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健康な生活習慣づくり オーラルケア習慣の定着化に向けた取り組み

サステナビリティ重要課題2 健康な生活習慣づくり

最重要課題

目標
すべての人が必要な時に、いつでも、オーラルケアを行える機会を提供し、誰もが健康でいられるよう、オーラルケアの習慣化を目指します。

指標(2030年) 健康な生活習慣づくりに貢献する製品・サービス、及び情報を提供した人数 ⇒5億人
指標の進捗
(2022年実績)

オーラルケア 3.0億人

〈予防歯科習慣の啓発〉

国内:

  • 職域、高齢者のオーラルケア習慣支援サービス開始
    (『おくちプラスユー』『ORAL FIT』)

海外:

  • 幼稚園・小学校での歯みがき普及啓発活動実施
  • MET(I 経済産業省)主催オーラルヘルスケア向上支援への参画
  • 妊娠期のオーラルケア普及啓発活動実施

〈予防歯科習慣の実践〉

国内:

  • 歯みがき頻度拡大の促進
    昼歯みがき実施率35%(2030年目標50%)
  • ハミガキ、ハブラシ以外の製品の使用拡大の促進
    歯間清掃用具使用率31%(2030年目標50%)

実態調査より算出

2030年までの
グローバル共通施策
  • オーラルケアのより良い習慣づくりに向けた製品・サービスを拡大します。
  • 「予防歯科」「オーラルケア習慣」の定着に向けた普及啓発活動を強化します。
  • オーラルケアを通じて、人や社会の課題に取り組む活動を推進します。(インクルーシブ・オーラルケア)

目標
日常生活のあらゆるシーンの中で、菌・ウイルスの体内侵入を防ぎ、誰もが健康でいられるよう、清潔・衛生行動の習慣化を目指します。

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考え方

ライオングループは、これまでむし歯や歯周病の予防といった「お口の状態の維持改善」を目的とした「歯みがき習慣」の定着を推進してきました。今後は「心と身体の健康づくり」をテーマとし自宅でできるセルフケアと、歯科医や歯科専門家等でのプロフェッショナルケアによる「予防歯科習慣」への進化を図ります。
また、楽しみながら「予防歯科習慣」を実践できるようにIoTやAI等のテクノロジーを活用する等、アプローチを進化させて人々の毎日に貢献します。さらに、自治体との連携や、これまで当社グループが接点をあまり持たなかった人たちにも「予防歯科習慣」を広げます。すべての人が必要な時に、いつでも、オーラルケアを行える機会を提供し、誰もが健康でいられるよう、オーラルケアの習慣化を目指します。

むし歯等になってから治療するのではなく、なる前の「予防」を大切にする考え方です

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予防歯科(セルフケア)

セルフケア(自分で「予防歯科」)

自分ではきちんと歯みがきをしているつもりでも、みがき残しができてしまうものです。お口の健康を管理・維持するためには、「予防歯科」のポイントに合わせたセルフケアを毎日の習慣にすることが大切です。
ライオングループでは、お口の中に歯垢を残さないように歯みがきをすることや、自分のお口の状態を把握して「予防歯科」の意識を高める新習慣等の普及に向けて、様々な取り組みを実施しています。

歯みがきのうた・動画・ポスター

小学生を中心とした子どもたちが、楽しくみがき忘れのない正しい歯みがき習慣を身につけられるように、歯みがきの順番を歌詞に入れた、うたの動画(みがきかたや順番を身につけるまでご覧いただく「みがきかた編」、みがきかたが身についたらご覧いただく「アニメーション編」)、歯みがき順番ポスターを制作しました。

歯みがきのうた「イ~ハ~」 作詞・作曲・うた:吉田山田

動画(みがきかた編)

歯科衛生士が歌に合わせて、みがく順番やポイントをレクチャーします。

  • みがきかたや順番を身につけるまで使用を推奨
動画(アニメーション編)

楽しく見ながら歯みがきすることで習慣化につなげるアニメーションです。

  • みがきかたが身についたら使用を推奨

え:山田義孝(吉田山田)

歯みがき順番ポスター

歌詞に合った歯みがきの順番やポイントを確認できます。

キャラクターデザイン:山田義孝(吉田山田)

ダウンロード A1版 A3版

昼歯みがき促進

1日3回の歯みがき習慣の定着を目指し、昼歯みがきの普及活動に取り組んでいます。
昨今、女性の社会進出が進むとともに、就業者数は年々増加し、国民(15歳以上)の約6割は就業をしています(平成30年度労働力調査 総務省統計局)。生活者の多くが職場で日中を過ごす中、オフィス等の職場で「昼食後に歯をみがいている」人は40%で、「昼も歯みがきをしたいが、できていない」人は22%いました(当社調べ)。
そこで、当社はオフィスでの歯みがきを考慮して設計したコップ付きオーラルケアセット『MIGACOT』を発売しました。一人でも多くの人が、昼歯みがきが当たり前となるよう、商品の提供とともに普及活動に取り組んでいきます。

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デンタルフロス使用促進

「あなたの予防歯科を一歩前へ」をテーマに、「予防歯科」の必要性や効果を伝えていく取り組みを行っています。セルフケアのポイントの一つに、「歯垢を残さず落とすこと」があります。歯と歯の間の歯垢は、ハブラシのみでは約6割しか落とせません(図)。しかし、ハブラシとデンタルフロスを併用することで、歯垢除去率が1.5倍に向上します。
当社は、小学生以上のお子様や初心者の方でも使いやすい商品を提供するとともに、デンタルフロスを使用する必要性をお伝えし、正しい使い方等の普及活動も行っています。

小学生に対しては、毎年開催している「全国小学生歯みがき大会」にて、歯並びに合わせた歯のみがき方やデンタルフロスの使い方を、楽しく学べる機会を提供しています。
今後も生活習慣の改善により、健康は自分自身の行動と関連しているという意識を育て、望ましい習慣を継続することの大切さの理解浸透を図っていきます。

定期的なハブラシ交換とリサイクルの促進

「お口にいい!」と「環境にもいい!」の実現でSDGsにも貢献

当社は創業以来、生活者のオーラルケア習慣の普及定着活動に取り組んできました。近年では、海洋プラスチック問題等への対応が大きな社会課題となっており、オーラルケアのリーディングカンパニーとして、リサイクルはメーカーである当社の課題でもあります。当社事業の中で製品プラスチックの使用量が一番多いハブラシを通じて、生活者の健康な習慣づくりと同時に、環境負荷低減にもつながる仕組みに取り組んでいます。

人と地球の健やかな未来に向けて

歯ブラシ交換デーの制定

ハブラシは使い続けると毛先が開き、刷掃力が低下します。当社調べによると、ハブラシを毎月1回交換する生活者は約4割しかいません。交換しない理由として、「まだ使える」「もったいない」や「刷掃力が低下することを知らない」等が挙げられます。

個人差はありますが、交換は月1回を目安とすることをおすすめしています。

歯ブラシの毛の開き具合・歯ブラシ交換促進ポスター

2018年2月より毎月8日を「歯ブラシ交換デー」とし、月1回の定期的なハブラシの交換を呼びかける活動を行なっています。
生活者に適切な交換時期を知っていただくため、お取引先様と連携し、店頭で毎月8日の「歯ブラシ交換デー」のPOP広告を掲示したり、歯科医院に定期的なハブラシの交換を推奨するポスターを掲示する等、月1回のハブラシ交換を推奨しています。
今後も、当社は月1回のハブラシ交換が習慣となるよう、お取引先様や歯科医院等とともに、活動を継続していきます。

店頭イメージ

2017年12月27日、一般社団法人日本記念日協会の認定を受け、新たな記念日として制定されています。

ハブラシリサイクルの推進

ハブラシ交換の普及により、ハブラシの交換頻度が増えることは、廃棄物の増加につながることが懸念されます。
そこで当社は近年の海洋プラスチック問題にも配慮し、今までごみにしかならなかった使用済みハブラシをテラサイクルジャパン合同会社と共同で、回収してリサイクルする「ハブラシ・リサイクルプログラム」をアジアで初めて開始しました。ハブラシリサイクルにご協力いただける生活者一人ひとりも大事なパートナーという考えのもと、「資源循環型社会」を目指して歩みを進めています。

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新渡戸文化小学校のハブラシリサイクル活動の様子
回収拠点数と回収数

IoTやAI等を活用した、様々な商品やサービスの開発

お口のフィットネスサービス『ORAL FIT(オーラルフィット)』

「むせる」「話しづらい」「噛みづらい」等のお口周りの筋力の低下が原因の一つとして考えられる衰えに対し、口腔健康の維持・増進を目指した「お口のフィットネス」という新習慣を提案するサービス『ORAL FIT(オーラルフィット)』を2022年11月より提供しています。1日10分、2ヵ月間トレーニングで、気になる口腔機能の衰えの予防・改善を目指すプログラムです。

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子どもの成長見守りサービス『おくち育』

子どもの成長段階に合わせ、適切な歯みがき習慣づくりや、良い歯ならびの土台づくりを支援するオーラルケアプログラム『おくち育』を2023年4月より専用ECサイトにて提供開始しました。その第一弾となるのが、「歯ならびの土台づくり」が重要な生え変わり期の子どもを対象とした『おくち育 噛もっと!』です。『噛もっと!グミ』を毎日食べて噛む力を育み、月1回『噛もっと!ガム』で噛む力をチェックし、『おくち育会員サイト』で『歯ならびチェック』ができるAIアプリの3点がセットになっています。

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歯ぐきチェックツール『HAGUKI CHECKER(ハグキチェッカー)』

「予防歯科」の意識向上を目指し、2019年より、歯ぐきチェックツール『HAGUKI CHECKER*1』のサービスを開始しました。当サービスは、スマートフォンで歯と歯ぐきを含む口の中を撮影するだけで、AIが歯を1本ずつ識別し、歯1本ごとの歯ぐきの状態(下がり、くすみ、ハリ)を確認できるチェックツールです。サービスを開始後、のべ約16,000人*2の方々に利用して頂いています。
2022年2月には、熊本県合志市と包括的連携協定を締結しました。市民の皆様へご自身のお口の健康状態について考えるきっかけとなるよう『HAGUKI CHECKER』や健康診断データをAIで機械学習をすること等により、ご自宅や外出先から簡易アンケートに回答いただくことでお口の健康度を見える化する技術を活用していく予定です。 口腔環境の可視化により、生活者が自分の歯ぐきの状態に関心を持つきっかけとなり、繰り返し使うことで歯ぐきの変化に早く気づく等、生活者のオーラルケア習慣に変化の兆しが見えています。

*1 当社が保有するデータや知見をもとに、Automagi(株)が保有するAIの画像解析技術と(株)エムティーアイのサービス開発技術を活用して開発しました。

*2 対象期間:2019年7月22日~2019年12月26日

〜チェックの内容〜

歯1本ごとの歯ぐきの状態について、次の3項目につき3段階での解析結果が表示されます。

  • 歯ぐき下がり
  • 歯ぐきのくすみ
  • 歯ぐきのハリ

さらに、歯ぐきの状態の結果と合わせて、オーラルケアに関する知識や方法、おすすめのオーラルケア製品を紹介します。

HAGUKI CHECKER
HAGUKI CHECKER

ライフステージ別オーラルケア普及啓発活動

毎日のオーラルケアは、生涯の健康にもつながる大切な習慣であり、小さいころから身につけることが重要です。当社は、あらゆるライフステージにおいて、セルフケアを実践していくことが重要と考えています。生活者のライフステージに沿った普及定着のために、当社のみならず、行政・学校・病院・歯科医院等の社外団体との連携を通じて、活動を推進しています。また、当社はライオン歯科衛生研究所(LDH)のオーラルケア普及活動を支援しています。

LDH = The Lion Foundation for Dental Health
当社は、1964年に財団法人として設立、2010年に公益財団法人への移行認定を受けた(公財)ライオン歯科衛生研究所(LDH)のオーラルケア普及活動を、全面的に支援しています。LDHは、日本歯科医師会、大学、行政等と連携しながら3つの公益事業を通じ、生活者の歯とお口の健康を保持増進し、すべての人々の生活の質の向上に結びつけられるようオーラルケアの最前線で社会に貢献しています。

マタニティ

ライオンが運営する歯科医療情報サイト「オーラルコム」で、トラブルの多い妊娠期のプレママと赤ちゃんのお口の悩みにお答えしています。

乳幼児

0才からの「予防歯科」の推進

当社は、「予防歯科」の習慣をできるだけ小さいころから身につけることを目指しています。
そのために、商品開発においては、0才からの「予防歯科」を実現する『クリニカKid’s』シリーズを充実させています。1才半健診には『クリニカKid's ジェルハミガキ』のサンプリングを行っています。
情報発信においては、親子の歯みがきの時間は「親子の絆を深める大切な時間」という考え方を広く浸透させるため、子どもの「予防歯科」を応援するWebサイト「HA!HA!HA!パーク」を通じて、共感の広がりを目的とした動画等の情報を発信しています。
サービスの提供においては、公益社団法人日本歯科医師会と公益社団法人日本産科婦人科学会とが連携を推進するための取り組みとして、同学会が提供する妊産婦向けアプリ「Babyプラス」に、日本歯科医師会監修のもと、妊産婦向けの「予防歯科ガイド」という位置づけで予防歯科に関するコンテンツ情報の作成に協力しています。

小学生

国内外累計約246万名以上の子どもたちを対象に「全国小学生歯みがき大会」を開催

1932年から続いている「全国小学生歯みがき大会」は、小学生を対象に毎年「歯と口の健康週間」の時期(6月4日〜10日)に合わせて開催しています。
2022年に行わた第79回大会は、参加校が実施日を設定し、約40分間のDVD教材を視聴して参加する方式で実施されました。日本をはじめアジア各地の参加を合わせ、総数4,585校、約25万名の小学生が参加しました。第79回大会では「歯と自分をみがこう。」をテーマに、明海大学の安井利一先生監修のもと、「歯ぐき」を題材として、お口の状態に合わせたみがき方、デンタルフロスの使い方を学び、「予防歯科」の理解と浸透を図るとともに、生活習慣の中心にあるオーラルケアを通じて「継続する力」の大切さを学びました。

参加人数累計:約246万名

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日本をはじめアジア各地の子どもたちも参加
キッザニアでの職場体験

当社は、2006年に「キッザニア東京」、2009年に「キッザニア甲子園」、2022年に「キッザニア福岡」に、それぞれ「歯科医院」をテーマにしたパビリオンを出展しています。子どもたちの職業体験の場として、歯科医師や歯科衛生士の仕事の体験ができ、どちらも子どもたちに人気があります。
当パビリオンでは歯の大切さや、お口の健康を自分でケアすることを学び「歯科医師」「歯科衛生士」として口腔衛生等の研修を受けた後、診療台の上の患者(歯科大学での実習用フィギュア)に実際に現場で使用しているものとほぼ同じポリッシャーやバキューム等を使い、むし歯治療とフッ素塗布をして、キッザニア専用通貨の報酬を得ることができます。
仕事を体験した子どもたちからは「治療をするのはすごく大変だと思った。」「きちんと磨ける歯みがきの方法について学べた。」「歯垢を落として歯を守れたのが嬉しかった。」等の声も聞かれ、むし歯予防の大切さがしっかりと伝わっているようです。

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キッザニア東京の
「歯科医院」パビリオン
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患者にむし歯治療をする様子
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キッザニア甲子園の
「歯科医院」パビリオン
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研修を受ける子どもたち
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キッザニア福岡の
「歯科医院」パビリオン
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器具の持ち方・使い方を練習する様子

オーラルヘルスケアリーダー養成

当社は、生活者へ自分でできる「予防歯科」行動を浸透させたいと考えています。そこで、地域行政の方が主体となり「オーラルヘルスケアリーダー」として、地域住民の皆様に全身健康につながる歯みがきに関する知識や実技についてお伝えしていただけるよう「オーラルヘルスケアリーダー養成」講習会を行っています。現在は、協定を結んでいる石巻市と坂出市にて活動をしています。

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オーラルヘルスケアリーダー講習会の様子
(2022年10月:坂出市役所会議室にて)

法人向けウェルビーイングサポートサービス

企業の従業員様や自治体職員様に向け、「オーラルケアセミナー」や5分でお口の状態がわかる「唾液検査」等を提供しております。お口から始める健康習慣づくりのお手伝いを行い、オーラルヘルスケアの浸透に努めています。

予防歯科(プロケア)

プロケア(歯科専門家による予防歯科)

歯並び等、お口の状態は一人ひとり異なります。歯の治療だけでなく、むし歯や歯周病等になる前の予防のために、歯科専門家である歯科医師や歯科衛生士に自分に合った歯みがき指導やフッ素塗布等、プロによる専門的なケアをしてもらうことが必要です。また、歯や歯ぐきの健康、お口の状態等、定期的なチェックのために、歯科医院等での健診を年に2〜3回受けることが望ましく、ライオンでは定期的なプロフェッショナルケアの受診を習慣化することを推進しています。

お口の健康状態の見える化(SMT)

多項目・短時間唾液検査システム「SMT(Salivary Multi Test)」は、3mLの蒸留水で洗口することで唾液を採取し、歯や歯ぐきの健康に関係する6つの項目(むし歯菌、酸性度、緩衝能、白血球、タンパク質、アンモニア)を5分間で測定することができる装置です。そのため、歯科健診等を行う際、歯科医師や歯科衛生士はその場で患者に結果をフィードバックできます。また患者は自分のお口の健康状態を理解することで、「予防歯科」に取り組むきっかけとなります。
「予防歯科」を推進する当社では、社内での歯科健診に取り入れ、従業員のオーラルケア習慣の定着に活用しています。なお、新型コロナウイルスの影響を受け、SMTの実施は現在見合わせています。

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軽く洗口し唾液を採取
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試験紙と専用機器で測定
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測定結果を共有

歯科医院の「予防歯科」実践サポート(Lサポ)

ライオン歯科材(株)にて、歯科医院向けの「予防歯科」実践をサポートする「Lサポ」を運営しています。
「Lサポ」とは、歯科医院の皆様が「予防歯科」に注力できるよう、日々の診療に役立つ情報やサービスを提供する医院登録制プログラムです。歯科医療従事者を対象としたセミナーや動画コンテンツ、専用サイトを設け、歯科医院向けオーラルケア商品をはじめ「予防歯科」に関する知識を幅広く学習していただけます。

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「予防歯科」セミナーの様子
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動画コンテンツ視聴の様子

インクルーシブ・オーラルケア

オーラルケア習慣を誰もが身に付けられるよう、オーラルケア機会の接点拡大により人や社会の課題に取り組む活動「インクルーシブ・オーラルケア」を推進しています。日本では子どもの相対的貧困(貧困率:13.5%*1)が社会問題化しており、生活困難世帯で育った子どもたちは、そうでない子どもたちと比べ、特に5本以上のむし歯の割合が約2倍も高い現状があります*2。また、健康習慣をはじめ、あらゆる体験*3が不足しています。
そこで、当社は2021年から「歯とお口の健康」をテーマにした体験プログラムを独自開発し、「こども食堂」を中心に「予防歯科習慣の普及」と「自己肯定感の向上」に貢献する「おくちからだプロジェクト」をNPO法人や自治体と連携して取り組んでいます。また、従業員がボランティアで参加できる機会をつくり、自ら社会課題に直接触れ、当社が目指す方向性とパーパスの実践に寄与することの重要性への理解促進につなげています。
2022年には、子どもの貧困率及び子どものむし歯比率が最も高い沖縄県において、産官学連携で体験プログラムの実施前後の効果について検証を行いました。その結果、体験を通じて、オーラルケアの習慣化や自己肯定感の向上が促される兆しを見出すことができました。
今後も、検証の知見を活かして、より効果的な体験プログラムを提供していきます。

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「歯とお口の健康」に関する
プログラム
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体験プログラム参加前後の歯垢の付着状態の変化
*染め出し部は歯垢の付着部分

*1 出所:文部科学省「令和2年度学校保健統計調査」

*2 国立研究開発法人国立成育医療研究センター研究所 社会医学研究部、足立区・足立区教育委員会(2016年度)

*3 他者から褒められる体験、大人とのコミュニケーション、ライフスキルの獲得体験

研究・学術(「予防歯科」研究)

産学連携

少子高齢化・人口減少・資源の枯渇等、膨大化する社会課題やAI・IoTに象徴されるテクノロジーの劇的な進化等により、社会そして人々のくらしは日々大きく変化しています。ライオンは、これらの変化に対応し、人々のヘルスケアを支える企業になるため、「モノ」の提供のみに留まらず、お客様に新しい「価値」を提供していくことに重きを置いています。その実現のためには、行政・企業等の外部組織とのパートナーシップを強化し「オープンイノベーション」に取り組むことが鍵となります。

オーラルヘルス領域では、青森県黒石市及び国立大学法人弘前大学と、小学校を対象とした歯並びの実態を調査し、生活習慣との関係性を確認しています。また、株式会社日立製作所日立健康センターとは、1万人規模で職域における歯科健診の有用性を確認し、従業員の健康に繋がる有用なデータを取得しています。このような新たな情報を獲得し発信するとともに製品・サービス開発へ活用することで、より良い習慣づくりに向けた価値導出に繋げています。

ライオン学術賞

「予防歯科」の学会活動や若手研究者の育成を支援する目的で「ライオン学術賞」を2001年に創設しました。
本賞は、世界最大の歯科学会である「国際歯科研究学会(IADR)」と国内の「日本小児歯科学会」「日本口腔衛生学会」「日本老年歯科医学会」「歯科基礎医学会」「日本歯周病学会」5歯科学会に学術賞として設置され、創造的な研究を行った研究者に対して盾と賞金を進呈しています。
2001年の創設から21年間で219名の研究者が受賞しています。

ライオン学術賞授賞式

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国際歯科研究学会(IADR)の受賞者
2022年度の実績
学会名 授賞式開催都市 学会開催日 受賞者(所属)
国際歯科研究学会(IADR) オンライン 6月20日
-6月25日
Yue Chen
(Nanjing Medical University, Jiangsu, China)

Tan Minh Nguyen
(Deakin University, Victoria, Australia)
日本小児歯科学会 千葉市
(幕張メッセ)
5月19日
-5月20日
中村 由紀
(新潟大学大学院医歯学総合研究科 小児歯科学分野 准教授)
日本口腔衛生学会 オンライン 5月13日
-5月27日
古田 美智子
(九州大学大学院歯学研究院歯学部門口腔保健推進学 准教授)

濵嵜 朋子
(九州女子大学家政学部栄養学科 教授)
日本老年歯科医学会 新潟市
(新潟市民芸術文化会館りゅーとぴあ)
6月10日
-6月12日
濱芳 央子
(原土井病院)

野本 亜希子
(浜松市リハビリテーション病院歯科)
歯科基礎医学会 徳島市
(徳島大学蔵本キャンパス)
9月17日
-9月19日
加藤 隆史
(大阪大学大学院歯学研究科口腔生理学教室 教授)
日本歯周病学会 仙台市
(仙台国際センター)
9月2日
-9月3日
竹立 匡秀
(大阪大学歯学部附属病院 講師)

水谷 幸嗣
(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科歯周病学分野 助教)

オーラルケアに関する情報

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