生物多様性保全活動
ライオンは、事業を行うすべての事業所で生物多様性保全活動を行っています。特に工場においては、敷地が広く、取り扱う原材料が多く、周辺の自然環境や地域社会に影響を及ぼす可能性があると考えられるため、工場の操業にともなう影響を低減するとともに、工場が立地する周辺流域の生物多様性を保全し、その恵みを地域社会全体で持続的に享受できるよう、地域のNPO法人、団体の皆様と一緒に生物多様性保全活動を積極的に行っています。
事業所での活動
事業所での生物多様性保全活動の基本原則
事業所での生物多様性保全活動を進めるにあたっては、環境省「生物多様性民間参画ガイドライン」をもとに、次の4つの原則を重要と考えています。
事業を行うすべての事業所で取り組んでいる生物多様性保全活動を紹介します。活動の選定においては次のような視点を考慮しています。
- 事業活動や商品等を通して事業所や工場とつながる流域の河川や湖沼、その下流の海浜等で生物がくらしやすい環境を整える
- 姿を消しつつある生物の生息環境を整えたり、飼育・繁殖をさせた後に生息場所に戻す
- 周辺地域から失われた自然を事業所の敷地に復元し、生物がくらすためのビオトープとして維持管理する
- 山林の手入れを進めるとともに生物を定期的に調べ、生物多様性について皆に伝える場として活用する
- 地域住民、社外団体、自治体等のステークホルダーと協同で取り組む
各事業所での取り組み
事業所 | 活動 |
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千葉県(市原市) 千葉工場 | 里山ビオトープ整備活動「レオトープ」 |
神奈川県(小田原市) 小田原工場 | 酒匂川水系のメダカの繁殖、ホタルの育成 |
大阪府(堺市) 大阪工場 | アカウミガメ保護活動 |
兵庫県(明石市) 明石工場 | エノキビオトープ整備活動 (在来種オオムラサキ等の保護) |
茨城県(神栖市) ライオンケミカル(株)ファインケミカル事業所 |
鹿島灘沿岸の松林の再生活動 |
三重県(四日市市) ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)四日市工場 |
吉崎海岸の保全活動 (外来生物駆除、海岸清掃) |
兵庫県(小野市) ライオンスペシャリティケミカルズ(株)小野事業所 |
ため池の水生植物保全活動 |
香川県(坂出市) ライオンケミカル(株) オレオケミカル事業所 |
トンボビオトープの整備活動 (絶滅危惧Ⅱ類マイコアカネの繁殖) |
北海道(札幌市) 札幌オフィス | 札幌ワイルドサーモンプロジェクト(SWSP)活動支援 |
宮城県(仙台市) 仙台オフィス | 井土メダカ里親活動 |
東京都(墨田区) 本社・東京オフィス | 東京の在来種野草保護活動(野のくさプロジェクト) |
東京都(江戸川区) 平井事業所 | 江戸川下流や東京湾の環境整備 |
愛知県(名古屋市) 名古屋オフィス | 名古屋城外堀のヒメボタル保護活動支援 |
大阪府(大阪市) 大阪オフィス | のだふじ保護活動支援 |
福岡県(福岡市) 福岡オフィス | 海岸清掃(ラブアース活動)を通じた博多湾自然環境保護活動支援 |
地球環境へ配慮した界面活性剤「MES」「MEE」等の影響調査
当社の商品のほとんどは、使用後に河川等に排出されるため、開発段階で環境中での安全性を評価・確認しています。さらに、日本石鹸洗剤工業会が1998年から実施している東京および大阪近郊の河川水域中の4種類の界面活性剤の濃度調査〜生態系リスク評価(年4回実施)に参加し、環境に影響がないかどうかを調べています。これまでの調査では、水生生物に影響がないと考えられる濃度よりも低いので、洗剤による環境影響が少ないことがわかっています。
また、植物由来の界面活性剤「MES」と「MEE」は当社が開発した物質であることから、独自に同じ公共水域中で濃度を調査して評価し、生態系への影響が極めて小さいことを確認しています。
安全性の評価・確認は当社だけの課題ではありません。国内外における最新の技術情報を収集・活用するとともに、当社からも情報を発信し、安全性評価技術の向上に貢献しています。
若手研究者への支援
水資源保護活動の一環として、当社では日本水環境学会において2009年に「ライオン賞」を創設し、研究活動を表彰することにより、若手研究者への支援を行っています。
「2019年度 第54回日本水環境学会年会」が中止となったことから、講演要旨原稿の審査による「年会学生ポスター発表特別賞(ライオン特別賞)」として、決定をいたしました。
河川水の試料採取地点
MESの良好な生分解性と優れた洗浄力
良好な生分解性
界面活性剤は、使用後環境中で微生物により分解されます(生分解)。「MES」は、生分解されやすいことから、環境中にいつまでも残ることはありません。
界面活性剤の生分解性
* LAS:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩
試験法:OECD(経済協力開発機構)試験ガイドライン 301C
引用:化審法データベース(J-CHECK)より作図
優れた洗浄力
洗剤の洗浄力を高め、洗濯1回あたりの使用量を削減すれば有機物発生量も減少し、水環境への負荷も低減できます。現在の『トップ プラチナクリア』は優れた洗浄力の「MES」を配合、『トップ スーパ―NANOX』は「MEE」を液体配合し、環境への負荷を低減しています。
洗浄力の比較
* AS:アルキル硫酸エステル塩
洗濯1回あたりに排出される有機物量
「MES」「MEE」はこのほかにも、硬水中でも高い洗浄力を保つ、あるいは汚れを分解する酵素との相性がよい等の優れた特長を有しています。