のいま、思い描く環境と習慣

石川佳純さん|LION Scope | ライオン株式会社

石川さんはストイックに卓球に打ち込んだ選手生活に別れを告げ、2023年5月に現役引退という区切りをつけました。引退会見で話された流暢な中国語も印象的でしたが、引退後に始めたいこととして英会話に興味があるそうです。

石川:中国語を学んだことでとても世界が広がったので、英語が話せたら、またさらに世界が広がるだろうなと思って。中国語の場合は学んだという感覚があまりなくて、勉強も単語帳を少し見たぐらいなんです。環境のなかで楽しく身につけたという感じなので、英語もそういう風に楽しく会話しながら覚えられるような環境や習慣をつくれたらいいなと思っています。

旅行に行ったりして、実際に英語を使うとどんどん覚えられると思うので、ラケットを持たずに海外旅行に行ってみたいですね。大きなバッグを持って1年に何度も海外に行っていたのですが、試合会場と宿泊先の往復だけで……。これからは、海外に行ったらその国の雰囲気や文化に触れて、その流れで英語も自然に覚えられたらいいなという感じです。

習慣というのは私にとってすごく大きくて、大事にしていたこと。

石川さんは現在もランニングやストレッチなどの運動を習慣として続けていらっしゃいます。そこには選手時代を通じて学んだ、毎日を気持ちよく過ごすための秘訣があると教えてくれました。

石川佳純さん|LION Scope | ライオン株式会社

石川:強い自分をつくるためには毎日の積み重ねがあってこそだと思いますし、良い習慣をどれだけ積み重ねられるかが勝負だと思います。習慣というのは私にとってはすごく大きくて、大事にしていたことです。目標があるからこそ、ちょっとつらいことでも続けられますし、なりたい姿があるからこそ、積み重ねていけるのだと思います。

引退しても「習慣を大切にしたい」という気持ちは変わらないですね。やはり、良い習慣は良い生活をつくるし、良い気持ちもつくってくれます。選手のときはつねに勝つことが頭にあったので、「気持ちの良い毎日」ってあまり考えたことがなかったのですが、いまは毎日を良い気持ちで楽しくすごすためには良い習慣が大事だと思っています。それって楽するということではなくて、気持ちよくすごすためには、良い日々を積み重ねる必要があるということなのかなと。だから、いまも運動するんだなって自分でも思っています。

石川佳純さん|LION Scope | ライオン株式会社

その他の特集記事

ライオン公式note
「習慣」の裏側にあるストーリー

Share