ライフサイクルにおけるCO2排出量削減
商品使用後のCO2排出量
ライオンは、事業所におけるCO2削減だけでなく、商品使用後に排出される CO2削減にも着目し、製品開発を進めています。 具体的には、節水や節電につながる商品の開発や、容器の小型化や包装の軽量化、石油原料からCO2の増加につながらない植物原料への切り替え等を進めています。
2019年の商品使用後に排出されるCO2量は、売上高原単位は前年と同等でした。 今後もさらなるCO2削減に努めます。
商品使用後におけるCO2排出量の推移
サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量
当社は「低炭素社会の実現」に向けて、サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量を把握することの重要性を認識し、2013年より「GHGプロトコル・スコープ3基準」に基づきサプライチェーン全体の温室効果ガス排出量を算出しています。
今後、温室効果ガス排出量が大きい「製品使用段階」の排出量削減に寄与する製品の普及およびさらなる開発を推進し、温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいきます。
サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量
国内事業所のスコープ1、2別の温室効果ガス排出量(トン)
年 | スコープ1 | スコープ2 | 合計 |
---|---|---|---|
2016 | 23,444 | 57,929 | 81,373 |
2017 | 21,661 | 54,992 | 76,653 |
2018 | 21,502* | 52,971 | 74,473* |
2019 | 20,567 | 49,879 | 70,446 |
* 過去のデータに誤りがあり、数値を修正しました。
スコープ1:事業所からの直接排出
スコープ2:購入したエネルギーの生産(発電等)にともなう間接排出
海外事業所のスコープ1、2別の温室効果ガス排出量(トン)
年 | スコープ1 | スコープ2 | 合計 |
---|---|---|---|
2016 | 37,427 | 54,917 | 92,344 |
2017 | 35,117 | 59,003 | 94,120 |
2018 | 30,471 | 44,625 | 75,096 |
2019 | 29,253 | 44,205 | 73,458 |
スコープ1:事業所からの直接排出
スコープ2:購入したエネルギーの生産(発電等)にともなう間接排出
CDP「サプライヤー・エンゲージメント評価」で最高評価の「リーダー・ボード」を獲得
当社は、環境情報開示システムを提供する国際的な非営利団体であるCDPから、サプライヤー・エンゲージメント評価において最高評価である「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー・ボード」に初めて選出されました。
「サプライヤー・エンゲージメント評価」は、気候変動における「ガバナンス、意欲、スコープ3管理、サプライヤーとの協働」という4つの分野の質問項目への回答に基づき評価されます。この評価は、世界4,800社以上の企業を対象に実施され、温室効果ガス排出量を削減し、サプライチェーンの気候リスクを管理するための行動と戦略が認められた企業が「リーダー・ボード」に選出されます。2019年は、当社を含む約160社が「リーダー・ボード」に選出されました。
物流部門における取り組み
当社は、輸送用トラックの大型化、積載率向上等の物流効率化、工場直送の拡大を通じた輸配送距離の短縮、トラック輸送から鉄道や船舶輸送に変更するモーダルシフトを通して、CO2排出量・エネルギー消費原単位の削減に取り組んでいます。
台風19号等の災害時における鉄道輸送の減少や大型トレーラーの利用増加等により、当社の2019年のモーダルシフト化率は、社内輸送の15%(2018年:19%)、距離500km以上の長距離輸送においては46%(2018年:58%)とそれぞれ低下しました。
モーダルシフトの低下等により物流におけるCO2排出量は20,884トンで前年比11.2%増加しました。エネルギー消費原単位では前年比2.4%増加、5年平均で5.3%増加となり、目標である「年平均1%以上削減」は達成できませんでした。今後、年平均1%以上削減を目標に取り組みを推進します。
エコレールマークの認定
「エコレールマーク制度」は、製品輸送時に貨物鉄道を一定以上の割合で利用している企業または製品が認定を受けられる、国土交通省により設けられた仕組みです。お客様にとって見えにくい流通過程において、企業や製品が地球に優しい交通手段を使用したことを識別しやすくするために「エコレールマーク」が付けられます。当社は2019年にエコレールマークの認定を更新し、公益社団法人鉄道貨物協会が発行するエコレールマークパンフレットや鉄道車内広告に商品名が記載されています。
また、下記の7製品が製品認定基準である貨物鉄道輸送率30%を上回り認定されています。
- おふろのルック
- キレイキレイ 薬用泡ハンドソープ
- キレイキレイ 薬用液体ハンドソープ
- デンタークリアMAX
- ビトイーンライオン
- ソフラン プレミアム消臭
- トップ スーパーNANOX
異業種3社往復共同幹線輸送
2018年より異業種3社との船舶(フェリー)利用によるモーダルシフトの共同幹線輸送を開始し、大幅なCO2削減*に成功しました。同時に「長距離輸送の効率化」として、ドライバーの負担軽減にも貢献しました。今後も、共同物流の拡大や、中継輸送による労働環境改善等、取引先や物流事業者等の関係者との相互理解と協力のもと、物流環境の改善に取り組みます。
* CO2排出量62%削減(従来方法比)
3社の連携による海運共同モーダルシフト:物流フロー
貢献するSDGs
パレット管理の伝票電子化による物流業務の負担軽減
物流業務の負担軽減をすべくパレット管理の伝票を電子化し、日用品業界で初めてのQRコードを使用した伝票電子化サービス(epalDD)を、メーカー・卸売業間の物流において2018年より順次導入しています。また、パレット伝票に留まらず紙媒体で管理している物流情報を電子データとして連携し、過度に人手がかかる作業は自動化設備の導入により省人化を図ることで、物流効率の向上に取り組んでいます。さらに、商品輸送時の土台となるパレットを全面的に木製からプラスチック製へ替え、物流品質の向上や倉庫自動化工程との適性を図るとともに、パレットの総使用回数の向上によりLCA(ライフサイクルアセスメント)視点で環境負荷低減にも取り組んでいます。
メーカー・卸店共同荷役効率化:パレット伝票電子化(epalDD)
貢献するSDGs
海外における取り組み
海外の商品使用後に排出されるCO2削減については、当社独自の植物由来の洗剤原料であるMES*1を海外のユーザーに販売することにより推進します。従来の石油由来の洗剤原料(LAS*2)がMESに置き換えられたと仮定して、CO2排出削減量を試算しています。
2019年は約2.3万トンのMESを販売し、約4.5万トンのCO2の削減に貢献しました。
*1 MES:アルファスルホ脂肪酸エステルナトリウム
*2 LAS:アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
<海外データの対象範囲>
海外連結グループ会社(孫会社を除く)
石油から植物資源への代替推進
当社が独自に開発した界面活性剤「MES(アルファスルホ脂肪酸エステルナトリウム)」「MEE(ポリオキシエチレン脂肪酸メチルエステル)」は、優れた機能を有することはもちろん、再生可能な植物由来原料を用いているため、CO2の排出削減にも貢献できる原料です。
洗剤等に使用される界面活性剤は使用後、環境中で微生物の作用によって生分解されてCO2と水になります。植物は成長段階で大気中のCO2を吸収するので、植物を原料としてつくられた界面活性剤が使用後に分解されてCO2を排出しても、大気中のCO2を増やすことになりません(カーボンニュートラル)。今後も当社は植物原料の活用に努めます。
カーボンニュートラル
MES安全性情報の公表
当社は、2016年にMESが人の健康や環境への影響の点で問題無いという結果を、化学企業の業界団体である日本化学工業協会(日化協)のシステムに沿って自主的に公表しました。その貢献により、当社は2017年に日化協よりJIPS賞(ジャパン・イニシアチブ・オブ・プロダクト・スチュワードシップ賞)奨励賞を受賞しました。
授賞式での当社の日化協 化学品管理委員