ライオンは労働安全衛生管理体制の強化に取り組んでいます。
「安全は、何事にも優先すること」を基本に、厚生労働省の指針に基づく「労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)*」に「防災」を付加した独自の「安全衛生防災マネジメントシステム」を2009年から国内グループ会社を含め運用を開始し、2012年より内部監査を含め実行性向上につなげています。この「安全マネジメントシステム」のもと、有害性を含めた潜在的危険性の低減、作業環境の維持に継続的に取り組み、安全な職場環境の形成と体制づくりに取り組んでいます。
* Occupational Safety and Health Management System の頭文字。PDCAにより継続的な安全衛生管理を自主的に進める仕組み。
当社では、全従業員の安全と健康を確保し、快適で働きやすい職場環境を確立するという当社の取り組み姿勢を明確にするため、「AL 安全衛生防災方針」を制定しています。本方針は国内グループ会社の全従業員に適用され、毎年1月に見直しと更新をしています。
経営トップ(乘竹 取締役)を議長とした「安全衛生防災会議」を年2回実施し、全社における設備安全、労働安全(労働環境、健康障害防止、精神的健康の保持を含む)確保の施策を審議し、リスクの徹底的な排除へ向けた取り組みを継続的に推進しています。さらに、「安全衛生防災会議」議長を監査責任者として、主に安全や防災活動の妥当性、有効性について客観的立場で行う「トップ安全監査」を各工場(事業所)に対し、計画的に実施しています。
各工場(事業所)では、労働安全衛生法に基づき組織された「安全衛生防災委員会」が主体となって、事業所特有の問題を含め、事業所内で働くすべての従業員の意見を反映させ、委員会を有効に活用し、課題解決を図っています。
さらに、海外グループ会社に対しても、国内から労働災害の防止に向けた支援を積極的に行っています。2018年から、経営直下に「安全防災推進室」を設置し、ライオングループの労働安全衛生防災管理体制をさらに強化しました。
生産部門工場(関係会社含む)に対し、「安全衛生防災会議」議長(担当役員)を監査責任者として、主に安全・防災活動の仕組みが適切であるかの妥当性および当社の「安全衛生防災マネジメントシステム」が確実に運用されて、安全防災水準が向上しているかを監査しています。トップ安全監査を通じて事故・災害撲滅の指導・助言により工場の安全性をさらに高め、安全・安心な職場環境づくりに努めています。
当社は首都圏直下型地震をはじめとする各種自然災害への対応を進め、防災体制の強化を図っています。
現在、リモート型就業の活用、夜間・休日の災害発生等、災害対策本部員が一同に参集しての本部立上げは困難であることを前提に、リモート型の災害対策本部機能の確立を目指しています。
2021年の防災訓練では、将来予測される首都圏直下型地震を想定し、リモートによる災害対策本部間での情報共有・指示伝達・連携の訓練、及び被災地区の安否・被災状況確認・支援活動についての訓練を実施しました。
併せて、全従業員の安否確認訓練、徒歩帰宅訓練や普通救命講習会等を実施し防災体制の強化に向けた取り組みも継続して行っています。
今後も広域のエリアを対象とした訓練を実施し防災力を強化していきます。
2021年の労働災害件数は18件(通勤途上災害除く)となりました(内、休業災害3件)。災害要因を分析した結果、災害の型としては、「切創/刺傷」が7件、「転倒、落下」が5件、「衝突」が1件、「挟まれ・巻込れ」が1件、「火傷/擦傷」が1件、「薬傷」が1件、「その他」が2件ありました。その主要因としては、作業の慣れによる油断(近道行為・ルール逸脱 等)であると考えます。労働災害に対しては、本社「安全防災推進室」が現地調査を行い、原因究明と是正対応の徹底を図っています。
また、労働災害防止のためには、安全管理体制および労働安全意識の強化が重要です。当社は、若年層から中間層に対する「危険体感教育」(安全研修)を実施しています。外部研修センターの活用や各事業所で手づくりの各種危険体感機を使用し、熟練者の指導の下、危険に対する感性の強化を図っています。
千葉工場 | 小田原工場 | 大阪工場 | 明石工場 | 合計 |
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106名 | 57名 | 48名 | 25名 | 236名 |
労働災害防止のためには、徹底した安全管理活動と職場のリーダーを中心にして自ら動き出す職場自主活動の実践が必要不可欠です。当社は、中央労働災害防止協会 教育ゼロ災推進部担当講師の指導で「安全道場」を開催しており、2019年度からは、各工場より職場キーマンを選出し「職場安全キーマン養成研修」を、1年間の育成プログラムで行ってきました。2021年度もコロナ禍の影響により、リモート研修となりましたが、各工場の安全キーマンとして15名が研修を修了し、引き続き職場での安全活動の率先垂範を実践しています。
今後も、各工場の工場長・事業所長をはじめとした管理監督者のリーダーシップ開発や、従業員が自ら安全先取りへ動き始めるための取り組み方を体験学習し、各職場が一体となった安全活動を推進していきます。
第1回リモート集合研修
(2021年5月18,19日)
第2回リモート研修
(2021年9月21日)
第3回(最終)リモート研修
(2022年4月8日)
労働災害発生件数*
生産部門の労働災害度数率*
生産部門の労働災害強度率*
研究部門 | 生産部門 | ||||
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平井 | 小田原 | 千葉 | 小田原 | 大阪 | 明石 |
5,122 | 4,320 | 352 | 1,403 | 162 | 2,357 |
2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | |
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従業員(ライオン本体) | 0名 | 0名 | 0名 | 0名 | 0名 |
従業員(国内グループ会社) | 0名 | 0名 | 0名 | 0名 | 0名 |
*派遣社員、パート社員含む
コロナ禍の影響もあり、2021年は国内関連部門による現地訪問ができなかったものの、各国の安全衛生防災活動については、それぞれリモート会議や社内メールを通して状況確認をしています。今後も各社の状況に応じた指導・助言を継続的に行い、グループ全体での安全・衛生・防災体制の強化に努めていきます。
また、コロナ対策としては、各国政府の指針に則り、手洗いや消毒、マスク着用等の衛生面の強化はもちろん、感染症対策を加味したSOP(標準手順書)の策定、在宅勤務や入構者管理の強化等、一連の感染防止対策をしっかり実施しながら、生産活動を行っています。
2021年、当社では設備に関する重大事故は発生していませんが、他社で発生したプラント事故情報を活用し、安全管理の強化や作業員の技術、技能、意識の維持継続につなげています。危険物設備の2大事故である「火災・爆発」「漏洩」について、2016年から継続して着火原因である静電気の基礎教育を行うとともに、漏洩の主原因である腐食現象について定期的に各工場で教育を行い、意識・知識の向上を図りました。また、腐食に関するさらなるレベルアップや工場での設備腐食のトラブル原因を究明するため、外部専門機関との技術交流も開始しました。
さらに、作業員に対して変更管理*に対する意識と知識教育等を階層別に行い、設備安全への管理強化を図っています。
ハード面では、設備の老朽化に対し、重要度に応じた日常点検や保守基準を設定し、実行しています。
今後も、中・長期的な視点で、計画的な人材育成も含めた、設備安全技術力の強化に一層取り組んでいきます。
*設備面および運転条件等の変更にともなうリスクを防止するマネジメント活動
2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 |
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0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
*出火、爆発、漏洩等
オールライオン(AL)での「安全・衛生・防災体制の強化」に向けて、日本および海外グループ会社の安全担当者を一同に集めた安全交流会を実施しています。2021年はコロナ禍の影響により、リモートでの開催となりましたが、海外から28名、国内からは15名の計43名が参加し、新型コロナウイルス感染防止対策や安全防災活動及びそれらの課題について意見交換を行いました。課題解決に向けた議論や情報交換を通じ担当者間の連携強化も図っています。今後も定期開催することで、安全・衛生・防災活動のスパイラルアップを図りつつ、グループ全体での安全・安心な職場環境の構築に取り組んでいきます。