Vision2030 特設コンテンツ


社長 掬川が語る
Lionの未来

SCROLL

代表取締役 社長執行役員

掬川 正純

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00.はじめに

「より良い習慣づくりを通じた人々の暮らしへの貢献」
2030年に向け、これからの10年でライオングループが目指す姿とは

ライオングループ(以下「当社」といいます)では、「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する(ReDesign)」というパーパス(存在意義)を掲げるとともに、これを起点とした中長期経営戦略フレーム「Vision2030」を策定しました。
習慣をつくることにより社会に貢献するという、創業以来続けてきた事業の根幹をもう一度明確化し、これからの10年に向けてより多くの生活者に、より多くの生活シーンでお役に立てるよう事業を拡大する――。本ページではそんな狙いと決意が込められた当社のパーパスと「Vision2030」について、社長の掬川正純が説明します。

01.パーパスドリブン経営の実践

創業以来取り組んできた「習慣づくり」をパーパス(存在意義)として再定義

中長期経営戦略フレーム「Vision2030」

設定のきっかけは、私たちが社会の中でどのような貢献をするために事業を営んでいるのかを明確化して、従業員が同じベクトルを向き、より効率的に目標に向かうことが重要であると考えたからです。パーパスの設定は新しい何かを始めるためのものではなく、当社が続けてきた取り組みを明らかにし、再定義し、改めてスタートを切るためのものです。
創業以来、私たちは人々の健康な毎日への貢献を目指して、商品を提供するとともに、生活者への情報発信や普及啓発活動を推進し、より良い習慣づくりを提案し続けてきました。
たとえば、歯みがき習慣の定着。他のメーカーやステークホルダー、行政、歯科医学会、学校などとともに歯みがき習慣を社会に根付かせる活動を行ってきた結果、今1日に2回以上歯みがきをする人の割合は約80%まで高まり、この50年間で約4倍に広がりました。
一方、小学生のむし歯の罹患率は同じ50年の間に約4分の1に低下。正しい歯みがき習慣の定着は、人々のオーラルヘルスに大きく貢献したのです。
さらに重要なのは、ハミガキのマーケットサイズも50年で約4倍に拡大した事実です。このように生活者の健康に貢献する習慣をつくり、同時にマーケットを活性化することで、しっかりとした事業が構築できるのです。これこそがパーパスの実践だと考えています。

02.2030年に向けた成長戦略「Vision2030」

より質の高い習慣づくりを、より多くの生活者、生活シーンに拡大する

3つの成長戦略の推進

2021年2月、ライオングループは中長期経営戦略フレーム「Vision2030」を発表しました。
当社は創業以来、130年にわたり「愛の精神の実践」を社是として、生活や社会の課題解決を繰り返すことでより良い習慣づくりを行い、人々の未来につながる一日一日に貢献してきましたが、その中で芽生えた問題意識があります。今までと同じ生活者だけに、今までと同じ生活習慣を維持するための商品を提供し続ければ良いのか。より質の高い習慣づくりを通じた貢献を、より多くの生活者に対し、より多くの生活シーンで広げていく必要があるのではないか。「Vision2030」策定の背景には、そんな問題意識があります。
10年前、当社の営業利益率は3%程度でした。これでは生活者に貢献するための投資を十分にできませんでした。まずは利益率の高い筋肉質な会社になることを目指して経営改善に取り組み、直近の営業利益率は10%を超えるまでに高まりました。ただ、売上高成長率は前年比2%程度の水準で、パーパス実践の拡大という観点からは、ここに大きな課題があるといえます。
私たちが貢献する生活者の数を増やす、すなわち売上の成長を実現する。そのために何をすべきかが、「Vision2030」策定の起点です。

真摯な姿勢と信頼を武器に、新しいビジネスモデルを構築したい

「Vision2030」は大きく3つの成長戦略から構成されています。1つ目は、今まで行ってきた「モノをつくってお届けする」ビジネスを超える事業変革(4つの提供価値領域における成長加速)。2つ目は、1つ目の戦略実行に必要なデジタルトランスフォーメーション(DX)に代表される事業インフラの変革(成長に向けた事業基盤への変革)。3つ目は、同じく1つ目の戦略実行に向けて新たなチャレンジを行うための人と組織の変革(変革を実現するダイナミズムの創出)です。
私たちのアイデンティティは日本のメーカーであること。そしてモノづくりに対する真摯な姿勢と、130年間続ける中で獲得したお客様からの信頼が強みです。一方、新しいビジネスモデルを構築するためのノウハウはまだ不十分であり、その獲得が今後の大きな課題と認識しています。

03.既存の組織や部門の枠を超えたアクションの推進

既存の事業の枠組みを見直し、より高い水準で生活者の健康に貢献する

4つの提供価値領域における成長加速

私たちは成長戦略の1つとして「4つの提供価値領域における成長加速」を設定しました。
設定にあたり、当社が考える健康を実現するうえで重要な領域は何かという視点と、これまで培ってきた強みを生かしながら事業の拡張が可能かという視点を合わせ、検討を行いました。
当社が考える健康とは、「個人の心と身体が健康な状態」をベースとして、さらに「家族やコミュニティなど周囲の人たちと健康な関係性を築いている状態」と定義しています。

成長を加速するための4つの提供価値領域とは

1つ目の「オーラルヘルス」は、お口の中の健康は全身の健康に深く関わっていますから、日本を含む多くの国で高齢化が進むにつれ、ますます重要性が増してくる領域です。
2つ目の「インフェクションコントロール」とは、感染予防を指しています。個人や家庭だけでなく社会全体でも高い水準で感染予防ができる状態をつくり、心身両面の健康を維持することは大変重要な私たちの役割です。
3つ目に挙げた「スマートハウスワーク」では、生活スタイルの多様化が進み、画一的な家事提案では生活者が満足できなくなった現状を踏まえ、一人ひとりにフィットした新しい家事習慣を創出し、提案していきます。
最後の「ウェルビーイング」は従来、OTC医薬品やサプリメントの提供で実現を目指してきました。OTC医薬品の場合、生活者との関係は症状が出た際、一時的に服用していただくだけに留まっていました。しかし今後は長期間にわたって一人ひとりの健康状態やライフスタイルを見ながら、個々にフィットした製品やサービス、習慣の提案をしていくことで、高いレベルで生活者の健康に貢献していきます。

4つの提供価値領域は、既存の事業の枠組みとは大きく異なります。古い価値の枠組みの中に閉じこもっていては、新しい事業は生まれません。加えて自社だけでなく、他の企業と一緒に価値を提供していくことも、新たにチャレンジすべき領域であると考えています。

04.デジタル化の推進について

DX専門部署を新たに設置し、2つのデジタル化を推進

全社横断的にデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めるため、私たちは2つの目的の達成を狙いとしています。
1つは、デジタルを活用して事業を効率化していく取り組み。たとえば工場のオートメーション化を進め、ほぼ無人で工場を運営する。あるいはサプライチェーンを完全にデジタル化して在庫を削減し、店頭で品切れが発生しない状態を構築することです。
もう1つはデジタル技術を用いて、事業そのものをトランスフォームしていく取り組み。
私たちが持つ従業員の歯科検診や健康診断の膨大なデータを解析してみると、オーラルケアの習慣と口腔状態の関連が明らかになっています。これを応用し潜在的にリスクを持っている方をAIで予測し、事前にお知らせして、予防するための習慣を始めることも可能になるでしょう。
こうした分野において、もっとデジタルの力を活用しなければなりません。また、データのプラットフォーム拡大により、より予測の精度や提案する習慣の効果を高められるので、プラットフォーム型のビジネス構築にもチャレンジしていきたいと思います。
実現にはまだ超えなければならないハードルがたくさんありますが、こうした挑戦が私たちの提案する習慣の質を高めることにつながっていくと考えています。

05.コーポレートブランディングと多様性のある社会における人材育成

社内外でパーパスの認知と共感を高め、従業員の働きがいや自律性を向上

変革を実現するダイナミズムを創出するために、当社ではコーポレートブランディングと働きがい改革、ダイバーシティ&オープンイノベーションに注力することを「Vision2030」に明記しました。これらは別々のテーマに見えるかもしれませんが、実は密接にリンクしています。
コーポレートブランディングはパーパスに基づいた事業の推進を社外の方に認知していただき共感を獲得する活動であるとともに、社内に対しても同様の目的を持っています。
従業員一人ひとりが、事業を行っている究極の目的はパーパスの実践にあると理解し、それに共感する状態を高めると、従業員の働きがいは向上していきます。
また、働きがいを高めるには、自分がより自律した個人へ成長しているという実感が必要で、そのためには社内はもちろん、社外のさまざまな人たちと積極的に関わり、ヘルシーな刺激を受けることが重要です。

多様な人々からの刺激を受け、一人ひとりが成長していく

当社ではダイバーシティ&オープンイノベーションを積極的に推進していきます。今まで以上に多様な人たちと関わって、自分たちに足りないものは何か、あるいは自分たちの強みは何かを認識し、一人ひとりが成長につなげていくことを期待しています。
従業員が他社で副業する、あるいは外部から副業で働く人材を受け入れる副業制度の導入はその一環です。2020年に新しいビジネスモデルの構築に向けた専門人材を外部からの副業で8名募集したところ、なんと1,600名以上もの応募がありました。
そして2021年2月には新規事業として、近所の飲食店から夕飯のおかずをテイクアウトできるサービス「ご近所シェフトモ」をローンチしました。短期間で新規事業を立ち上げられたのは、社外から副業で参加していただいた方々の力が非常に大きかったと思います。
一方、当社の従業員が他社で働く形の副業も、ずっと同じ会社にいるだけでは得られない経験をして、社内に10年いても得られないような知見を短期間で獲得する効果があると期待しています。

06.国際事業について

アジア諸国の生活者への貢献を拡大し、2030年に海外事業売上高比率を50%水準へ

出典| ユーロモニターインターナショナルデータを基に当社作成
2019年Beauty and Personal Care, Home Care, Consumer Healthカテゴリー合算(当社主要市場)アジア・パシフィック地域

2030年の目指す業績イメージ

  • 事業規模:売上高6,000億円水準(アジアトップ10入り)
  • 海外売上構成比:50%水準
  • 事業利益:500億円水準
  • ROIC:8~12%
  • ROE:10~14%
  • EBITDAマージン:10~14%

EBITDA:事業利益+減価償却費

パーパスの実践には、日本だけではなく世界の生活者に向けて事業を拡大する必要があります。事業拡大のターゲットは、アジア諸国が中心になります。私たちの強みは日本メーカーとしてモノづくりに対する信頼を得ている点にあり、アジア諸国の生活者は日本メーカーに対する強い信頼感を持っている方が非常に多いからです。
2030年に目指す業績イメージとして連結売上高6,000億円水準を掲げていますが、その50%水準は海外事業で達成することを想定しています。その実現のために、「Vision2030」で示した3つの成長戦略は海外でも展開していきます。
アジアでは、当社が事業をスタートできていない国々に進出し、地理的な領域の拡大を図っていく必要があります。
すでに進出を果たしている国においても、幅広い事業領域で生活者に貢献できているわけではありません。ある国ではオーラルケア商品が中心、ある国では洗濯用洗剤が中心であるのが現状です。これらの国々においては事業領域の拡大に取り組んでいきます。
同時に、日本で始めている事業のトランスフォーメーションの成果を海外でも展開し、さらに幅広い領域でお客様に貢献していく。ここまで拡大を行うことで初めて、「海外事業で売上高50%水準」の目標が達成されると考えています。 

07.サステナビリティへの取り組みについて

サステナブルな地球環境を実現する環境に優しい習慣を提案

「Vision2030」では経営戦略として「3つの成長戦略の推進」とともに、「サステナビリティ重要課題への取り組み強化」を掲げました。その中で当社が最も社会に貢献していかなければならないテーマとして、「健康な生活習慣づくり」と「サステナブルな地球環境への取り組み推進」を最重要課題として絞り込んでいます。
サステナブルな地球環境を実現するには、人々の習慣をより環境に優しいものへとシフトする必要があります。これはまさにパーパスの実践につながるテーマで、個人のフィジカルやメンタルの健康だけに留まらず、地球環境維持に向けた習慣づくりは今後、非常に重要なテーマになります。
たとえば今、日本で液体製品の約9割はパウチといわれる薄いプラスチックフィルムの詰替え容器になっていますが、ヨーロッパやアメリカではまだ10%程度に留まっています。パウチを使う習慣が定着すると、プラスチック使用量の削減に大きな効果をもたらします。これを「パウチ文化」と私は呼んでいます。
パウチ文化は一例ですが、日々の積み重ねで大きな効果が得られる習慣の実践例をたくさんつくり、日本からアジアの国々に広めて地球環境の維持に貢献していきたいと思います。
さらには、パウチもプラスチックを使っていますから、こうしたものを回収する仕組みと再利用する技術を開発し、よりレベルの高いリサイクルを実現していかねばなりません。これは当社が単独で実現できる取り組みではありませんから、業界内、あるいは業界を超えた連携の拡大を進めていきます。

08.最後に

皆様のご意見に真摯に向き合い、次の10年に向けて事業を拡大したい

当社のパーパス「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する(ReDesign)」をもう一度明確化して、次の10年に向けてより多くの生活者の皆様により多くのシーンでお会いできるように、またお役に立てるように、事業を拡張していきたいと思っています。
その中で生活者の皆様が何を必要としているのか、考えがどんな方向にシフトしていっているのかに真摯に向き合ってまいります。

本記事で使用されている写真は、研究開発本部 平井研究所にて撮影しております。