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四谷見附「ライオン児童歯科院」

四谷見附
「ライオン児童歯科院」
1930(昭和5)年平面図

この後、ライオン児童歯科院は赤坂区伝馬町3番地の仮診療所を経て、1927(昭和2)年2月四谷見附外に開院しています。そして、1928(昭和3)年には増築して左写真のようになりました。
当時としてはとてもおしゃれな洋風の建築ですが、元は呉服店の店舗でした。これを買い取り改装して開院したのですが、外観は元のままです。
当初は中央の1階部分と後ろの2階部分(写真では右奥)からなる建物でした。手狭なために、写真で旗の立っている2階建て部分を増築し、総建坪144坪となりました。
増築により1929(昭和4)年には、治療科、充填科、矯正科、X線科の4科をそなえ、職員は岡本院長以下6医員、口腔衛生手(助手)8名と充実しました。患者数も1日平均約150人と増加しています。

さて、建物の内部を見てみましょう。
1階は玄関を入ってすぐ左手に応接室、医局、助手室、食堂などがあり奥には矯正室、X線室、研究室、図書室、暗室などがあります。
中程が待合室になっており、ここに受付がありました。待合室の壁には動物の絵、円天井には飛行機や鳥類の絵が描かれています。絵本、画帖が用意されており、子供たちは好きな画を描くことができました。蓄音機もありました。洗口所も備えられており歯みがきの指導を受けられるようになっていました。
前の階段を昇った2階は小児歯科診療室です。治療椅子は米国から輸入した児童用のダイヤモンド型です。ライオン児童歯科院は、後にこれに改良を加えてペドント型(Pedont、小児歯科の略意)と命名した診療椅子を産み出しています。 後ろはデンタルセンター(歯の清掃と歯科保健相談の専門部所)、保存歯科室、補綴作業室、薬室などです。
中央1階建ての屋上は、真ん中が前の建物と後ろの建物をつなぐ廊下で、両側はベランダと遊び場です。ブランコ、滑り台、ベンチなどがありました。ベランダからはすぐ近くに四谷見附外濠公園を眺めることができました。

ライオン児童歯科院10周年記念絵はがき(1930(昭和5)年)
屋上風景

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